仙台市は2016年11月5日、NTTドコモとブイキューブ・ロボティクスと共同で、津波襲来時にドローンを活用する実証実験を実施した。実験の目的は2つ。1つ目は、定点カメラでは難しい、広範囲に渡る被災状況の即時確認。2つ目はドローンに高出力スピーカーを搭載して、避難を呼びかけるアナウンスを流し、しっかり聞き取れることを確認すること。

海岸を飛び回るドローン(左)と、着地しているドローン(右)。どちらも本体下部にスピーカーを搭載している

実験の場となったのは仙台市若林区の深沼海岸。飛行するドローンが捉えた画像を、仙台市青葉区にある仙台市災害情報センターにリアルタイムで伝送した。災害情報センターでは、現地の情報を即時に確認できたという。実験に使用したドローンはHD(1920×1080ピクセル)画質の画像を、操作に使うプロポに送信する機能を持っている。今回の実験では、プロポが備えるHDMI端子にケーブルを接続して映像のデータをアナログ変換してから、USB接続でパソコンに送った。そして、パソコンに届いた映像データをインターネット経由で災害情報センターに届けた。災害情報センターでは、テレビ会議システムで映像を映し出した。

高出力スピーカーを使った避難アナウンスでは、ドローンが海岸周辺を飛び回りながら地域住民に避難を呼びかけるアナウンスを流した。実験に参加した仙台市危機管理室の吉川勝元参事はドローンが搭載したスピーカーからのアナウンスを「とてもクリアに聞こえた」と評価している。

仙台市、NTTドコモ、ブイキューブロボティクスの3者は、今後もドローンの様々な活用方法を探りながら、実証実験を続けていくとしている。