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年末は「キオクのひきだし」を手土産に実家へ帰ろう!
AV機器なみの簡単操作でデジタルデバイスとの高い親和性

 まだ年末の大掃除には早いが、大晦日の一大イベントに参加するため、早々と部屋を片付け始めた。するとそこで、ゴッソリ出てきたのが8mmビデオテープだ。我が家は8mmビデオ→DVカム→HD AVCカムと乗り換えてきた。DVはパソコンとの相性もよく、すべてをデジタルデータ化してDVDに焼いた。しかし8mmビデオはカメラ自体が壊れてしまい、一切デジタル化することなく、テープのまま箱に封印してあったのだ。

発掘された8mmビデオテープは20年前のもの。ディズニーランドにスプラッシュマウンテンができた当時のものだった(笑)
右から8mm、DV、AVCカムと新しく。普通どんどん小さくなるものだが、ウチの場合は大きくなっている……
「キオクのひきだし」を使って、8mmテープをガンガンデジタル化。20本近いテープも3日で全部デジタル化できた。早っ!

 せっかく見つけた20年前のテープ。これを機にデジタル化しようと思い機器を探していたところ、パソコン不要でアナログ映像をデジタル化できる「キオクのひきだし」というものを発見した! 価格は2万2000円くらい。アナログ映像をキャプチャできる安価なキャプチャ装置は4000円程度で買えるのだが、PCを起動しなければならず、データがMPEG-2出力という点で再生する機器を選んでしまう。そうMPEG-2はDVD-Videoとして焼くなら都合のいい形式なのだが、PC用の映像データとしては再生するためにコーデックをインストールしなければならないOSなどもあり、面倒なのだ。

大きさはブロードバンドルーターと同じぐらい。16GBのUSBメモリが添付されていて、これにほぼ5時間の映像を保存できる
USBの外付けドライブを接続したり、「キオクのひきだし」の中にハードディスクを内蔵すれば(いずれも別売)、HDDレコーダー感覚でどんどんデジタル化できる
パソコンでキャプチャーするタイプの装置は安価だが、それなりの知識と手間と時間がかかって大量のテープには不向き

 その点「キオクのひきだし」は、別売のハードディスクを接続すれば、HDDレコーダ撮りためるようにアナログ映像をデジタル化できる。もちろん再生も「キオクのひきだし」だけで可能。その操作はビデオテープやLDなどをデジタル化するのに特化しているので、非常に使いやすい。さらにMPEG-4で記録されるので、スマートフォンからパソコン、AV機器やテレビまで幅広いデバイスで再生できる。

昔のアナログ映像をデジタル化することで、今後の劣化を防げるだけでなく、テープではためらっていた静止画やスロー再生なども、し放題。なにより昔の記憶がハッキリよみがえってくる

 サイズも非常にコンパクトで、インターネット用のブロードバンドルーターほどの大きさと重さ。AVラックのわずかな隙間にでも置いておける点もうれしい。

 結論から言うと、「キオクのひきだし」はアナログ映像のキャプチャ装置としてみると高いが、アナログ映像のHDDレコーダだと思うと安く、そしてさまざまなデジタルデバイスとの相性も抜群。お正月に実家に帰るときは、「キオクのひきだし」を手土産にして、実家にあるアナログ映像をごっそりデジタル化するには最適だ。

再生できる8mmビデオデッキなどが壊れているときはレンタル!

 古いアナログ映像のデジタル化で、最初のブチ当たる障壁が再生できるデッキが壊れちゃってるという問題。中古のデッキをオークションなどで探してみると、もうプレミアがついちゃって新品を買ったときより高くネ?な状態だ。たとえ動作確認が取れているデッキでも、老体に鞭打って使う状態なので、いつ壊れるか分からない。しかもビデオテープは、いつデッキに食われて、ワカメになるか分からない。

今回レンタルしたのは、ビデオウォークマンのGV-D200。1泊2日(宅配便で届いた日から数えて2日間。つまり翌日最終便の宅配便で返却すればOK)で4000円から
営業所が近くだったので、宅配便ではなく引き取りに行ったら、引き取り日はレンタル期間外となって1日儲けた!

 そんなときにオススメしたいのが、デッキのレンタルだ。今回8mmビデオをデジタル化するにあたっても、デッキをレンタルした。機器の故障で再生できなければ代替え器に交換できるので、確実にテープを再生できるのが最大のメリットだ。レンタル代が高いか安いかは、個人の価値によるかもしれないが、少なくても筆者は20年前もの映像をデジタル化してサルベージできたので安いと感じた。なにより、思い出はカネに替えがたい。

 レンタルできるのは8mmビデオだけじゃない。レーザーディスクにVHS、DVなど各種デッキがあるので、インターネットでそれぞれの名称+レンタルで検索するといい。

デジタル録画はHDDレコーダなみに簡単!タイマー設定で録画の自動停止もOK

 「キオクのひきだし」は機能をアレコレ説明するより、キャプチャの様子を見てもらった方が分かりやすいだろう。ここでは機器との接続から録画までの流れを紹介しよう。

デッキとテレビの接続

 デッキからの映像信号は、ピンプラグ(RCA)のコンポジット信号(Y/C混合)または、Y/C分離のS端子で入力できる。高画質でデジタル化するならS端子で入力するといいだろう。オーディオ信号はラインレベルのピンプラグで入力する。D端子をはじめとしたコンポーネント信号は入力できない。

 一方「キオクのひきだし」の画面出力はHDMIがいいだろう。HDMI入力端子があるパソコン用のディスプレイ(一部、音声が出ない製品がある)も利用可能だ。HDMIコネクターがないアナログテレビは、D端子出力とRCAの音声出力を接続する。

「キオクのひきだし」の背面コネクタ。左から専用の入力端子、音声出力、D端子出力、HDMI出力、電源コネクタ
デッキとの接続はS端子でつなぐと高画質になる。この場合黄色いプラグは接続しなくてOK
「キオクのひきだし」に添付されているケーブルに、デッキからのケーブルを接続
「キオクのひきだし」との接続は、コネクター1つなので抜き差しが簡単

テープの時間を選んで録画開始ボタンを押すだけでOK

 映像を録画するのは、「キオクのひきだし」のフロントパネルにあるUSBコネクタに、付属のUSBメモリは外付けドライブを接続する。あとは本体の電源を入れ、メインメニューから「新規録画」を選ぶと、映像ソースを選ぶ画面になる。ビデオデッキやカメラ、LDなどを選べるが信号やメディアが云々というわけではなく、このあと指定する録画時間の指定方法が切り替わるだけのようだ。通常はビデオデッキを選んでおけばいいだろう。

操作は付属のリモコンで行う
新規録画を選ぶと、どの装置から録画するかを選択する画面になる
続いて録画するテープの時間を指定する。録画開始ボタンを押してから指定時間経過すると自動的に録画が止まるので便利
テープに印刷されている時間を指定。120分テープを使っていても、半分しか使っていない場合は60分と指定してもいい

 次にメディアの録画時間を選択肢から指定する。録画は、録画開始ボタンが押されてから、指定時間だけ行われ自動で停止する。つまり120分テープを使っていても内容が60分しかない場合は、60分を指定すればいい。

 あとはデッキでテープを再生し、録画を開始するポイントでリモコンの録画ボタンを押す。あとは自動で録画されるので、機材の前にいる必要ない。

 録画を終えると、ファイル名や撮影日時、分類などを設定する画面が表示されるので、必要に応じてリモコンで設定する。なお「キオクのひきだし」には、テレビやHDDレコーダのような漢字変換機能がないので、ファイル名に漢字は使えない。

テープを再生し、録画をスタートする場所でリモコンの録画ボタンを押す
録画中は、画面右上に録画済みの時間と、残り時間などが表示される。途中に不要なシーンがある場合は、録画を一時停止・再開することもできる
録画終了するとファイル名の変更、撮影日時の指定、分類の指定ができる
分類は表示されている7種類から選べる

録画した映像は簡単に再生でき早送りや倍速などの特殊再生もOK

 録画した映像を見るのは、HDDレコーダー以上に簡単。指定したジャンルごとに映像が分類されているので、ジャンル→ファイルの順に選択するだけだ。すぐに再生が始まり、昔の記憶がよみがえるだろう。

メインメニューから分類を選ぶ
続けて再生するファイルを選ぶと再生が始まる
デジタル録画による映像の劣化は「ない」といっていいほど。さすがにハイビジョンに見慣れていると8mmの画質の悪さは気になるが、それも味として鑑賞するといい

 再生中はリモコンの操作で、次のような特殊再生ができる。

一時停止 静止画面表示
フレーム再生 前後1コマ送り
10秒巻き戻し 見逃し巻き戻し
30秒送り 連続送りもOK
1/2スロー再生 動きの速い映像に
2,4,8,16,32倍速再生 手動で巻き戻し、早送り
前後のビデオに切り替え 次・前のビデオを再生
画面撮影 JPEGで静止画を保存

 ビデオテープと違って、スロー再生や静止画表示、早送りなどをしても一切画質が悪くならないので、思う存分トリックプレイを楽しめる。テープでは躊躇していた、これらの特殊再生を思う存分に楽しめる。

ダチョウが走る様などはスロー再生でじっくり観察できる
ボタンを操作すると数秒だけガイドが表示される
数秒経つとガイドが消え普通に映像を見られる
リモコンの操作1つでさまざまな特殊再生ができる

内蔵HDDに撮り貯めてもヨシ、外付けUSBメモリに記録してPCに貯めてもヨシ!

 「キオクのひきだし」は、添付のUSBメモリ(16Gバイト)に映像を記録できるが、録画時間はおよそ4.5時間。USBメモリは安く手に入るので、テープ数本ずつを記録して保存しておいてもいいだろう。

 しかしオススメしたいのは、ハードディスクへの保存だ。USB2.0以上に対応した外付けドライブを接続すると、大量のアナログ映像を外付けドライブに保存できる。たとえば500Gバイトのディスクなら、およそ144時間記録できるので、120分テープに換算すると72本ぶんを保存できる。

パソコン用のUSB2.0以上に対応した外付けドライブをつなげば、じゃんじゃんデジタル化できるので作業もはかどる。モノにもよるが500GBのディスクで7~9千円程度
外付けドライブが邪魔という場合は、本体にドライブを内蔵できる。パソコン用の2.5インチ シリアルATAというドライブを買ってくればOK
本体裏のフタを空けて、差し込むだけ。外付けUSBドライブをつなぐのとあまり変わらない

 外付けドライブが邪魔という場合は、パソコン用の2.5インチシリアルATAのドライブを本体内に内蔵することも可能だ。取り付けは簡単で、「キオクのひきだし」の底にあるフタを開け、ハードディスクを差し込むだけでいい。取り付けは、外付けドライブ並みに簡単なので、内蔵ドライブをオススメしたい。

 内蔵ドライブと外付けドライブの2台を接続している場合は、どちらのドライブを録再生するかを切り替えられるほか、映像を相互にコピーできる。

2台のドライブがつながっているときは、外付けと内蔵のどちらに映像を記録するかを選べる
内蔵⇔外付け間で映像のコピーもできる

録画した映像はパソコンでも再生できる

 USBメモリーや外付けドライブに保存した映像は、パソコンでも再生ができる。エクスプローラなどでディスクの内容を見ると、AVerMediaというフォルダがあり、すべての映像がここに保存されている。拡張子MP4のファイルをダブルクリックすれば、普通のムービーと同様にメディアプレイヤーなどで再生可能だ。

WindowsのエクスプローラーでUSBメモリやUSB外付けドライブの中を見ると、映像はMPEG-4形式で記録されていた
ダブルクリックすればメディアプレイヤーで再生できる

 もちろん普通のファイルと同様に、録画した映像ファイルをパソコンのハードディスクにコピーすることもできる。注意すべきは、USBメモリや外付けドライブのファイル名などを変更しないこと。もし変更すると「キオクのひきだし」で再生できなくなったり、映像の一覧に表示されなくなったりする。またパソコンのハードディスクにあるMPEG-4をコピーしても、「キオクのひきだし」では映像の一覧として表示されず、再生できない点も注意して欲しい。

 とかくムービーファイルは、各種の制限や仕様あるのでNTFSやムービーのエンコードの知識があるという人のみ試してみてほしい。

 なお筆者が独自に調べたところ、MPEG-4の詳細なフォーマットは以下のようになっていた。

映像コーデック AVC/H.264、MAINプロファイル、レベル4.1
映像ビットレート 7,493kbps(7.5Mbps)
サイズ 720×480ピクセル
フレームレート 59(59.94)fps
音声コーデック AAC-LC
音声ビットレート 128kbps
チャンネル 2チャンネル-ステレオ
サンプリングレート 48kHz

 古い4:3のアナログ映像を720×480ピクセルの7.5Mbpsで記録しているので、スポーツや乗り物など動きの速い映像であってもデジタル化ノイズ(動き速い被写体などにモザイク上のノイズが発生する)は、理論上ほとんど出ないだろう。カメラを上下左右に振るパンやチルトでもノイズは確認できなかった。

 そしてMPEG-4最大のメリットは、AV機器やテレビ、スマートフォンにパソコンとさまざまなデバイスが対応している点だ。録画した映像ファイルは、これらのさまざまなデバイスで再生できるので、活用範囲が大きく広がるだろう。ただし映像ファイルによっては、途中までしか再生できないデバイスもあるので注意して欲しい。

ファイルのプロパティを見ると、詳細情報も確認できる
NTTドコモのGALAXY Tab SC-01Cで「キオクのひきだし」で録画したMPEG-4が再生できた

HDDレコーダ感覚で古い映像を劣化なしでどんどんデジタル化!

 「キオクのひきだし」は、古いアナログ映像を効率よくデジタル化するには最適の機器だ。古い映像をDVDやBul-rayに記録してしまうと、AV機器では手軽に視聴できるが、パソコンのムービーファイルとして保存しづらくなってしまう。かといって古い映像をパソコンでビデオキャプチャすると、手間が掛かりすぎて面倒だ。

 「キオクのひきだし」は、AV機器の手軽さとパソコンとの親和性を兼ね備えてた「イイ感じの映像デジタル化ツール」として強くオススメしたい。

 この年末、実家に帰る人も多いだろう。冒頭でも述べたが、「キオクのひきだし」を手土産に帰省して、実家にある8mmやDV、VHSなどの懐かしいアナログ映像の数々をデジタル化してはいかがだろう?  そして正月番組に飽きたころ、家族や親戚一同で昔のビデオを見ると、その場が大いに盛り上がることを約束しよう。あの日、あの時の記憶や感動、臭いや味までもよみがえってくるはずだ。

(藤山哲人)