ドローンジャーナル

ドコモと仙台市がドローンで冬山遭難者捜索を目指した実験を実施、ブイキューブロボティクスが機体を提供

 仙台市とNTTドコモは2017年2月25日、泉ヶ岳スキー場(仙台市泉区福岡岳山)で、冬山遭難者の捜索にドローンを活用する実証実験を実施した。仙台市とNTTドコモは2016年8月29日に、「ICTを活用したまちづくりに関する連携協定」を締結している。この協定では、NTTドコモの携帯電話ネットワークを活用した人口統計情報の作成と、その情報を活用した防災計画の策定などに取り組むことで同意してる。さらに、災害発生時の被災状況の確認などにドローンが捉える映像を活用することも計画に入っている。今回の実験は、この協定に基づくものだ。

 実験はスキー客の遭難を想定して、日中に1回、日没後に1回の合計2回実施した。遭難者が携帯電話で119番通報をかけてきたら、「119番通報に関わる位置情報通知システム」を利用して遭難者の現在位置を特定。その位置に向かうようにドローンを設定して離陸させた。ドローンは自律運航で遭難現場に到着した。ドローンの機体や、映像伝送システムなどはブイキューブロボティクスが提供した。

 ドローンが現場に到着した後は、ドローンが備えるカメラとスピーカーを活用した。日中の実験では、一般的な光学カメラを搭載してドローンを離陸させた。太陽光があるので、日中は光学カメラでも難者の様子を問題なく捉えることができた。しかし光源がない夜間に光学カメラを使うことは難しい。そこで、日没後の実験ではドローンに赤外線カメラを搭載した。赤外線カメラは熱を検知して映像化するので、日没後の実験で役に立った。

図1 今回の実験に使った機体。日中は光学カメラ、日没後は赤外線カメラを搭載して遭難現場に向かった

 ドローンが遭難現場に到着したら、ドローンのカメラが捉えた映像をNTTドコモのLTE回線で発信した。同時に、ビデオ会議システムを利用して災害対応の拠点と、捜索隊を結んでビデオ会議を開催した。災害対策の拠点として選んだのは、仙台市災害情報センター(仙台市青葉区)と、泉ヶ岳スキー場の現地対策本部。ビデオ会議の画面には、ドローンが捉えた映像が映るようにして、関係者全員が遭難現場の様子を確認しながら議論し、捜索隊に適切な指示を出せるようにした。

図2 ビデオ会議の画面。災害対応の拠点の様子に加えて、ドローンが捉えた映像も映して、関係者が現場の様子を確認できるようにした

 ドローンが遭難現場に到着した後は、カメラで遠隔地に画像を送るだけでなく、ドローンが搭載するスピーカーを利用して遭難者に声をかけ続けた。救助までの間に声をかけ続けたことで、遭難者の安全を確保し、心理的な不安を和らげることができたという。

 今回の実験で得た成果は3つ。1つ目は、遭難者の携帯電話からの119番通報を受けて、その携帯電話の位置情報をドローンに設定し、遠隔操作で離陸させて自律運航で遭難現場に向かわせることに成功したこと。2つ目は、ドローンのカメラが捉えた映像をビデオ会議の画面に映し、関係者が現場の状況を確認しながら、捜索隊に適切な指示を出すことができたということ。3つ目は、ドローンが遭難現場に到着した後、救助を待つ間にドローンが備えるスピーカーで声をかけ続けることで、遭難者の安全確保と心理的不安の軽減に成功したことだ。

 仙台市の伊藤敬幹副市長は実験の結果を受けて、「将来的な防災・減災分野での活用を見据えながら、今回の実験結果を踏まえて課題を洗い出し、ドローンの有効活用に関して調査研究を具体的に進めていきたい」と、ドローン活用に前向きなコメントを残している。