ブイキューブロボティクス・ジャパンは7月13日、大災害発生時を想定してドローンを使った医薬品搬送の実証実験を実施したと発表した。仙台市、NTTドコモ、宮城県医薬品卸組合の協力を得て実施した。実験実施日は6月29日、宮城広瀬総合運動場(宮城県仙台市青葉区)と、西仙台病院(宮城県仙台市青葉区)に隣接する広瀬川河川敷を往復する形でドローンを飛行させた。

 実験は、大災害によって交通網が寸断状態になっているところに、医薬品を緊急搬送してほしいという要請を受けたと想定して実施した。依頼があった医薬品を事前にドローンに積み込み、車両で到達できる限界を宮城広瀬総合運動場と仮定して、そこまで医薬品を積載したドローンを車両で搬送、到着次第ドローンを離陸させて目的地である広瀬川河川敷まで飛行し、医薬本を受け渡した後、離陸地点である総合運動場まで帰還させた。

 この実験では、無視界飛行かつ飛行ルート設定による自動飛行で、LTE回線を通じた遠隔制御により実施した。なお航行中は航行管理システムがLTEを通してドローン機体を制御し続けた。

今回の実証実験で使用したドローン。ブイキューブロボティクスが開発した

 また、ドローンが備えるカメラによる動画も活用した。具体的には、飛行中の動画を監視することで、安全に航行していることを確認した。さらに、医薬品を渡す相手の身元確認にもカメラを応用した。目的地点に到着後、医薬品の回収のためにやって来た担当者の顔をカメラで捉え、その映像を管理センターに送り、医療機関の関係者であることを確認し、搬送元と搬送先で必要なコミュンケーションと取りながら、医薬品搬送を完了させたという。

医薬品受け渡し時に、受け取り担当者の身元を確認する様子

 仙台市の伊藤敬幹副市長は実験の結果を見届けて、非常に有意な結果を得られたと評価し「東日本大震災の経験を踏まえて、今回の実験を日本全国にとどまらず、世界に発信できるしっかりしたものに育て上げたい。今後も実験を重ねて課題を抽出して、実用化を視野に入れて取り組んでいきたい」と今回の実験を高く評価するコメントを残している。

 ブイキューブロボティクス・ジャパンは、機器の機能や性能、運用プロセスの改善を進め、実験ではなく実用に向かっていきたい。そして、災害時、緊急時の対応に共通する課題を感じている全国の自治体、そして世界に向けて拡販していければと考えているという。