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 不良債権残高(金融再生法基準)は3兆6405億円で、4大メガバンクではみずほフィナンシャルグループに次ぐ規模。ただ、剰余金と貸倒引当金の合計額は不良債権額をわずかながら上回ることから、健全性はギリギリ確保しているといってよい。

 問題は、今後の融資先企業の動向。とくにさくら銀は問題ゼネコンの処理を先送りしてきており、こうした融資先の財務内容が悪化すれば不良債権が急膨張して体力をすり減らす危険性もある。合併する2001年4月までにフジタ、三井建設などの問題ゼネコンを上手くソフトランディングさせられるかどうかが、合併後の当面の収益を左右する。

 金融機能面から見ると、信託機能の強化が最大の課題。住友信託銀行、中央三井信託銀行と親密な関係にあるとはいえ、両行ともいまのところ「自主独立」路線を維持する姿勢を示し、ひところ囁かれた住友信託と中央三井信託の経営統合構想も色褪せつつあるからだ。背景には、旧中央信託が破たんした北海道拓殖銀行から引継いだ本州内店舗の資産内容・収益性が悪すぎることがある。仮に、住友信託、中央三井信託のいずれをも取り込めなかった場合、三井住友銀行は資産運用、年金ビジネス、不動産投資信託、プライベートバンキングといった今後の成長分野に対応する「ビークル」を持たないまま、グローバル競争を闘わざるを得ないハメになり、苦戦を強いられるのは必至だ。

富田 隆志
(2000/11/15)

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