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スターバックスに株式公開の噂 [経済リポート一覧へ]

 スターバックスコーヒーが続々と出店している。首都圏、関西で急激に店舗を増やしたほか、名古屋にも出店を開始した。まもなく都市部をあの緑のマークで埋め尽くすのではないだろうか。

 スターバックスコーヒーは、ご存知米国の大手コーヒーチェーン。日本法人が設立されたのは約5年前だが、出店が加速したのはここ1~2年。この1年間で店舗数は倍増し約200店となった。売上げも128億円から約235億円へ倍増する見込み。ただ利益に関しては前期が1億円程度の赤字、今期もようやく黒字転換するかといったレベルのようだ。

 しかし、初期段階においてすぐ利益を生まないのは良くあること。成長性は高い。実は出店ペースが加速したのは米スターバックスの要請によるもの。日本における収益性が高いことが分かり、一気に出店攻勢に出たと思われる。そんなに成長力のある企業なら、ぜひ株を買ってみたいと思うのが当然だ。

 ●サザビーがバックに
 先週、スターバックスコーヒージャパンは、日本で株式公開する予定があると報じられた。だがその時期がいつになるかはわからない。もし公開前に投資したいのならその親会社を探すのも一法だ。スターバックスジャパンの株主は、米国スターバックスと日本のサザビー(7553)。サザビー? 良く聞く名前だ。バッグなどのファッション雑貨で有名な企業である。

 サザビーは興味深い企業である。まずアニエスベーを日本に持込んだのがサザビーである。次にアフタヌーンティの展開、つまりファッション感度の高い外食業へ進出している。最近ではキハチ。ソフトクリームが美味しく中華などの料理でも定評があることで有名だ。

 このようにサザビーは外国ブランドを日本に導入するノウハウとファッション性の高い外食産業の店舗展開に長けた企業だ。この意味からスターバックスが日本で成功したのは、米国ブランドの力によるものだけではないと推測される。

 外資上陸は脅威だろうか。規制で守られた日本の生温い土壌に、激しい競争を勝ち抜いた欧米企業が攻めてきたらひとたまりもないということは、よく言われる。

 だがこの認識はあまり正しくない。日本で勝ち抜ける外資はそれほど多くないのだ。バーガーキングは撤退することが決まった。コストコは好調と言えるだろうか? ブーツはマツモトキヨシ(9875)に圧勝したのか? サーティーワンやハーゲンダッツのように日本にはない素晴らしい商品を提供する企業でも日本における業績はよいとは言えないのだ。

 ●直取引の幻想
 最近の例で言えばカルフールはどうだろうか? 外資上陸で日本の総合スーパーは戦々恐々と伝えられたこともある。その際に言われた同社の特徴は、メーカーとの直接取引。日本の流通経路は複雑で長いため無駄なコストが大きく、そこを省くことで低価格を実現するというものだ。

 事実は少し違う。少なくとも日本の加工食品や日用雑貨業界は大手メーカーや大手卸売が君臨する市場。優れた物流システムも構築されている。古い日本的慣行は残るものの、決してむやみやたらとコストが加算されているわけではない。だから直接取引で単純に価格が下がるものではないのだ。メーカーにとってもメリットはなく、大手小売りや卸売との関係を考慮するとむしろデメリットが大きい。

 結局、カルフールはほとんどの日本大手メーカーと直接取引することができず、卸を通すことになった。また商品調達においても紆余曲折があり、品揃えが偏る現象も生じている。これでは日本の総合スーパーと同じ土壌どころか、不利な土壌での戦いとなるだろう。最初の戦場となった千葉・幕張では近くにあるイトーヨーカ堂(8264)の店舗は売上げを伸ばしているくらいなのだ。

 ●トイザらス成功の秘訣
 直接取引という言葉にびびる理由がないわけではない。トイザらス(7645)は日本においてこの直接取引で圧勝したと言われているからだ。だが、玩具と加工食品及び日用雑貨ではその市場が全く異なる。玩具市場ではメーカーや中間業者の規模がもともと小さい。つまり格段に効率的な流通の仕組みを作れる余地があったのだ。

 子供のために親が買い物する店という業態が日本になかったことも大きい。日本トイザらスは、日本進出からわずか10年だが国内シェアはすでに約15%。以前は玩具小売大手と言えば、チヨダ(8185)、靴のマルトミ(9863)くらいだったが、今のままでは太刀打ちできないだろう。ノウハウ、力量のある小売業がこのカテゴリーに参入しない限り、日本トイザらス一人勝ちの状態が続く可能性は高い。

 日本トイザらスも単純に米国式を持ち込んだだけで成功したわけではない。日本の社会で成功できるよう、さまざまな問題を克服し現在の形を築きあげたわけだ。やはり外資が日本で成功するためには、導入する役者が重要となる。日本トイザらスの大株主は日本マクドナルド、導入に関しては同社の藤田田会長が関わっているようだ。なるほど納得である。マクドナルドも、もともとは外資だが、日本マクドナルドが国内で一人勝ち状態になっているのは、間違いなく独自の戦略、力量によるところが大きいのだ。

 その日本マクドナルドも、いよいよ株式を公開する(7月末予定)。売上高4,300億円、日本外食産業のトップに君臨する久々の大物の登場だ。半額バーガーや店舗開発、運営の仕組みを見る限り、日本マクドナルドのノウハウ、力量は抜き出ている。国内で一人勝ちするに十分な資格を携えていると言えよう。もし日本の株式市場が低迷を続けていれば、株を割安な価格で手に入れることができるだろう。その時はチャンスである。

[フィスコ提携アナリスト 松本 竜太郎]

2001/3/21

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