VR Watch

着衣したままで失禁!? 「失禁体験装置」にVRの未来を見た

 バーチャルなお漏らしを体験することのできる「失禁体験装置」というVRコンテンツ。今年のニコニコ超会議でも話題をさらったこの装置が、お台場の科学未来館にて開催中の「デジタルコンテンツEXPO 2016」(10月30日まで開催)に出展されるという情報を漏らすことなく聞きつけ、実際に失禁体験を行うべくブースを訪れた。

 失禁体験装置は、人間工学に基づき、人体の尿意や排尿感といった生理現象・感覚の認識や解析を行うためという、至極真っ当な理由で開発された。そのメカニズムは、腹部に装着するエアーコンプレッサーにより膀胱を圧迫させることで実際に尿意を誘発。失禁体験用の椅子に取りつけたタンクにお湯を流すことで、ユーザーに失禁時の尿の温かさや水流を感じさせるというものだ。

 また、股間部に設置した機械から振動を与えることで排尿時の尿道の震えを、首筋へ振動と冷汗を与えることにより「ブルっ」とする身体の震えをも再現する。体験開始前には、実際に水を飲むなど細部へのこだわりが感じられた。

事前に水を飲む。失禁体験を行う際にはアイマスクを着用するが、これは失禁に意識を集中させるためとのこと

 装置を開発した電気通信大学・失禁研究会の会長を務める亀岡さんは、「もともと2年前の学園祭の時に、私たちの研究会ではVR技術を使った作品を展示していました。展示物を作る時、アイデアのひとつとしてあったのが『お漏らし体験』でした。その後『お漏らし』をテーマにコンテンツを作り、国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)に出展して賞を頂きました。今回のInnovative Technologies 2016にも採択してもらっています」と、開発のきっかけを語る。

 また、リアルな失禁を体感するため重要なのは「意識の差」が大きいという。

 「基本的に失禁をするタイミングは、やはり気を抜いた瞬間であることが多いと思います。ですので、いかにして意識を他のものに移すかという“意識のずらし方”を、常に念頭に置くことを心がけています」。

 最後に、トライアンドエラーの方法について訊いた。

 「メカニズム的な勉強は工学的な分野に秀でている方に教えてもらうこともありますが、基本的には独学です。(失禁体験の)人間工学については、研究会のメンバー全員の体感によるもの。実際に着衣のままでお漏らしをして、その時の様子を詳細に記録し、サンプリングしています。そこで得られた知見から、例えば体にどんな刺激を与えると尿意を催すのかといった実験をしたり、どんな(尿の)出方が失禁した時に一番近いか、服を伝う尿の流れはどのようになっているのかなど考えながら制作しています」。

 ユーモア先行での開発と考えられがちだが、高齢化社会に伴う需要の増加を見通して尿意を感じにくい高齢者へのトレーニングを目的のひとつとするなど、日本社会が持つ構造的な議題のひとつである「介護」の分野も視野に入れる。今後、介護や医療現場での実用化に期待したい。