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やる気スイッチを入れてくれるオカムラのチェア「フィノラ」

オカムラのオフィスチェア「フィノラ」

引っ越しを機に普通のPCデスクが部屋に据えられたことで、一緒にオフィスチェアも用意することになった。自宅での作業時間が増えていた矢先だったので、健康を害さないこと、カッコいいことをポイントにして、本気のオフィスチェアを選んでみた。購入したのはオカムラの「フィノラ」で、楽天市場にあるオカムラの公式ショップで注文、オプション込みで約186,000円(税込)だった。

オフィスに勤務していた時は、オカムラの「シルフィー」が充てがわれていた。背はメッシュ、座はクッションタイプで、肘を置くアーム付きだった。

ただ筆者は、机の下に潜り込む“サブマリンスタイル”(背もたれを最大限にリクライニングさせ、座面の先端に腰を置き、へそが机の天板の裏側にくっつき、肘は机の上に乗せるようなスタイル)で仕事をしていたため、あまりイスの機能は関係なかったように思うが、幸いにも体のどこかを痛めるといったことなく過ごせていた。

しかし自身の年齢が、工業製品に例えるとメーカー保証期間どころか修理サポート期間もとっくに過ぎていることに加えて、自宅作業が長時間化するとなると、より真剣に姿勢について考える必要があると思い、少なくとも“普通の姿勢”で仕事をすることに改めた。

オフィスチェアの購入にあたっては、専門店に足を運んでいくつか試したほか、そこで標準的な姿勢なども教わった。PCのキーボード作業がメインの場合、ポイントは、肩から下に不自然な力が入らないことで、そのために肘は90度近くに曲げた状態にして、肘置き(アームレスト)を活用することだった。また、肘置きのパッドは内側に向きを変えられるタイプのほうがより肘を置きやすく、自然なポジションが得られやすいことも分かった。

注文する際は、こうしたことを念頭に「フィノラ」のオプションを選んでいった。肘置きは固定タイプではなく、上下、角度、前後、左右という4種類の調整が可能な「アジャストアーム」を選び、背のサイズ(高さ)は可動ヘッドレストが付くエクストラハイバックにした。また、イスの使用時間が長くなることは分かっているので、腰部をしっかりサポートするというランバーサポートも付けてみた。座面は、クッションタイプだと蒸れて熱いと感じることがあったので、メッシュタイプを選んだ。

色についても指定できるが、メッシュ地の色については、あまり主張せず汚れが目立ちにくそうなライトグレーにした。そのほかのボディや脚は、部屋の雰囲気に合わせてホワイトで統一した。「フィノラ」には「背面パネル」なる部分もあるが、ここもカタログにあるようなシルバーではなくホワイトにした。ただこのパーツのみツヤ有りの仕上げになっており、ホワイトで統一してもツヤがアクセントになっている。

メッシュ地はライトグレー、そのほかはホワイトにした
可動ヘッドレスト、腰部のランバーサポートも付けている
「アジャストアーム」(肘置き)を「 \ / 」の形にしたところ。最も手前で内側のポジションだ
「ハ」の形にして、最も前に出したところ

納品には注文から約1カ月がかかった。オカムラ公式ショップで注文したためか、配送もオカムラの自社配送だった。また配送当日には事前の電話連絡もあった。というのも、しっかりとしたオフィスチェアは重く、階段などの荷揚げが大変だからだ。

注文後のメールでも、注文者が配送日を指定して、必ず在宅しているよう念を押されていた。届いた時には、冷蔵庫や洗濯機と同様、現物だけが家に運び込まれた。実際に「フィノラ」の重さを計ってみたが、22kgとなかなかの重量級だった。

ほかには「オカムラサポートアンドサービス」というパーツ販売専門の店舗で、フローリング向けの「ウレタンキャスター」(G90922X)も購入しておいた。ネット限定で5個セットが少し割引されて売られており、5個セットで3,135円、送料込みで4,125円(税込)だった。キャスターの交換は引き抜いてはめるだけと簡単だ(キャスターの引き抜きに道具が必要なモデルもある)。

なお、ウレタンキャスターは経年による加水分解や、床表面のコーティング剤との科学反応により劣化すると案内されており、ウレタン部分が剥がれるなどしたらキャスターを交換する必要がある。

左が標準のナイロンキャスター、右が交換したウレタンキャスター。外周のウレタン部分が劣化したら交換する必要がある

さまざまなポジションで快適な姿勢を探る

「フィノラ」を使いすでに1カ月程度作業をしているが、メッシュ地の座面は初めてで、フワフワとした感じは新鮮だ。クッションタイプと比べると、どっしりとした座り心地ではないが、蒸れないのは快適だ。

可動タイプの肘置きである「アジャストアーム」はやはり有用で、色々試した結果、上から見て「 \ / 」になるような配置に落ち着いている。可動式のヘッドレストも首や肩、後頭部周辺の緊張が緩和される。ランバーサポートは、背のメッシュ地と比較すると固いため、悪く言うと異物感があるのだが、腰を後ろから支えてもらっている感じは悪くない。このほか、フットレスト(家電 Watchのミニレビューで紹介)も別途購入したことで、足の位置を底上げし、太ももへの圧迫感を軽減している。

座面がメッシュのイスは初めて
背もたれも起こした状態
背もたれを少しリクライニングしたところ。
背もたれをめいいっぱいリクライニングしたところ。座面も連動して傾いている

リクライニングの角度についてはなかなか正解が見つからないが、ここは逆に、その時々で快適と感じる角度に随時変えるようにしている。正しい姿勢であっても、同じ姿勢で何時間も作業をするのはあまり良いことではないし、実際にどこかが痛くなることはある。疲労のたまり具合や気分でこまめに角度を変えて使っている。

「フィノラ」のリクライニング機構は、くるぶしの位置を中心として、背もたれだけでなく座面も連動して傾くため、腰周辺や太ももが不自然なポジションにならないのは嬉しいポイントだ。

PCの作業イメージ
リクライニングの角度を変えて気分転換

ジウジアーロ・デザインを日本の技術で製作

さて、数あるオカムラのラインナップの中でなぜ「フィノラ」を選んだかというと、2019年に発売された比較的新しい製品ということもあるが、イタルデザイン(ジウジアーロ・デザイン)とのコラボレーションで開発された、カッコいいデザインが気に入ったからだ。

また、筆者はちょっと天の邪鬼なところがあるので、誰もが候補に挙げる「アーロンチェア」(ハーマンミラー)を選ぶのは何か違う気がしたということもある。ちなみにオカムラとイタルデザインのコラボはこれが初めてではなく、2002年に発売されたオフィスチェアのトップモデル「コンテッサ」や、そのリニューアル版である「コンテッサ セコンダ」などもイタルデザインとのコラボで開発されている。

ハーマンミラーのアーロンチェア
オカムラのコンテッサ セコンダ

「フィノラ」のデザインは、「コンテッサ」を含め高級オフィスチェアでおなじみの曲線主体のデザインではなく、かといって未来的な直線主体でもなく、ほどよく曲線と直線が組み合わされている。このスッキリとした中にカッコよさも入っているデザインが、気に入ったポイントだ。レバー類は飛び出ておらず座面の下にきれいにまとまっているし、肘置き(アーム)は支柱が垂直ではなく背中側から伸ばされているため、横や後から見てもシルエットが綺麗だ。

唯一残念なのは、エクストラハイバックに付く可動ヘッドレストがメッシュではなくクッションタイプなところだろうか。どうせならメッシュでそろえてほしかった。

レバー類は綺麗にまとめられている
ほどよく曲線と直線が組み合わされている

やる気スイッチを入れてくれるイス

オフィスチェアのような大きなイスは、筆者の狭い仕事部屋の中では存在感がある。デザインの良し悪しは主観によるとしても、「自分がカッコいいと思っているイス」というのは、個人的には大事にしたいポイント。気に入ったイスなら、座る前から机に向かうことに前向きになれるし、座った後も、作業をバリバリこなすぞ、というスイッチを入れやすい。

特に自宅での作業が多くなると、オフからオンに切り替えられる要素は重要だし、こうした小さな満足の積み重ねが日々のモチベーションにつながっている。「フィノラ」は座り心地やそのカスタマイズ性、デザインと、さまざまな要素を高いレベルで実現していると思えるし、やる気のスイッチを入れてくれるイスなのだ。

がんばるぞ!