ドローンジャーナル

ドローン関連スタートアップを支援して世界で戦える企業に育てる、「ドローンファンド」始動

 個人投資家、千葉功太郎氏を中心としたグループは2017年5月30日、ドローン関連のスタートアップ企業を主に支援するファンド「ドローンファンド」を設立し、6月1日から活動を開始すると発表した。千葉氏はコロプラの共同創業者であり、様々な企業の経営に携わってきた人物。現在は個人投資家として国内外20のベンチャーキャピタル、そして国内外50のスタートアップ企業に投資するかたわら、国土交通省から全国包括飛行許可を得てドローンパイロットとしても活動している。

 ドローンを活用したサービスの市場は日本国内だけでなく、世界的にも今後大きく成長するということは、ほぼ「確実な未来」だ。PricewaterhouseCoopers(PwC)がまとめた調査報告書「Clarity from Above 2016」によると、2020年にはドローンを活用したサービスの市場規模は世界で1273億米ドル(14兆1303億円:1ドル=111円として換算)まで膨れ上がるとしている。

 インプレスの「ドローンビジネス調査報告書」は、国内のドローンサービ市場について、2016年はその規模が154億円だったが、2022年には1406億円と9倍以上に成長すると予測している。日本政府も、2018年ごろには離島や山間部での荷物配送サービスや、災害時に被災状況調査や捜索といったサービスが立ち上がり始め、2020年代には都市における物流や警備、災害直後の避難誘導などのサービスが動き始めるというロードマップを描いている。

日本国内のドローンサービスの市場は2022年までに9倍以上に成長する

 ドローンファンドは、この有望な市場に参入しようという日本のスタートアップ企業に投資し、支援して、世界で戦える企業にまで育て上げることを目的として設立したという。創業前のシード期や創業直後に積極的に投資し、千葉氏を中心とした専門家が企業経営やビジネス運営について助言しながら、投資先企業の成長を狙う。
 投資先企業に助言するアドバイザリーボードには、ドローン業界、インターネット業界、ロボット業界で活躍している専門家6名を迎えている。

DroneFundのアドバイザリーボードメンバー(敬称略):上段左から:坂本 義親(株式会社ORSO 代表取締役社長)、西脇 資哲(日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員)、尾原 和啓(シンクル事業長、IT批評家)下段左から:高橋 伸太郎(慶應義塾学政策・メディア研究科特任講師)、大前 創希(株式会社クリエイティブホープ 代表取締役会長)、今井 大介(アスラテック株式会社ロボットエバンジェリスト)

 また、研究者の支援や、研究成果である技術を活かした企業の立ち上げを支援する活動を展開しているリバネスと業務提携を結び、ドローンファンドの投資先企業と、研究者や試作量産を請け負う工場との連携を支援する。

リバネス社と業務提携

 さらに、投資先企業のアイデアを特許として出願する際も支援する。自社では特許のレベルまで煮詰めることができないアイデアについて共同で検討し、共同で出願する。ドローンファンドはそのために、特許共同出願を専門とする企業「Drone IP Lab」に投資し、企業として設立させている。共同出願時はDrone IP Labの費用で出願し、特許として認めれれたものはドローンファンドの投資先企業全体で活用していくとしている。

ドローンに関する特許共同出願を専門とする企業「Drone IP Lab」

 活動開始当初の投資先も11社決まっている。ハードウェア、ソフトウェア、中核技術、サービスをそれぞれ手掛ける企業をバランス良く選んだという。投資総額はおよそ3億円。今後は国内外で活躍する「エンジェル投資家」や起業家15名以上が有限責任パートナー(LP)として参加する予定であり、資金規模も10億円以上となることを目指すという。

活動開始当初の投資先11社/Drone Japan(精密農業リモートセンシング)、CLUE(遠隔制御IoT&クラウド開発)、DRONE DEPARTMENT(ドローン特化型人材派遣業)、iROBOTICS(24時間連続飛行可能なVTOL機を開発)、Dron e motion(地域創生空撮サービス)、AERIAL LAB(ホバーバイク開発)、DRONE IPLAB(ドローン専門特許出願)、yodayoda.Inc(非GPS環境下の自己空間位置のシステム研究開発を行う)、KAMOMEYA(離島陸海空ドローン物流機開発)、FPV Robotics Inc.(ドローンレース「Drone Impact Challenge」を運営)、AERONEXT (事業内容は17.5.30時点で非公開)

 千葉氏は日本でもドローン関連企業が成長しつつあるとはしながらも、まだ途上段階であると評価している。ドローン関連企業、特にスタートアップ企業が成長を遂げるには、リスクをとって高いリターンを狙う「リスクマネー」の投資と、インターネット業界の経営手法、さらに優れた技術を連携させ、サービスとしてプロデュースしていくことが必要だとしている。そして千葉氏は、「チームジャパンドローン」として、ハードウェアからソフトウェアに至る全方位に渡る投資先の連携に加えて、大企業との協業を通したイノベーションも促進させることで、日本から世界で戦えるドローン企業を育成すると、決意を述べた。