これが自宅のモニター環境。FlexScan SX2462W-HXを2台購入して、デュアルモニター環境を構築

 2011年の夏頃、ナナオEIZOブランドのモニター「FlexScan SX2462W-HX」を買った。同じ機種を2台購入。これでデュアルモニター環境を構築したのだ。

 で、結論から言ってその使い心地は最高♪ 特筆すべきは色表現の正確さ。ナナオ製モニターはその色表現の正しさで定評があるが、俺環境におけるソレは我ながら驚いた。何しろ2台のモニターでその色表現がほぼ完全に合致しているのだ。しかもイキナリ。購入後、2台のSX2462W-HXをPCに接続し、それぞれに同じ画像やウェブサイトなどを表示してみたら、両画面ともちゃ〜んと色が合っている!!

 とか書くと「同じ機種なんだからアタリマエでは?」と突っ込まれそうだが、そうでもナイのだ。以前、某有名メーカー製モニター(同機種)を2台買ってデュアルモニターとして使ったが、左右のモニターで色が全然違う。必死に調整して色を合わせたが、それでも完全に色が合致するまでには至らなかった。てか、思い返せば、マルチモニターで各モニターの色が完全に合致した経験のほーがずっと少なかったこれまでの俺。なので、「SX2462W-HXを2台使ったらイキナリ色が合致した」のは小さくないショックでありオドロキだった。

 それともうひとつSX2462W-HXを使っての驚き。も〜コレね、明るさや色のムラが非常に少ない……っていうかムラを発見できず!! ぶっちゃけた話、そのへんで売ってる普通一般のモニターは、多かれ少なかれムラがある。たとえば「よく観察すると画面中央と画面端では明るさが少し違う」とか、「画面いっぱいに同じ色を表示しているのに、端のほうが僅かに赤みがかっている」などとムラを見つけられたりする。

 しかしSX2462W-HXの場合、「ムラを見つけようとしても見つからない」のだ。何これマジ? 俺の目がヘンなの!? みたいな気さえしてくる。

 とにかく、SX2462W-HXをデュアルモニターとして使い始めて以降、もう気分爽快。デジタル写真閲覧が楽しい!! フォトレタッチが快適!! モニターのクオリティって、作業効率のアップに加え、ユーザーの気持ちをここまで明るく元気にしてくれるモンなんですな♪

 しかし、なんでSX2462W-HXっていうかナナオ製モニターってこんなに高品位なのか? 製造工程に独自のナンカがある!? 凄い技術で表示の調整とかしているのかも!? てな興味がわいたので、ゼヒ、ナナオのモニター工場に行ってFlexScan SXシリーズのヒミツに迫ってみたい!!

FlexScan SXシリーズ生産ラインに立ちた~い!!

ということで、石川県白山市にあるナナオ本社工場を訪ねてみた

 ナナオのハイエンドモニターFlexScan SXシリーズはもちろんMADE IN JAPANでありナナオの自社製。基板ユニットの製造〜組み立て〜調整まで全工程が石川県の各工場(本社工場/羽咋(はくい)工場/七尾工場)で行われる。そして石川県から日本国内および全世界に出荷されているのだ。

 で、今回潜入したのは本社工場。羽咋工場から送られてきた基板ユニットなどの部材から最終製品への組み立て、調整、検査、出荷までを受け持つ工場である。できれば実際にこの工場の生産ラインに立って、どんなふうな手順でFlexScan SXシリーズが生まれるのかを間近で見たいゼ!! 間近で見てナナオクオリティのヒミツを探るゼ!! てな勢いで早速工場内へ。

 あ!! アレが生産ラインだナ♪ 俺にもモニター作るの手伝わせれ〜、と一歩前に出た瞬間、止められた。まあそりゃそうだ。シロートがいきなり生産ラインに入ったらナナオの品質落ちちゃうもんネ。でも、せっかく石川県まで来たんだし、本社内には生産ラインで働くための研修施設もあると聞く。じゃあ、ぜひ俺にも研修を受けさせておくんニャさい〜とお願いした。ら、基本の基本の研修(の入口)あたりを体験させてくれた。

 まずは座学。生産部門の役目や生産ラインのしくみ、品質管理や職場の心得について学んだ。次にちょっとした技術習得。なるべく早く正確にパーツをセットしたり、正しくネジを締めたりするための実技講習ですな。実技講習で、けっこー驚いちゃったのが、講師のお姉様方の技術。たとえば一定本数のビスをどの程度速く正確に締められるかを測定できるゲーム風のテストシステムがある。シッカリ練習してトライした俺は「初級」の判定。ん〜む自信あったのにイマイチ。一方、講師は余裕の手さばきで、俺の倍のスピードでクリア。すすす凄い速さ!! しかもニコニコしている!! 結果は「名人級」であった。サっスガ〜。

座学は、こんな感じで品質管理や職場の心得など、ナナオクオリティの基礎を学ぶ 実技講習では、このようにネジを早く正確に締めることをトレーニングするのだが、これがナカナカ難しいっ!
これが、ゲーム風のテストシステム「ビス打ち名人」。15本のビスをとれだけ速く正確に締められるかを測定する
ということで、早速挑戦してみるのだが…… 【動画】スタパ齋藤「ビス打ち名人」に挑戦!! 結果は「初級」判定……
続いて、先生が挑戦 【動画】先生が「ビス打ち名人」でお手本を披露!! 結果は「名人級」!! さすがにスゴイ速さ!!
画質検定では、モニターにさまざまな画面を表示させ、目視検査のやり方を教わる

 それから、ナナオ製モニターは生産の最終工程で人間の目による画質検査が行われるが、これも体験させてもらえた。まずは講師の実演。その目視検査は超スピーディ!! パパパパパッと切り替わる画面表示をギロロロロッと見てチェック。俺などからすれば「速すぎて何してるのかイミフ」。だが講師のお姉様を始めとするライン作業員なら、それだけでドット欠けはもちろん明るさや色のムラから特定箇所の表示不良まで全部見つけられるのだそうだ。スゴ!!

 ともあれ、一応ここまで数時間研修を受けてきたので、じゃあちょっとだけ生産ラインに入らせて〜、とお願いしたが、あっさり却下。現実的には、こういった研修を最低3日間は受け、そのうえで特定の試験を受けて合格して初めてラインに立つことができるのだそうだ。キビシ〜。それ相応の技術を持った人間でないと、ナナオ製モニターの製造には携われないってわけですな。

朝礼から参加!! 生産行程をジックリ見学♪

朝礼はラインのチームごとに行われ、さまざまな報告や連絡がなされる

 FlexScan SXシリーズができあがっていく様子をゼヒ見たいですぅ〜とお願いしたら、生産工程を「見るだけ」ならOKと許可が出た。よっしゃヤッタ!! じゃあ最初から全部見るし!! というわけで、本社工場始業時の朝礼から参加させていただいた。

 朝礼から現場に居て驚いたのは、ラインに携わる人がナゼか女性ばかり。じつに工場内で働く人の98%程度が女性なのだそうだ。なので休憩時間にはラウンジから「あははウフフ」な感じの明るい話し声が聞こえてきたりする。社員食堂もあり、昼時ともなると「こここ、ここは女子大キャンパスか?」てな状況になる。「超高品位モニターの生産現場」とは、なーんか結びつかない雰囲気なのであった。

 そのあたりを製造課課長の大桑氏に訊いてみたら「女性が多いのには理由があります。まず非常にまじめで勤勉、かつ繊細なので、組み立てが丁寧で生産上のミスも少ないのです。向上心があり、仲間との連携にも積極的です。女性の力が生産性向上や効率化に直結しています」とのこと。確かに各所で「やさしく丁寧に組み立てている」「真剣に検査している」という雰囲気が見て取れた。ちなみに、みなさん麗しいのには何か理由が? 「それは偶然です(笑)」と課長。

 なお、各ラインはチーム制で作業が進められている。俺が見学したラインは13人のチームで、いつもこの13人がいっしょに作業をする。これにも理由があり、たとえば「いつも同じ仲間と作業すれば、作業のスピードやクセなどをお互いよく知れる」こと。「彼女は今日お休みだから、ほかのみんなでこのくらい頑張って、なるべく生産数を維持しましょう」という協力・協調体制を取りやすいのだそうだ。

 こういった「ナナオ独自の生産体制」は、「社風」とか「雰囲気」といった曖昧なものではなく、ナナオ全体の生産計画を決めるうえでの重要な要素となっているという。前述の実技研修で「ネジ締め作業」や「肉眼による検査」があったが、これらには「作業を完了できる平均時間」が算出されている。またチーム制とすることで、生産作業にかかる平均時間をより正確に計算できたり、一人いない場合の生産数減も予想しやすくなるのだそうだ。

このように、生産ラインには女性が多く並んで作業を行っている 手で作っているナナオのモニターに、女性の繊細さ・丁寧さは重要とのこと 集中して作業を行う時間が長いので、毎日決められた時間にみんなで一斉にストレッチを行っている

 こんなふうに、ミスや突発的な生産数変化が出にくい環境をつくり、効率よい生産を目指しているのがナナオのモニター工場。ゆえ、たとえば「○人のチームならFlexScan SX2762W-HXを1日に○台組み上げられる」といった緻密な計算ができる。これはナナオ全体での生産計画を決定するうえでの重要な要素となっているという。

 ……なるほど、じゃあこういうナナオの生産方式をマネして、女性のチーム制で、とか一瞬思ったりした俺。しかし、ちょい考えたら「無理」と思った。

 てのは前述のとおり、まずラインで作業するには長時間の研修と試験がある。また、じつはFlexScan SXシリーズのライン、「かなりの経験者でないと加われないライン」なのだ。ナナオ工場内には「マイスター」と呼ばれる非常に熟達した作業員がいるが、そんな職人が多く集まるのがこのFlexScan SXシリーズ生産ライン。職人が集結し、チームを組んで、ようやく、FlexScan SXシリーズのクオリティを生み出せる環境が整うというわけだ。

スゲっ!! ナナオの秘密兵器発見!!

 ナナオの液晶モニター生産ラインでの工程は、基本的に[材料配膳]→[組立工程]→[ID入力]→[プリヒート]→[W/B調整]→[動作検査]→[外観検査]→[梱包]となる。

 生産の流れ自体はわりと普通というふうに見える。が、セクションごとに珍しい「ナナオ独自の秘密兵器」があった。そのなかには「触っちゃダメ」「撮っちゃダメ」「見るのは……一瞬なら」的なものあったが、以下、できる限りご覧に入れたい。

 [材料配膳]は生産工場内に運び込まれた部品/ユニットを開梱して扱いやすく並べるセクション。

 [組立工程]は部品/ユニットを組み立てるセクション。FlexScan SX2762W-HX生産ラインなら、FlexScan SX2762W-HXのモニターとしてのカタチがここで完成する。

組み立て工程では、作業員が並んで手作業でさまざまなパーツを取り付けていく。 作業員の頭上にはモニターがあり、作業手順が詳細に示されている。ただしこの手順を見ながら作業するのではなく、始業前の確認用。作業手順は基本的に各人の頭のなかに入っているのだ。このシステムを導入し「生産する機種ごとに紙の作業手順書を掛け替えなくてよくなったぶん作業時間を短縮できた」そうだ。
【動画】実際に組み立てている様子。手際よく、パパパパッとパーツを取り付けていく。

 [ID入力]は製品IDをデータベースに登録するなどするセクション。このIDはほかのセクションのデータと紐付けられる。たとえば使用中にモニターが故障した場合、そのモニターはいつどのラインで生産され、どの時期のどんなデバイスが使われたのか、誰が生産に関わったのかなどまでトレースできる。

 [プリヒート]は調整前のエージングをするセクション。組み上がったモニターに通電し、各回路や液晶パネルを安定させる。安定させたうえで、次の調整セクションに送るわけですな。

組立工程を終えたモニターは、一定時間エージングするために別の場所へ移動させる。ということで、台の移動くらいなら……ということで、ジャマにならない程度にお手伝いさせてもらった。今回見せていただいたFlexScan SX2762W-HXの生産ラインにはベルトコンベアの類はなく、このように台車で移動する。 台車には無停電電源が備えられている。これはプリヒート工程以降もモニターの電源を落とさないため。途中で電源を落とすと、調整や検査の工程で正しいチューニングを行えなくなるのだ。 エージング中の様子。このように、多くのモニターを一定時間通電させておく

 [W/B調整]は、モニターのホワイトバランスを調整するセクション。エージングにより安定したモニターに対し、まずは画面の明るさや色のムラを調整/除去する。次いでホワイトバランスを調整し、正確な色表現となるよう追い込む。

モニターの明るさや色のムラを調整/除去する謎のブース。ここはマジで本気の企業秘密。「記念写真撮らせてください」と言ったら製造課長が立ちふさがった!! いや、わかります。俺の最強にムラのないFlexScan SXの「キレイの源泉」ですもんねココ。 明るさや色のムラを取り終えたモニターは、ホワイトバランスの調整工程へと進む。この工程で「各モニターの発色などがほぼ完璧に揃う」のだという。なるほど、だから俺の最強に快適なFlexScan SXは「購入後無調整でも2台とも色表現がほぼ完全に合致」しているんですな♪
【動画】ホワイトバランス調整中の様子。動画では10秒ほどだが、実際には数分間かけて調整を行っている

 [動作検査]は肉眼によって表示などのチェックを行うセクション。前述の「パパパパパッと切り替わる画面表示をギロロロロッと見てチェック」するマイスターお姉様はココでキビキビと作業を進める。

 [外観検査]は製品の外観をチェックするセクション。モニターの筐体、液晶パネル、ボタン類の状態など、これもまた人間が直接的に検査する。

 [梱包]液晶モニターを梱包するセクション。モニターが付属品とともにダンボール箱に詰められ、全世界に出荷される。

スゴい動体視力&グラデーション識別能力&色識別能力を持つと思われるマイスターのお姉さんが、モニターの表示に問題がないかをスゴいスピードでチェックしていく。この後、外観検査が行われてエレベーターへ。 製品として出荷可能になったモニターは、エレベーターに乗って梱包セクションへと下りてくる。 これは「無重力バランサー」と呼ばれるナナオ独自のマシン。その名のとおり、どの大きさのナナオ製モニターでも、その質量を感じることなく運べる。
作業台から段ボール箱へ27インチモニターを移動するのもラクラク♪ これなら重さで体を痛めたりしないですな。 そして段ボール箱のなかへ付属品とともに梱包される。

まだまだある!! ナナオの秘密部屋!?

 FlexScan SXシリーズ生産ライン以外にも、ナナオならではのモノがあるということで、それも見学させていただいた。

 ひとつは電波暗室。電波暗室は、閉じた部屋で、床以外の面は電波を一切反射しないように作られている。写真のような部屋で、モノというより大きな施設ですな。写真が「10m法対応」の電波暗室で、これより小さい「5m法対応」の電波暗室も「ナナオ本社内にある」のだ。電波暗室は規定値以上の電磁波(電磁ノイズ)が機器から発生しないことをを計測するための施設で、通常のメーカーなどは機器開発のために「外部の電波暗室を借りて電磁波を測定」している。が、ナナオの場合は自前。かな〜り珍しいケースである。

 自社で電波暗室を持つ理由は、一にも二にも開発効率が上がるからだという。試作品を改良しては電波暗室で計測、さらに改良して計測、こういったことを日々繰り返す。電波暗室を借りて使った場合、借りるスケジュールや移動などロスが多く、そのぶん開発に時間がかかってしまう。このロスをなくし、開発をスムーズかつ高精度で行うため、ナナオは自社内に電波暗室を持ったそうだ。

ナナオ本社内の「電波暗室」 これは「10m法」の電波暗室で、写真右手のモニターから10mの位置にある計測器で電磁波を測定している
「ライフ試験室」では、発売後のさまざまなモニターが過酷な環境下で並べられている

 もうひとつ、ライフ試験室という実験部屋。ライフ試験室は「一定温度(高温)に保った部屋」で、そこにナナオ製モニター各種が置かれている。各モニターは表示を明るくしたり暗くしたり、動画を映したり(音の出るモデルは)音を出したり止めたり、24時間365日連続的に動作している。こうすることで「モニターが使われ始めて、どの程度の期間経過したら、どのような変化が起きるのか」を実地的に検証しているのだそうだ。モニター各部の経年変化のデータを取り、新しい製品へそれをフィードバックして品質を高める。電波暗室と同様、より高品質な製品を効率良く作るためのテストを常に繰り返しているというわけだ。

 てな感じのナナオ液晶モニター工場。普段はなかなか見られない工場内部、楽しく拝見させていただきましたっ♪ また、実際にFlexScan SXシリーズが作られる過程を見ると、まあ何だかんだ言って「多数の職人が寄ってたかって高品質を維持している」ということがよくわかる。手作り感の高いFlexScan SXシリーズですな。

 今回の体験で、俺の最強に強まった2台のFlexScan SX2462W-HXをさらに信頼して使えるようになった。ぜひキミも、安心してFlexScan SXシリーズを買って使ってニンマリしちまってくれ!!

ついでに、社員食堂で昼食をいただきました。社員のほとんどが社員食堂を利用しているらしく、ここでもチームワークの向上が図られているのか!? と感心

(本記事は、2012年3月8日現在の情報です)

プロフィール

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。

関連情報

■FlexScan SXシリーズ
http://direct.eizo.co.jp/shop/c/cFSWHGD/

■FlexScan SX2762W-HX
http://direct.eizo.co.jp/shop/c/cSX2762W/

■FlexScan SX2462W-HX
http://direct.eizo.co.jp/shop/c/cSX2462W/

■EIZOダイレクト
http://direct.eizo.co.jp/

■株式会社ナナオ
http://www.eizo.co.jp/

関連記事

■FlexScan SX2762W-HX〜プロも絶賛! 10bit表示で新たなステージが始まる
http://www.watch.impress.co.jp/eizodirect/sx2762whx/

■ナナオ、2,560×1,440ドット表示対応の27型IPS液晶 キャリブレータ搭載モデルも
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20110127_423050.html

■ナナオ、FlexStand採用の24.1型WUXGA液晶ディスプレイ3機種
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20100819_387951.html