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PCCWジャパンが米国ネットワークゲーム開発の「VR・1」を買収

トッド・ボナー PCCWジャパン社長(左)
トニー・ハーマン VR・1プレジデント(中)
ウォルター・コング
PCCWジャパンヴァイスプレジデント(右)
  パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン(7954、PCCWジャパン)は23日、米国を拠点とするインターネットQoS(クオリティ・オブ・コンテンツ=コンテンツ配信の品質保証)アプリケーションを手がけるサケイデンス・コーポレーションの「VR・1エンターテインメント事業部」を総額3,800万ドル(約40億4,000万円)のPCCWジャパン株式(560万株相当)で買収することで合意したと発表した。

  PCCWジャパンが発行済株式数の5.5%にあたる560万株相当の普通株を発行、これをサケイデンスに第3者割当する形で行う。諸手続きを経て、今後30日後をめどに買収を完了する。

  VR・1はネットワークゲーム開発会社。28.8kbpsのアクセススピードで数千人のユーザーがリアルタイムで同時にゲームに参加することを可能にする独自技術「Conductor」をもっている。この技術を用いたゲーム設計は、ハスブロインタラクティブ、ブリティッシュテレコム、フランステレコム、ドイツテレコム、サムソンSDSなど世界のソフトウェア企業、通信企業に対してライセンス供与している。

  PCCWジャパンのトッド・ボナー社長は「ブロードバンドの普及もあってネットワークゲーム業界は今後飛躍的に拡大するとみており、今回の買収により昨年8月に買収したジャレコのゲーム事業を大幅に強化する」と買収の狙いを述べ、「世界のネットワークゲーム業界のリーダー的存在になる」と表明した。PCCWジャパンは「Conductor」を使ったエンターテインメントアプリケーションの独占権を得ており、PCCWグループとしても活用していく。

  今回の買収によるネットワークゲームの提供は、まず専門のWebサイトを開設し今夏をめどにサブスクリプション・モデル(サービス加入契約制)でサービスを開始する予定。

VR・1の最新ゲームリスト
  VR・1のゲームはこれまで12本のゲームを開発しており、今後2年間で5本のゲームを開発する予定。PC、オンライン、Xbox、プレイステーション2、ゲームボーイアドバンス、携帯電話、ニンテンドー ゲームキューブなど様々なプラットフォームで提供していく方針。

  すでに、マイクロソフトはVR・1の多人参加型エアー・コンバットゲーム「ファイター・エース(バージョン2.2)」を販売する契約を締結しており、2001年以内に発売予定のゲーム機「Xbox」向けの開発契約も締結している。また、ソニー(6758)は「Conductor」をミドルウェア・ソリューションとしてプレステ2向けオンライン・ゲーム開発に使用する契約を結んでいる。

  さらに、VR・1ジャパンはWAPやJavaスクリプトを採用した携帯電話、モバイル端末上のゲームを開発するためのバックエンドサーバーソリューションとして「Conductor」を利用している。現在10種類の携帯端末用ゲームを開発中で、アジア地域における今後のiモード戦略の推進に関する契約を松下電器産業(6752)と締結。PCCWジャパンは昨年12月に発表したB-Factory買収と合わせ、「Conductor」技術を用いたアジアでのモバイル戦略の強化も図ることになる。

■URL
・パシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン(PCCW)
http://www.pccwj.co.jp/
・サケイデンス・コーポレーション
http://www.circadence.com/
・VR・1
http://www.vr1.com/

(別井貴志)
2001/02/23 16:22