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楽天がインフォシークを買収~ヤフーと真っ向勝負

会見する三木谷社長(左)
  インターネットを使ったショッピングやオークションサービスを展開する楽天(4755)は30日、インターネットビジネスの業容拡大を図るため検索サービス大手のインフォシークを90億円で買収し、完全子会社化すると発表した。

  インフォシークは、1996年10月にデジタルガレージ(4819、12月14日店頭公開予定)が米国Infoseekからライセンスを受けるかたちでデジタルの1事業部門として日本でサービスを開始した。その後、1999年6月には事業部門が独立する形で日本法人化。同年11月には100%保有する親会社の米国Infoseekの全株式をウォルト・ディズニーグループが取得していた。

  今回は、楽天が米国Infoseekから日本法人インフォシークの全発行済み株式810株を12月7日に取得する予定。楽天の年間売上高のおよそ15倍にあたる取得額90億円は、ブランドの所有権や検索エンジンなどの各種技術の独占使用権なども含む。基本的な営業体制やサービスは現状のまま、楽天とは独立した形で進めていくが、新生インフォシークの会長に三木谷浩史・楽天社長が就任、社長は現在の中村隆夫氏が引き続き就く。

  インフォシークの2000年9月期の売上高は、11億4,500万円と前期比4.8倍に増加しているものの、営業損益は12億7,000万円の損失と損失額が同39.7倍にも膨らんでいる。三木谷氏は「今後は双方のブランドをうまく活用して、キャンペーンや販売促進などを協力して展開することで相乗効果を狙う。その結果マーケティング費用の低減なども見込まれるため比較的短期間での黒字転換が可能だ」としている。具体的には、例えばインフォシークのWebサイトのトップページに「楽天ショッピングゾーン」を設けることなどを考えているという。

  楽天は、これまでいわゆる電子商取引ビジネスを展開する企業だったが、これで検索やメディアといった分野にも進出することになる。今年度の上半期ごろまでは、ヤフー(4689)が「Yahoo!ショッピング」で強力に楽天をライバル視してきた。ヤフーは、検索・メディア企業が電子商取引に進出した形で、いわば今回の楽天とは逆のパターン。いずれにしても、楽天、ヤフーとも同じような業容になったことで、これまで以上の熾烈な競争が展開されそうだ。

インフォシークの業績

■URL
・楽天
http://www.rakuten.co.jp/
・インフォシーク
http://www.infoseek.co.jp/

(別井貴志)
2000/11/30 19:55