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「HTC LINK」体験レビュー。ハイエンドなVR体験がモバイルでも

VRメディア概論 ~VRビジネスの最前線より~ #05

HTC NIPPON社のご厚意で、新型VRデバイス「HTC LINK」を体験させて頂く機会があったので、さっそくレポートさせていただきます。

「HTC LINK」とは?

「HTC LINK」は、スマホと接続するタイプのモバイル型のVRデバイスです。HTC社のフラッグシップスマートフォン「HTC U11」を接続して動作します。

最大の特徴は、PCを必要とせず、スマートフォンをエンジンとするモバイル型VRでありながら、本体と付属のコントローラーが6DoFに対応したこと。つまり、前に一歩踏み出したりしゃがんだりなど、空間を上下左右に移動する動きをついにモバイル型VRで実現できることになりました。

「HTC LINK」

「HTC LINK」は何がすごいのか

現在主流のVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)は大まかに2種類に分けることができます。PCをエンジンに動かすハイエンド型(HTC VIVEやOculus Riftなど)と、スマホをエンジンに動かすモバイル型(Samsung GearVRやGoogle Daydreamなど)です。

PCと接続するハイエンド型VRは、PCの強力なマシンパワーを利用できたり、ハードウェア構成を拡張できるところが長所です。最近のタイプはセンサーで本体やコントローラーをトラッキングすることで、空間の中を歩いたりしゃがんだりといった動きを検知できるのが特徴です(「ルームスケール」と呼ばれます)。ただし、PCとHMD本体との間にケーブルが存在するため、機能的には移動できるにもかかわらず、ケーブルが邪魔で動きにくい面がありました。

スマートフォンをエンジンとするモバイル型VRは、HMD本体とスマートフォンを接続するだけで動作し、セットアップも簡単、気軽なのが特徴ですが、PCほどの没入感やCG描画能力はないことと、コントローラーや自分自身の移動を検知できないのが悩みでした。

そこで今回発表されたのが「HTC LINK」です。スマートフォンをエンジンとし、据え置きのPCや、PCとつながる煩わしいケーブルを必要としないモバイル型VRでありながら、ハイエンド型と同スペックのディスプレイで没入感を確保しているほか、空間の中を一歩踏み出したり、左右に寄ったり、しゃがんだりなどの動きがついにモバイル型で実現できることになりました。

モバイル型かつルームスケールを実現するデバイスは私も以前から欲しいと思っていた機能で、ついに登場したか!という思いです。

「HTC LINK」 第一印象

見た目は白と黒を貴重としたデザイン。ヘッドマウントとコントローラーに、モーションキャプチャーシステムを思わせる丸みを帯びたマーカー発光部がついています。

携帯性

最初に思った印象は「軽い!」ということ。GearVRやDaydreamなどがスマートフォンの画面をそのままHMDのディスプレイとして利用するのに対し、「HTC LINK」はディスプレイをHMD内部に独自で持っています。そのため、スマートフォンはHMDに内蔵せず、HMDとケーブルで繋げて使用します。HMDはスマホ本体を内蔵しているわけではないため、その分かなり軽いのが特徴。

そうなるとスマホ本体は洋服のポケットなどに入れておくことになりますが、女性などは必ずしもポケットがある服を着ているとは限らないため、体験イベントなどで使う際は、体験者がどんな服装でも対応できるよう、腰などに収納できるようなウェストポーチの準備をしておくと便利だと感じました。

没入感

液晶解像度は3.6インチ1080 x 1200ドットの有機ELディスプレイを右目用・左目用にそれぞれ1つ。これはPCベースのハイエンド型VRと全く同等のクオリティです。
左右に振り返ったときの追従性も良好。ちなみに画面のリフレッシュレートは90Hzで、こちらもPCベースのハイエンドタイプと同等です。

6DoFコントローラ

コントローラーは小さめでコンパクトなもの。タッチパッド部とメニューボタン、HOMEボタン、トリガーがあります。バイブレーション機能はなし。「HTC LINK」はコントローラーも6DoF対応。つまり空間の中で自由に動かすことができますので、VR空間内で仮想のラケットやバット、あるいは自分の手として使用することができます。

ルームスケール

実際に自分が移動した分だけVR内でも移動しているので、視覚と体感が一致しており、酔いにくいです。VRで酔いやすいと自認する人も、この端末では全く酔わなかったとのこと。

トラッキング範囲は約2.5mx2.5mくらい。外部センサーのステレオカメラの視野角の関係上、四角形というよりセンサーを頂点とした台形に近い範囲となります。わかりやすく図式化すると下記のようなイメージになります。※下記の図はわかりやすく視覚化したものであり、トラッキング範囲を正確に描写しているものではありません。

「HTC LINK」のルームスケールの仕組みは赤外線ではなく、光学カメラでマーカー発光部を認識し、それによって判断しているとのことです。

ヘッドマウント本体のLEDマーカーは青、コントローラーはピンクに発光しています。
センサーが認識を失うと発光部が消えてロストしたことを知らせます。

ステレオカメラは1機種につき1台必要になり、同じステレオカメラで別のデバイスを複数認識することはできません。

第一印象としては以上のようになります。
今後弊社でも「HTC LINK」の開発には取り組んでいきたいと思っていますので、続報があればまたこちらでお知らせします。

阿部聡也

株式会社テレビ朝日メディアプレックス クリエイティブ事業部 ビジネスプロ デューサー。ITベンチャー、通信会社にてブログサービス、動画投稿サービスなどの新規立ち 上げを経て現職へ。現在VRコンテンツ開発事業"VR-plex"や技術研究を中心に 活動中。