Lesson 13 メインディッシュを手早く美味しそうに撮る!

 ふとランチに立ち寄ったカフェでとっても美味しそうでフォトジェニックな一品が出てきたら思わずカメラを取り出してしまいますよね。

 だけど、ここで周りのお客さんの迷惑も考えずに立ち上がってアングルを決めたり、もたもたと撮って料理を冷たくしてしまったり、フラッシュを使って店内のムードを壊してしまうようではステキ女子失格です!

 今回は、美味しそうなメインディッシュを手早くステキに撮る方法をお教えしましょう。

 

Best Shot ! photo by nana
■絞り優先AE(F5.6)/ISO200/WBオート/+1.5EV/焦点距離55mm/トマトとモッツァレッラチーズのタリオリーニ・ソレント風
美味しそう!と思ったらググっと寄って撮ってみましょう。緑と赤と白のコントラストが引き立つように露出を上げて明るく撮影。

 

 まず、撮影準備は店内に入った時から始まっています。奥の方の暗い席は避け、なるべく窓側の日差しが入る明るい席に座らせてもらいましょう。そのような明るい席であればISO感度は100〜400程度で大丈夫です。

 ホワイトバランスはランチなどの日中の撮影であれば基本的にオートで問題はありませんが、店内照明が強くてミックス光になってしまうときは、ライブビュー画面を見ながらお皿が一番白く見える色に調節しましょう。この作業は手元に白いナプキンやハンカチなどがあれば料理が来る前にできるので、事前に確認&設定をしておきましょう。

 露出補正は+1〜2EVの間くらいで、お皿の白い色が見た目よりもほんの少し明るく見えるくらいまで上げましょう。そうしないと、全体の色味がくすんでしまい美味しそうに見えなくなってしまいます。

 さて、ここまでカメラの設定をしたところで、マリコちゃんはどのように撮ったのか見てみましょう。

 

NG Shot ! photo by mariko
■絞り優先AE(F5.6)/ISO400/WBオート/+1.7EV/焦点距離36mm/ジェノヴァ風バジリコペーストソースのリングイネピッコレ
マリコちゃんコメント
あれー? カメラの設定のちゃんとしてから撮ったのになぜか上手くいかないなあ。お皿まで全体的に撮ったのに、肝心な料理が、そそらない写真になってる。。。 実際はとってもおいしそうだし、ソースの香りが伝わりそうなくらい“美味しい写真”が撮りたいのに。 ナナさん、設定もしたし、ちゃんと日の当たる抜群に良い席に座ったはずなのに、どうして目に見えてる美味しそうな料理を伝える写真が撮れないんでしょうか?

 

 マリコちゃんはお皿の全体を写したかったみたいですね。確かに、お皿の周辺にもデザインが施されていて全部を写したくなる気持ちはわかります。このように全体の状況がわかる写真も1枚抑えておくといいでしょうが、今回は一番美味しそうなところを切り取ってみましょう!

ライブビュー画面に表示される黄金分割のグリッド表示を見ながら構図を決めましょう。

 まず、構図はテーブルフォトの基本でもある斜め上からにします。このようなテーブルでしたら、自分が座った状態で撮れば自然な構図になります。また、レンズはなるべく望遠側を使いたいので、出されたお料理をそっと向かい側の遠い位置まで移動させましょう。

 絞りの基準ですが、全体がボケすぎていると何の写真だかわからなくなってしまうので、画面全体の1/2がくっきりと写る程度まで絞ります。もちろん、くっきりと写す中心は‘一番美味しそうなところ’にしてくださいね。

 

GOOD! photo by mariko
■絞り優先AE(F5.6)/ISO400/WBオート/+1.3EV/焦点距離55mm
マリコちゃんコメント
そうそう!!!! 美味しさが伝わるー!!! 食欲をそそる写真だ!! 撮りたいものを欲張りに撮っていたけれど、すべてを写さない伝え方があるんだ!?しかもすごく効果的!!!! これだったら写真を見た人の食欲もかきたてられる!!! いつもカメラの設定にばかり集中していたけれど、範囲を変えることでここまで効果が生まれることが本当にびっくり!! 最近は料理を写真に残すことも良くあるから、これからは見違える料理の写真が撮れそうでわくわくしています。

 

 
 黄金分割の右上の交点の辺りに一番美味しそうな食材を持って行った構図になりましたね。このように、黄金分割の4つの交点(右上、右下、左上、左下)の付近に主役の食材や目立った色合いの食材を配置すると落ち着きのある構図になりやすいので、これを基本とすると手早く撮ることができます。

 アップで撮るとお料理のすべてとお皿は欠けて写らなくなってしまいますが、これくらい寄ったほうが食材の色味やパスタの照り、ソースの絡み具合が表現されて具体的な美味しさが伝わりやすくなります。

 温かいお料理は素早く撮影して美味しい状態で頂きたいものです。その為には、カメラの設定にプラスして‘なるべく望遠側で美味しそうな主役部分をアップで撮る‘を実践してみてください!

今回の撮影機材
NIKON D5100
AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR
撮影協力=Bottega Lira
ホームページ(http://www.bottega-lira.com/
Facebookページ(https://www.facebook.com/BottegaLira

(状況撮影=編集部)

(2012/3/2)
(みさき なな) フォトライター 東京都生まれ。B型。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、その作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWEBでのカメラレビュー、写真講座のライターとして活動中。
Twitter:@cosaruru ブログ:http://misakinana.com