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本物のクルマが体感型VRシステムに! 「VR-CAR」などCEATEC 2017のVR的見どころ

幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2017

本日、幕張メッセにて開幕した「CEATEC JAPAN 2017」。コンシューマー向けの色が濃かった一昨年までから一転、昨年からは「CPS/IoT(Cyber Physical System/Internet of Things)の総合展」として再スタートを切っています。

もちろん、VRやAR関係のテクノロジーも、実際の製品から実験的な技術デモまで、多く出展中です。ここでは、昨日のプレス向け公開日に見て回って気になったブースをご紹介します。

EVカーがVRシステムに! デンソー

デンソーのブースでは、既存の小型EVカーを利用したVRコンテンツ体験装置とでもいえる「VR-CAR」のデモが行われていました。クルマに元から備え付いている駆動系や空調などをそのまま活用して「振動」や「風」を伝えることで、臨場感あふれるVR体験を実現しようという試みです。

デンソーの「VR-CAR」。実際に走行可能なクルマをVR体験装置に転用してしまおうというアイディア

今回のデモではOculus Riftを用い、世界各地の名所を「空飛ぶクルマ」で観光するコンテンツが体験できました。映像中での加速などにあわせて実際にクルマのアクチュエーターが駆動して臨場感を高めており、そのあたりの制御がデンソーならではの技術といえそうです。VRセンサーデバイスのLeap Motionが補助的に使われており、ハンドルにかけた自分の手がVR空間でも表示され、没入感を高めていました。

EVカーは実際に走行可能なものを用いているのもポイント。安全性の問題はありますが、将来的に自家用車を「体感VRシステム」として活用できるようになる……と、かなり面白いかもしれません。

VRヘッドセットにはOculus Riftを使用。ヘッドセット前面にLeap Motionが装着されていました

また、VRヘッドセットと生体センサーを用いた生体センシングの実験的デモも行われていました。体験者はVRゴーグルをかぶり、シートに搭乗。月面探査機となり、様々なミッションをこなします。ミッションをこなす中でのプレイヤーの緊張や焦りなどはヘッドセットに装着された生体センサーを用いて収集され、そのデータをもとに、例えば自動車の運転支援や危機回避システムをより向上させることを検討しているようです。

振動シートとVRシステムを組み合わせた生体センシング装置。VRヘッドセットはHTC Viveを使用しています。なお、控えめに言ってもめちゃくちゃ酔うので、苦手な人は注意が必要です

テレイグジスタンスがいよいよ現実に? KDDI

KDDIのブースでは、多くのVR/ARテクノロジーを展示しています。

一際目を引くのは、テレイグジスタンス(遠隔存在)ロボット「TELESAR V」です。KDDIが出資するTelexistence株式会社によるもので、人間の動きをロボットに伝え、逆にロボットの視覚などを人間に伝えます。プレス向け公開では、Telexistence株式会社の会長であり、日本バーチャルリアリティ学会の初代会長としても知られる舘暲氏が自らデモを行なっていました。

同じくテレイグジスタンス技術として、視覚のみのテレイグジスタンスを実現する「TORSO」もデモされていました。

「TELESAR V」は、遠隔地から身体感覚を同期したロボットを操作し、様々な作業を行わせる「テレイグジスタンス」のためのロボット
視覚のみのテレイグジスタンスロボット「TORSO」

また、多数のカメラから取り込んだ実写映像をもとにリアルタイムで3D CGモデルを生成する技術による「クライミング×自由視点VRライブ」デモを行っています。将来的には自由視点VR中継などで活用できそうな技術です。

クライマーの3Dモデルがリアルタイムで生成。限られた数のカメラを用いているにも関わらず、自由自在にアングルを切り替えることが可能となる

この他にも、VRによるバーチャル不動産案内、音を「ズーム」するVR向け音響システム、ARキャラと会話できるシステムなどが展示されています。

・人間と連動するロボット、会話できるARキャラクターなどを展示するKDDIブース - ケータイ Watch
http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/event/ceatec2017/1083982.html{

AR技術でライトセーバーバトル! レノボ

レノボブースでは、先日のIFA 2017で発表された「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」が体験可能です。

「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」はARヘッドセット「LenovoミラージュARヘッドセット」、劇中のライトセーバーを再現した「ライトセーバー・コントローラー」、ARヘッドセットと連動する「トラッキング・ ビーコン」がセットになった商品。対応スマートフォンをARヘッドセットに挿入することで、「ライトセーバー・バトル」などの専用アプリをARで楽しむことができます。

実際に遊んで見ましたが、ARで表示されたマーカーに合わせてライトセーバーを構えるというシンプルな操作ながら、プレイするうちにどんどん「なりきり」度とテンションが高まっていきます。ただ、ARということで映像は透過されているため、周囲のオーディエンスの目が容赦なく突き刺さり、ふと我に帰る瞬間も。一人っきりの部屋でじっくり楽しみたいところです。

「Star Wars/ジェダイ・チャレンジ」のセット内容。ヘッドセットにスマートフォンを挿入し、その画面を前面のグラス部分に投影します
ライトセーバーに「いかにもおもちゃ」なチープさがないのもポイント

その他、Windows Mixed Realityプラットフォームに準拠したVRヘッドセット「Explorer VR-2551」や、GoogleのAR規格「Tango」に対応するスマートフォン「Phab 2 Pro」を活用したソリューションをデモしています。

Windows MR準拠のヘッドセット「Explorer VR-2551」
物体の大きさを正確に測定できる「Phab 2 Pro」は建築現場などでの活用が進む
「ワンピース」の二条城ARツアーのデモも

桑野雄