Lesson 1 露出補正を使って自分好みのイメージの写真を撮りましょう!

 露出補正と言うと、薄暗い所や逆光での撮影で思い通りの明るさにならなかったときに適正の明るさにするために使用するお堅い機能だと思っている方も多いかも知れませんが、そこを一歩進んで、自分のイメージを表現するためにこの機能を使ってみませんか?

 さわやかなイメージを表現したいときはプラスの露出補正を、シックな大人っぽさを表現したいときはマイナスの露出補正をというように、絞りを変えなくても簡単に明るさを変えられるので、テーブルフォトのような撮影スペースや光の状況に制限がある場合にピッタリの機能なんです!

 今回はこの露出補正を使って、同じ被写体を2パターンの作品に仕上げてみましょう。

 

 

マイナス補正でシックに撮る

 ここでは木製のスタンプを主役の被写体にして、木の質感を表現したシックな作品を撮ってみましょう。

 自分のイメージに合った露出補正の数値がどれくらいかを探すときは「+1.0」、「+2.0」と1段単位刻みで‘撮って⇒見る’を繰り返してもいいのですが、好みに近い数値が見つかったときは、その前後の数字も小刻みに撮ってみましょう。

 

Best Shot!
-0.7EV
主役の手前のスタンプは見た目に近い明るさを保持しながら木の質感を感じさせ、画面の奥の方はボケと共に自然なグラデーションで暗くなっていっています

 

+3.0EV
メインの被写体の輪郭も見えないくらい白トビしてしまいました
+2.0EV
スタンプが白くなりすぎて木の質感が損なわれています
+1.0EV
‘シック’ではなく‘さわやか’なイメージを表現したい場合はこれくらいの露出がGOOD!
露出補正なし
見た目とかなり近い明るさです
-1.0EV
メインと奥のスタンプの木の質感は十分に出ましたが暗すぎてちょっと寂しい雰囲気に…
-2.0EV
画面奥が黒ツブレしてしまいました
-3.0EV
全体に暗すぎて奥の被写体が何かも分からない状態になってしまいました

 

撮影データ:絞り優先AE(F5.6) / ISO200 / WBオート

 

 

プラス補正でかわいく撮る

 続いて、主役の被写体はそのままですが、カラフルなマスキングテープを被写体として入れてみました。ピントは手前のスタンプに合わせていますが、赤いチェックのマスキングテープにも合うように3つのテープを配置しました。

 ここではスタンプの質感よりもテープの明るい色味を活かして、かわいいイメージの作品にしてみましょう。

 

Best Shot!
+1.3EV
スタンプの「TICKET」の文字がぎりぎり読めるくらいまで思い切って明るくしてみましょう! それでも影の部分との明暗差はしっかりあるので、のっぺりとした印象にはなりません

 

+3.0EV
手前のスタンプは輪郭どころか存在すら見えなくなってしまいました
+2.0EV
「TICKET」の文字はほぼ読めなくなり、全体にのっぺりとしてしまいました
+1.0EV
見た目よりも少し明るいくらいで、テーブルフォトとしては自然で嫌味のない雰囲気になりました
露出補正なし
見たままの色合いに近いですが、このままではかわいらしいという雰囲気からは程遠いですね…
-1.0EV
奥のスタンプはかっこいい色合いになりましたが、マスキングテープの色がくすんでしまいました
-2.0EV
全体に暗く、どの被写体も引き立っていません
-3.0EV
被写体すべてがシルエットのようになってしまいました

 

撮影データ:絞り優先AE(F2.8) / ISO400 / WBオート

 

 

 いかがでしたか? 露出補正を使えば同じ被写体でもイメージの違う作品を生み出すことができるので、みなさんもお手持ちの雑貨や小物を使って試してみてください!

 

今回の撮影機材
PENTAX K-r
DA35mmF2.8 Macro Limited

光:レースのカーテン越しの自然光。レフ板使用

 

 この「女子カメレッスン」では、写真が好きでもっと上手になりたい方、ちょっとテクニックを勉強したい方のお手伝いをして行きたいと思っています。カメラ初心者の方はもちろん、カメラ2年生以上の方も、おさらいとして勉強できる内容をお送りします!

 

 

(2011/9/22)
(みさき なな) フォトライター 東京都生まれ。B型。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、その作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWEBでのカメラレビュー、写真講座のライターとして活動中。
Twitter:@cosaruru ブログ:http://misakinana.com