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導入するなら今! 「パスワードマネージャ」を使おう。LastPassやOS標準機能

さまざまなウェブサービスで、それぞれ別々の、かつ複雑なパスワードを利用するにあたって重宝するのが「パスワードマネージャ」だ。これがあれば、たとえ何百ものサービスがあろうとも、パスワードを一手に管理し、ひとつのマスターパスワードだけで自動入力を可能にしてくれる。

これらIDパスワードは暗号化された上でクラウドで同期されるので、同じマスターパスワードでログインすれば、PCはもちろんスマホやタブレットなどで共用できる。スマホやタブレット向けアプリの多くは、顔認証や指紋認証によるロック解除が必須となるため、安全性は高い。

そんなパスワードマネージャは、人気のあった無料ツール「LastPass」が、3月16日から実質的に有料化された。乗り換えるか否かは別にして、パスワードマネージャごとの機能をじっくりと比較し、自分に合ったパスワードマネージャを選ぶにはちょうどよい機会といえる。

今回は、代表的なパスワードマネージャをピックアップし、それらの特徴や、機能の違いについて紹介する。

パスワードマネージャがあればさまざまなパスワードを一括管理できる。クラウド経由での同期も容易だ。これは「LastPass」

パスワードマネージャの利点とは?

本稿ではサードパーティ製のパスワードマネージャを中心に紹介するが、それに先立ち、ほかのパスワード管理方法との違いをまとめておこう。

まずはメモ帳やExcelによる手動管理との比較。これらは毎回のコピペが必須になるのに対し、パスワードマネージャであればフォームに自動的に入力を行なってくれるほか、入力先のドメインの判定も行なうため、アドレスがそっくりに偽装されたフィッシングサイトに誤ってIDパスワードを渡す心配もない。新規の登録もワンクリックで済む。

ブラウザ自体が備えるパスワード保存機能との比較ではどうだろうか。ウェブサービスへのログイン時にIDとパスワードが自動入力される点では変わらないが、パスワードマネージャであれば一定時間経過後、あるいはブラウザ終了時にログアウトすれば、たとえブラウザ単体で起動されても、不正利用されることはない。

PCがアイドルもしくはスリープになると自動ロックされる。時間指定でロックできる場合も。これは「1Password」
ロック解除はマスターパスワードを手入力する以外に、指紋認証など生体認証を使う方法も。スマホではすでに標準だが、PCにも対応が進みつつある。これは「Bitwarden」

Googleの「Google パスワードマネージャ」やAppleの「iCloud キーチェーン」のように、ブラウザやOSと実質一体化したツールもある。シームレスな使い勝手では一日の長がある。

ただし、マルチプラットフォームという点では完全でない。例えばiCloudキーチェーンは、今年に入ってようやくWindowsに対応したが、Chrome拡張機能を使うにはWindowsアプリ「iCloud」のインストールが必須で、またAndroidには依然非対応だ。

ちなみに最近のサードパーティ製パスワードマネージャは、ダークウェブ上に自分のパスワードが流通していないかチェックする機能など、多機能化が進んでいる。こうした機能の豊富さ、また家族やチームでの共有機能については、サードパーティ製サービスのほうが(有料の場合もあるが)一歩先を行っている。

スマホでは利用にあたり権限設定が必要。iOSでは「設定」→「パスワード」→「パスワードを自動入力」で、使用するパスワードマネージャを選択する
Androidでは「設定」→「システム」→「言語と入力」→「自動入力サービス」で、使用するパスワードマネージャを選択する。わかりにくい階層にあるので注意

サードパーティ製ツールは幅広いプラットフォームに対応

では具体的なパスワードマネージャについて、まずはサードパーティ製の5つのツールを紹介する。原則としてWindowsとMac、およびiOSとAndroidに対応する(ブラウザ拡張機能を含む)ことを条件に選定している。

LastPass

1Passwordと並び国内では知名度の高い老舗のパスワードマネージャ。無料ゆえ人気が高かったが、3月16日以降はデバイスタイプが1つに限定されるため、PC/スマホ間でのパスワード共有は以後有料となる。

日本語化が不完全なのが最大のネックで、それゆえ長年のユーザであっても、付加機能はノーチェックという人も多いはずだ。有料版ではダークウェブへのパスワード流出チェック機能なども備える。

https://www.lastpass.com/

1Password

LastPassと並び知名度の高い老舗のパスワードマネージャ。無料版はなく、有料版は月2.99ドル(年払い)からとやや高額だが、LastPassと違って日本語化されており、そのわかりやすさもあって国内での人気は高い。個人利用に加えて家族やチーム向けのプランも用意されており、複数メンバーでの運用にも向く。新規ユーザには14日のお試し期間が用意されているので、こちらで使い勝手をチェックするとよいだろう。

https://1password.com/jp/

Bitwarden

2016年にサービスインした新興のパスワードマネージャ。歴史が浅いため知名度は上記2つに及ばないが、オープンソースであること、またクラウド同期に加えて自前で同期サーバを立てる機能を備え、上級者を中心に人気が高い。ホームページこそ英語だがブラウザ拡張機能やアプリは日本語化されている。基本機能は無料で制限も緩く、また有料版も年10ドルとリーズナブル。後発ゆえ機能も洗練されており、今後人気が出ることは確実だ。

https://bitwarden.com/

Dashlane

海外で知名度が高いパスワードマネージャ。ホームページ・管理画面はもちろん、ユーザ登録時のメールに至るも日本語化されている。ただし無料版は利用可能なデバイスは1つだけ、また保存可能なパスワードは最大50個に制限されており、月3.33ドル(年払い)からの有料版の契約が事実上必須。ダークウェブへのパスワード流出チェック機能も備えるほか、ファミリー向けプランや、企業向けのダッシュボードなども備える。

https://www.dashlane.com/

KeePass

海外で知名度が高いオープンソースのパスワードマネージャ。無料で利用できるが、公式に提供されるクライアントはWindowsのみで、スマホアプリや関連サービスの開発は有志頼みであるため、プラットフォーム間で使い勝手が統一されていないのがネック。付加機能も少なく、最小限のパスワード管理と自動入力、およびジェネレータ機能だけ使えればいいという人向け。パスワード同期はDropboxなど外部サービス経由で行う。

https://keepass.info/

OSやブラウザと実質統合されたパスワード管理ツールも

次に紹介するのは、GoogleやApple、Microsoftなどの大手事業者が提供しているパスワード管理ツールだ。

マルチプラットフォームという観点では不完全な場合もあるほか、機能は前出のサードパーティ製パスワードマネージャより全体的に控えめが、特定のOSやブラウザとは実質統合されてシームレスな使用感を実現しているのが特徴だ。

また、基本的に無料(下記のリストだとDropbox Passwordsのみ有料プランが必要)なので、パスワード管理ツールを全く使っていない人は、まず無料のツールから試してみるといいだろう。

Google パスワードマネージャ

AndroidおよびChromeを対象としたGoogle製のパスワードマネージャ。Googleアカウントとひもづけてクラウドに保存される。後述するiCloud キーチェーンがiPhoneユーザにとって標準なのと同様、AndroidおよびChromeのユーザはこちらを意識せずに使い続けている人も多いはずだ。脆弱なパスワードや流出パスワードのチェック機能も備える。

https://passwords.google.com/?hl=ja

iCloud キーチェーン

Appleのクラウド同期ツール。iCloudと一体化していることから、iPhoneなどApple製デバイスのユーザは、意識することなく使っているはずだ。パスワードやクレカ情報、さらにはWi-Fiの接続情報の同期にも対応している。Apple製デバイスでしか利用できないのが欠点だったが、今年に入ってWindowsからも利用できるようになった。

https://support.apple.com/ja-jp/HT204085

Microsoft Authenticator

もともとはワンタイムパスワードの管理機能やMicrosoftアカウントのパスワードレス認証のためのアプリだったが、今年に入ってパスワードマネージャ機能が追加された。メインはiOS/Android向けアプリだが、EdgeやChromeの拡張機能も用意される。既存機能とシームレスに連携するようになれば、今後台風の目になる可能性はある。

https://www.microsoft.com/ja-jp/account/authenticator

Firefox Lockwise

Mozillaのパスワードマネージャ。Firefox用だが、iOS/Android向けに単体のアプリがリリースされている。機能は全体的に控えめだが、メインブラウザとして各プラットフォームでFirefoxを使っているユーザは、チェックしておくべきサービス。スマホアプリは英語での利用となる。

https://www.mozilla.org/en-US/firefox/lockwise/

Dropbox Passwords

Dropboxの有料プランに付属するパスワード管理機能。パスワード同期はもちろん脆弱性チェック、インポート・エクスポートなど一通りの機能は網羅されているが、ブラウザ拡張機能の利用にDropbox本体と別にデスクトップアプリが必要だったり、iPadアプリがリリースされていないなど、オンラインストレージ連携の強みが活かせていない印象。

https://help.dropbox.com/ja-jp/installs-integrations/desktop/how-to-use-dropbox-passwords