ドローンジャーナル

アイ・ロボティクスが遭難者捜索活動にドローンで協力、遺体発見に貢献

 アイ・ロボティクスは2017年6月29日、新潟県十日町市で山岳救助隊が実施した遭難者捜索活動に「ドローン捜索メンバー」として参加したと発表した。日本山岳救助機構合同会社の依頼を受けた日本山岳救助隊が6月17日、18日に実施した活動に参加し、捜索活動を支援した。2日間の活動で、1年以上前にこの地域で消息を絶った遭難者の遺体を発見し、遺族の元に返すことができたという。

今回の捜索活動の場となった新潟県十日町市の山岳地帯

 日本では毎年3000人以上が山岳地帯で遭難している。救助が遅れて命を落とす遭難者も少なくない。しかし、山岳地帯の変わりやすい天候や捜索費用などの事情があり、遭難者を発見することなく捜索活動を打ち切らざるを得ないこともある。遭難者が行方不明のままということになると、保険会社は生命保険金を支払えない状態となるほか、親族にいつまでもわずかな期待を抱かせ続けることになり、精神的に重い負担をかける。まだ命があるうちに見付け出すべきであることは言うまでもないが、たとえ遺体になったとしてもなるべく早く探し出さなければならないのだ。

 捜索隊は広大な山岳地帯を短時間でくまなく捜索しなければならないが、人間が足を踏み入れるには危険な場所も多い。広い範囲を捜索するには多数の人員を投入することになるが、その結果として相当な費用がかかる。なかなか見つからないということになれば、長時間に渡って多数の人員による捜索を続けることになるが、山岳地帯の捜索活動には二次遭難の危険が付きまとう。ヘリコプターは捜索活動に大いに役立つが運用コストがかなりかかる上、悪天候時に飛ばすと乗員の命を危険にさらすことになる。山岳地帯における遭難者捜索にはいくつもの難題が付きまとっている。アイ・ロボティクスはその難題の一部でも解決できればという思いを抱いて捜索活動に参加したという。

 捜索初日はドローンオペレーション部隊を組成して現地に派遣した。この部隊の指揮はアイ・ロボティクス社のCOOを務める小関賢次氏が努めた。派遣した部隊は現地では日本山岳救助隊の指揮下に入り、地上捜索隊とドローン部隊が連携しながら捜索活動に取り組んだ。初日、ドローン部隊は捜索対象エリア全体を調査して、現場の状況把握に努めたという。

 そして、一般に遭難者の遺留品が見つかることが多いという渓流沿いの画像を撮影したが、そこからは結局何も見付からなかった。しかしこれは決して残念な結果ではない。「ドローンで探したけどなにも見つからなかった」という結果から、その近辺を捜索対象から外して、ほかのエリアの捜索に注力できるようになったからだ。

ドローンのカメラで渓流沿いを撮影した画像

 捜索二日目、地上捜索隊が山に入って捜索を始めたらすぐに遺体が見付かった。初日のドローンによる捜査の結果、ドローンが捜索した場所には遭難者はいないので地上捜索隊はその地域を捜索する必要はないと判断できた。その結果、2日目の捜索活動の範囲を絞り込む結果となり、遭難者がいる可能性が高い場所の捜索に注力できたため、2日間という短期間で遺体を発見できたのだ。ドローンの上空からの捜査から得られた結果によって、地上捜索隊が捜索すべき範囲を絞り込むことに成功し、地上部隊を広い範囲に展開した捜査をする必要がなくなったことについて、山岳救助隊から「二次遭難を防ぐことができた。これは大きな成果だ」と高い評価を受けたという。

 その効果を高く評価してもらった一方で、ドローン部隊は山岳地帯でドローンを飛ばす難しさを改めて感じたそうだ。アイ・ロボティクスは、ドローンを使った山岳救助のコンテスト「Japan Innovation Challenge 2016(2016年10月に北海道上士幌町で開催)」に参加して入賞した実績があるが、その実績と技術、ノウハウを持ってしても、山岳地帯でドローンを飛ばすことは試行錯誤の連続だと感じているという。

 その思いからアイ・ロボティクスは、ドローンの操縦技術だけでなく、地域の気象特性や無線通信技術に精通したドローン操縦者を、日本全国で早急に育成しなければならないと感じたという。そして、災害に備えて全国で育成したドローン操縦者を連携させる体制を作る必要も感じたそうだ。アイ・ロボティクスは今後、熟練のドローン操縦者を連携させる全国規模のネットワークを構築する意向を示している。そして、その活動を通して得たノウハウを広く公開し、全国ネットワークを活用したサービスの提供を目指す。「一人でも多くの命を助けたい」という思いを抱いて、今後の活動を進めていくとしている。