NTTドコモ、MIKAWAYA21、エンルートの3社は2016年10月19日、買い物代行サービスにドローンを活用する実験を福岡県福岡市内で実施すると発表した。11月から12月までの間に実施する。実験の舞台は福岡市内にある離島「能古島(のこのしま)」。九州本島とはおよそ2.5km離れている。

写真 能古島。九州本島からおよそ2.5kmの位置にある

 実験では本島にある受付センターで、能古島の住民からの買い物依頼を受け付け、依頼の品をドローンで能古島の中継拠点まで空輸する。中継拠点からはドローン、あるいはトラックで依頼者宅に品物を配送する。

今回の実験の流れ

 本島から能古島までの2.5kmをドローンが飛行するとなると、操縦を担当するオペレーターの視界の及ばないところまで飛んで行くことになる。長距離にわたる目視外運航を高い精度で成功させることができるかを確認することが、この実験の1つ目の目的となる。

 2つ目の目的は、ドローンが飛ぶ空域での通信品質を検証だ。携帯電話網は地上にいる人間が使うことを想定している。ドローンが飛ぶような高所での通信性能は把握しきれていない。上空を飛ぶドローンが安定して通信できなければ、このサービスの実現が難しくなってしまう。また、上空で通信することで地上での通信に悪影響が及ばないかを確かめるという目的もある。

 今回の実験で利用するドローンはエンルートが開発するもので、NTTドコモが提供するスマートフォンを搭載し、携帯電話通信網(LTE)を利用する「セルラードローン」となる。このドローンは、LTEを通して操縦の指示ができる。また、機体の傾きなどの状態を、操縦するコントロールセンターに伝えたり、スマートフォンのGPSを利用して現在位置を伝える機能を持たせる。ドローンが搭載するカメラの画像もLTEで送信できるようにする。

今回の実験に使用するドローン

 ドローンの操縦もエンルートが担当する予定だ。エンルートは実験で得たデータから、セルラードローンの機体制御や監視の精度を向上させることと、セルラードローンがどれほど役に立つのかを検証する予定だ。

 MIKAWAYA21は注文の受付、商品準備と積荷を担当する。ドローンによるサービスを利用したユーザーから感想などを聞き取り、サービス改善のための課題を抽出する。さらに、サービス向上の可能性や、サービス実現の可能性を検討する。

 実験が終了したら各社で実験結果について検証を重ね、2018年度の商用サービス開始を目標に、検討を進めるとしている。