Lesson 12 水族館でゆったり漂うクラゲを撮る!

 毎日寒い日が続きますが、みなさん風邪などはひいていませんか? こんなに寒いと外で撮影しようって気持ちになかなかなれませんよね。そういうときは、暖かい室内で撮影ができる水族館に出かけてみましょう!

 水族館撮影で私のオススメの被写体は‘クラゲ’です。他の魚よりも比較的ゆっくりと動き、泳いで行く方向が読みやすいのと、それほど大人気の魚ではないので水槽の前が比較的空きやすいのがその理由です。

まるでクラゲの親が子供に「こっちにおいで〜」と言っているかのよう。ふわっと開いたカサがお花のようにも見え、華やかな一枚になりました。

 まずカメラ側の設定ですが、絞りはあまり絞ってしまうとシャッター速度が遅くなって被写体ブレしてしまうので空け気味にしましょう。作例はすべてF2.8で撮影しています。

 ISO感度は暗い水族館内なので画像が荒れない程度に上げましょう。最後の光源にカメラを向けた作例はISO400ですが、それ以外はすべてISO1600まで上げて撮影しました。ホワイトバランスはオートで構いませんが、RAWでも撮っておくと現像時にホワイトバランスを変えて遊ぶことができるのでオススメです。

丸まった状態を下から覗くように。気に入ったクラゲがいたら上下左右どっちを向いていてもシャッターを押してしまいましょう。真っ直ぐがイイ写真とは限りません!

 次に撮影の仕方ですが、フラッシュは絶対に使用しないでください。水槽の中の魚たちに悪影響があるのはもちろんですが、水槽にフラッシュが反射してしまってキレイに写らないと言うデメリットがあります。

 水槽の前にいる人物のみを写したいときはフラッシュのメリットはありますが、後ろの水槽の中はブレて写ってしまいます。それ以前に館内のフラッシュ撮影は禁止されていることが多いので、マナーを守って楽しく撮影をしてください。

水槽の照明がピンク色に変わるとクラゲはその色を体全体で映してくれました。シャッターチャンスを逃さないように!

 また、水槽に自分や他のお客さん、非常灯などが映り込まないようにするためには、レンズを水槽にくっつくくらい近付けて撮影しましょう。このとき、レンズは水槽に対して平行になるようにして、角度をつけないようにします。

 ブレを抑えるためには肘をつけるような水槽の縁があれば最高なのですが、ない場合は脚を肩幅に開いて脇をしっかりと閉めた正確な撮影スタイルで、シャッターを押してからシャッターが下りるまで息を止めて撮影しましょう。2秒などの短時間のタイマー機能を使ってもいいでしょう。

ちょうど水槽を真横に移動しているクラゲがいたので動きに合わせてカメラを進行方向に振りながら撮影。ブレないように気を付けて撮りましょう。

 クラゲもゆっくりとはいっても動いているので、その動きを読んでカメラを動かしながらシャッターを切ってみましょう。このときに前後と上下の動きが混ざってしまうとブレ写真になってしまうので、左右だけに動かすようにします。構図はクラゲの泳ぐ先に空間を作るようにすると収まりが良くなります。

月明かりに照らされて空中を浮遊するクラゲ。このように、クラゲゾーンだけでも色々工夫を凝らした水槽があるので撮っていても飽きません。

 水槽ごとに趣向を凝らした照明を楽しめるのも水族館の醍醐味です。上の作例は通路の上に水槽が設置されていて、月明かりに照らされているようなクラゲを演出していました。ふと見上げて撮ってみたらなんだかとってもムードのあるイイ感じに。撮り方やレンズによって色々な表情が出せそうですね。

 水族館撮影と言うと難しく考えがちですが、あまり色々考えないでズームレンズ一本で気軽にスタートしてみてください。でも、納得の行く一枚が撮れるまでは水槽に貼り付いてみてくださいね!……他のお客さんの邪魔をしない程度に(笑)。

 

今回の撮影機材
PENTAX K-r
SIGMA 17-50mm F2.8 EX DC OS HSM

 

(2012/2/10)
(みさき なな) フォトライター 東京都生まれ。B型。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、その作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWEBでのカメラレビュー、写真講座のライターとして活動中。
Twitter:@cosaruru ブログ:http://misakinana.com