FINANCE Watch

● 記事検索 [ランキング]
● ニュース<Top>
 ・最新ニュース45本
 ・マーケット動向
 ・個別企業
 ・月別記事一覧
● リポート<index>
 ・インタビュー ・経済
 ・企業 ・政策 ・政治
 ・ゲームに投資

● 話題最前線
 ・バックナンバー
● 連載コラム
 ・瓦版一気読み
 ・ニュースの見方
 ・市場より3歩先を
● 再編マップ
 ・銀行など4分野
● IPO情報
 ・予定一覧
● 証券用語集
 ・入門編
● サービスデータ
 ・オンライン証券
 ・オンライン銀行


● 関連リンク集
 ・リンクインデックス
click!
[PR] 
ゲームに投資(10月30日更新) [ゲームに投資一覧]

 先週のゲーム株は、業績を上方修正したバンダイ(7967)だけが上昇、システムソフト(7527)およびティーアンドイーソフト(9611)が変わらず、その他はすべて下落した。特に先々週に業績を下方修正した角川書店(9477)は26%もの大幅下落、先週業績発表あるいは下方修正したソニー(6758)やアトラス(7866)などもそれぞれ9%、15%と大きく下落した。日経平均が年初来安値を更新するような最悪の環境のなか、ゲーム業界全般の将来性も懸念されていることから、大幅に売りが先行したようだ。

●資本増強の引き受け先は・・・
 先週末、株式市場が終了した後に、ある“衝撃”が走った。それは、あの「ダービースタリオン」や「ファミ通」どで有名なアスキー(9473)が債務超過に陥ったというのだ。債務超過とは、会社の累積損失の額が自己資本を上回ることを指し、会社の金銭的価値が著しく劣化したことを意味する。そしてその債務超過の主な原因は、ゲーム事業での失敗であるという。2000年9月中間決算で、ゲーム事業だけで32億円の特別損失を計上し、39億円の最終赤字に転落する。

 また、それに加えてその他の新規事業プロジェクトの中止や投資有価証券による評価損など、合わせて12億円計上するのも響いた。しかし、会社側はこの危機的な状況に対して、このように述べている。「これは一時な状況であり、利益計上による早期の解消が十分可能であると考えている」と・・・。一般的に、債務超過に陥った企業は、早期にこの債務超過を解消するために、資本増強などを行うのが通例である。もし、そのような対策を講じない場合は、対外的な信用は失われ、今後のビジネスに支障を来すことになる(いつ倒産する分からない企業とは取引しづらい)。

 では、その資本増強するための引き受け先は存在するのであろうか。そもそもアスキーはご存知の方も多くいらっしゃるとは思うが、情報システムのCSK(9737)が51%出資する“CSKの子会社”なのである。だから、本来CSKが支援に乗り出すというのが普通である。しかし、CSKは他にも、セガ・エンタープライゼス(7964)という“超大物経営不振企業”をグループ内に抱えており、今期連結決算見通しで8期連続の最終赤字になるなど、現在“火の車”状態なのである。

 親会社CSKとすれば「できの悪いのは長男“セガ夫”だけと思っていたが、次男“アスキ一郎”の方がもっと悪かった」というやりきれない気分なのであろう。いずれにせよ、アスキーは現在、制作を外部委託している仕掛け中のゲームタイトルは原則としてすべて発売を見送ると同時に、新規事業拡大などで巻き返しを図る計画を立てている。アスキーの株価は先週末現在で613円をつけており、今後の動向が注目される。

●エンディングに見たものは?
 問題1:「もしプレステ2が爆発的に売れるとしたら、何に投資をすればよいか?」・・・正解は勿論「ソニー株」である。それでは問題2:「遊戯王が子供だけでなく、大人にも大ヒット。それではどこに投資すべきか?」・・・正解は「コナミ株」である。ここまでは簡単な問題であった。それでは最後の問題3:「新作ソフト“ときめきメモリアル3”がドラクエを凌ぐほどの大人気に!」・・・正解は何であろうか。

 そのゲームを販売するコナミ株? いや、それを制作するKCE東京株(4780)? それとも?。今回は両方とも不正解である。正解は「ゲームファンドときめきメモリアル」である。「何じゃそれは?」と、お思いの方もいらっしゃることでしょう。この「ゲームファンドときめきメモリアル(以下“GFときメモ”)」は、わが国初めてのゲームソフトを証券化した投資ファンドなのである(仕組みは25日付のFINANCE Watchに詳しい=http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/10/25
/doc817.htm
)。

 コナミとマネックス証券および、みずほ証券の3社が協力して、ゲームソフトの制作・販売事業から得られるキャッシュフローを担保に証券化し、事前に開発資金を調達するものなのである。先週もこのコーナーでお伝えした通り、最近のゲームソフトは制作費の高騰が著しく、コンピューターグラフィックス(CG)を活用した最新ソフトの制作費は最低でも2億円規模が必要となっているの現状である。大きな会社はともかくとして、小さな会社はこのソフト制作費にかかるコストやリスクの負担が非常に大きく、ゲーム制作上の大きな障害となっている。

 ハードメーカー側としても、ゲームソフトの種類がそのままハード本体の売れ行きに直結するため、ハードの性能を強化するよりソフトの作り易さや制作リスクの軽減などを主眼に置いたハード作りがメインとなっている。そのような状況のなか、2001年には米マイクロソフト社の次世代ゲーム機「Xbox」が登場することもあり、ソフト会社にとっても制作費負担が軽減できる仕組みの整備が急務となっていたのである。

 今回「GFときメモ」が投資するゲームは、もちろん「ときめきメモリアル3(仮称)」であり、女性ユーザー向けの「新ときめきメモリアル(仮称)」にも投資する。そしてそのゲーム販売事業から生じる収益は投資家に配分され、ゲームソフトが売れれば売れるほど、投資家は儲かる仕組みとなっている(損する可能性もあるが・・・)。

 さらに、このファンドを10口(1口1万円)以上購入し償還(約2年半)まで保有された投資家全員(希望者のみ)にある特典がついている。それは、ゲームのエンディングロールに名前が記載されるというものである。さらに、20口以上購入した場合は「ときめきメモリアル3」の限定版がもらえるというメリットもある。ゲーム終了時におけるあの達成感溢れるなか、エンディングで自分の名前を発見できたらさぞかし感動ものであろう。

●今週の展望
 今週は株価下落が著しいセガに注目してみたい。先週の金曜日に下方修正を発表し、今期の連結赤字220億円と業績面では決して買える株ではないが、オンラインゲーム大手の米ファミリーワンダー社を買収するなど、積極姿勢が見てうかがえるのが主な買い要因である。CSKグループがちょう落の一途を辿るなか、セガだけはその積極姿勢がひと際目立つ存在となっており、技術力の高さも意外と評価されている。

 アスキーが債務超過になったことで大幅に売り込まれる危険性はあるものの、一旦“悪材料出尽くし”となり、売り方の買い戻し(10月20日現在、信用倍率1.16倍)も期待できる。あくまでも短期投資を前提とし、“ツッコミ買い”で勝負したい。というわけで今週は、セガのツッコミ買いに期待!ということで締めさせて頂くが、依然と株式相場の下落に歯止めがかからないことから、“絶対なる復活”を祈って今週は以下の呪文を唱えたい。・・・・・・「ザオリク!」

□関連表
・ゲーム各社騰落率
・ゲーム各社先週の動き

フィスコ アナリスト 黒岩 泰
2000/10/30
プライバシーについて | 編集部へのご連絡 Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.
本サイトの内容につきましては万全を期しておりますが、提供情報がシステム等に起因する誤りを含んでないこと、すべての事柄を網羅していること、利用者にとって有用であること等を当社及び情報提供者は保証するものではありません。
当社及び情報提供者は利用者等が提供情報に関連して蒙った損害ついて一切の責任を負いません。投資等の判断をされる場合は、他の資料なども参考にしたうえで、ご自身の判断でお願いします。