FINANCE Watch
霞が関のIT“参謀本部”は経済産業省に~郵政は恨み節

  6日にスタートする中央省庁再編で、通産省は「経済産業省」に衣替えし、郵政省は「総務省」の一部として新たなスタートを切る。通産省は、これを機にIT政策での主導権を握ろうと、体制固めを着々と進めている。一方、郵政省から聞こえてくるのは、「IT関係の3局が2局に減らされた」という再編への恨み節。IT政策でともに中心的な役割を担い、しのぎを削ってきた両省だが、中央省庁再編を境にその位置付けは明暗を分けそうだ。

  ●4課体制でIT重視姿勢打ち出す
  経済産業省と、念願だった「経済」の冠を戴く省に変わる通産省で、IT政策を担当するのは商務情報政策局。局長には太田信一郎氏、審議官には古田肇氏と、機械情報産業局での局長・次長コンビが揃って横滑りし、「省庁再編に絡む幹部人事で、敢えてこの2人の異動を見送ったのは、ITを重視している証拠」との声が省内からも聞こえてくる。

  商務情報政策局でもとくに、「IT部署」と言えるのは、(1)機情局の電子政策課が看板替えする「情報政策課」(2)室から課に昇格する「情報経済課」(3)現行のまま存続する「情報処理振興課」(4)情報家電に代表されるIT化の広がりを背景に、電子機器課と電気機器課を一本化した「情報通信機器課」―の4課。なかでも「情報経済課」は、インターネットを活用した電子商取引にまつわるルールづくりの重要性などが急速に高まっていることに対応し、戦略的に格上げされた。

  さらに、これら部隊をにらむ参事官が置かれ、突発的な事項にはこの参事官が陣頭指揮を執るチームを機動的に設置する仕組みを盛り込み、同省の強い意欲のほどを示す広がりのあるIT体制となった。

  ●戦略会議・戦略本部も一本化
  一方、通信政策、電気通信、放送行政の“IT3局”を維持してきた郵政省のIT体制は、総務省への移行後、放送を管轄する「情報通信政策局」と通信に関しての「総合通信基盤局」の2局体制に縮小される。この枠組みに不満しか口にしない同省幹部の姿勢から憶測するに、次代を見越した前向きなIT施策がここから生み出されるとは考えづらい。

  鳴り物入りで立ち上がったIT戦略会議と戦略本部は、中央省庁再編とともに全閣僚と民間有識者を交えた「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」へと移行するなど、政府のIT政策は新時代を迎える。それをリードするのはやはり経済産業省のようだ。

■URL
・通産省(経済産業省)
http://www.miti.go.jp/index.html
・NTT再々編の進展は期待薄~「総務省」のIT人事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/01/04/doc1583.htm

(野崎英二)
2001/01/05 11:21