バヌアツ共和国政府と国際連合児童基金(UNICEF:United Nations Children's Fund)は2017年7月27日、8月にバヌアツ国内で実施するドローンの試験運転参加者を発表した。バヌアツ保健省、公共事業省、UNICEFによる選考の結果、アメリカVolans-i社、イギリスMartek Marine社、オーストラリアJAR Aerospace社、イスラエルColugo Systems社、アメリカFinish the Call社、オーストラリアFiretail社とドイツBormatec社の共同企業体の6団体が参加すると決まった。

 8月の試験運転では、ドローンを使ってバヌアツ郊外にワクチンを運び、ドローンの能力や効率、効果を検証する。バヌアツは南太平洋にある島国で、南北およそ800kmに渡って並ぶ83の小さな島で成り立っている。国連経済社会局が「小島嶼開発途上国(Small Island Developing States)」と認定している。

 小さな島で国土を構成する小島嶼開発途上国は、物流コストが高くなるなどの共通の問題を抱えている。バヌアツも例外ではなく、物流網を構成することが難しく、物流コストが高くなってしまっている。これが原因で、各地の保健施設に最低限必要な医療物資を常備することもできていない。低コストで手軽に運用できるドローンはこの問題を解決する道具となる可能性があるのだ。

バヌアツの国土は多数の小さな島で成り立っている(出典:UNICEF)

 今回の試験運転では、首都ポートビラがあるエファテ島から54km飛行してワクチンを運ぶ。具体的にはエファテ島北部にある旧タカラ滑走路を出発して、エマオ島、ペレ島、ヌグナ島の上空を経由し、ウンディネ湾上に設置した標的を狙ってパッケージを投下する。その後ドローンはタカラ滑走路に戻って着陸する。

 今回は島々の上空を飛ぶドローンを見て、その性能を評価する。今回の参加団体はその後、2018年2月~3月に離島の保健員にワクチンを届ける具体的な方法の提案を提出する。そして、2018年内に長期間に渡って定期的に医療物資をドローンで輸送することを想定した飛行試験を実施するとしている。