ミニレビュー

これはノートなのか? コクヨ「ペーパーラップノート」がいろいろおもしろい

紙を引き出して使えるノート「ペーパーラップノート」が発売された。サランラップなど食品用ラップのように「引き出して切って使える」という点が最大の特徴で、ノートの幅は179mm、長さは15m。

これまで、ノートを“長さ”で考えたことはなかったが、A4(横210mm×縦297mm)で長さ換算すると概ね50ページぐらいだ。価格は2,000円。

発売日の1月30日、東京駅のKITTEの「GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA」で2本(2冊?)購入した。引き出して使えるという面白さに気を取られて忘れていたが、ノート2冊で4,000円(税込み4,320円)というのは、レジで一瞬躊躇してしそうになるお値段ではある。

これはノートなのか? 使い手の想像力が問われる

ペーパーラップノートを手に取ると、まさに小型の食品ラップといったデザイン。比べてみると一回り小ぶりで、外形寸法は、50×200×52mm(高さ×幅×奥行)。

ペーパーラップノート
クレラップと比較してみた

ノートとしての仕様をまとめると、中紙仕様は普通横罫7mm。材質は中紙が上質紙、個装箱がカード紙となる。中紙サイズは179mm×15m。

パッケージ
ペーパーラップノートの使いかたが記されている

箱を開いて、紙を少し送り出して、あとは引っ張るだけ。

切るときには、フタを十分に開いて“必要な分だけ”紙を引き出したあと、カチッと音がするまでフタをしめる。親指でフタの中央を押さえて、手首を返しながら紙の端からゆっくり切る。

なんどかカットを試したが、基本的に食品ラップとほぼ一緒で、失敗することもなく、食品ラップより簡単という印象だ。もっとも、10cm程度の短いものは切りづらいし、1m近い長さになるとコツが必要になる。あと筆者がカット下手なだけかもしれないが、切れ際はそれほどきれいではなく、ちょっとケバだった感じになる。

「ペーパーラップノート」をカット
引き出してカット
ちなみに広報発表写真はカット時の抑え方がパッケージの指示と違う気がする

使う前は、切ったあとの紙が、まるまってしまって使いにくいのでは? と思っていたが、あまり問題はなさそう。ただ、切る前にノートとして使う場合は、20cmぐらいは引き出さないと書きにくいので、「切る前に書く」か、「書いてから切るか」を判断するのがなかなか悩ましい。

そして、なにより難しいのが“何に使うか”ということだ。

「ノートは、ページをめくって使うもの」という固定観念が強すぎて、この新たなキャンバス(ノート)を使いこなす方法をなかなか思いつかない。縦に使うか、横に使うかも悩んでしまう。思いついたのは「果たし状」ぐらいだ。あとは、飲食店のメニューとかもありなのかもしれないが……。

横に長くかける
縦で使ってみた

縦スクロールのWebのデザインなどにはいいかな、と考え、Impress Watchのリニューアル案などを適当に書いてみたが、終わり(長さ)を意識せずにかけるのは確かに気持ちいい。ロールから紙を送り出しても、あまりカールせずに普通のノートっぽく書ける。このあたりにコクヨならではのノウハウがあるのかもしれない。

コクヨでも以前ノートをカメラで撮影してデータ化する「CamiApp」を展開していたが、例えばWebサイトのデザイン案をカメラで撮影したら、ざっくりワイヤーフレーム化して、ツールに取り込めるとか、特定用途向けの展開も可能性はありそうだ。

とはいえ、自分だけではこれぞ! という使いかたが思い浮かばなかったので、コクヨの広報担当者にも想定用途を尋ねてみた。

  • メモ書き(ちょっと使いたい時に必要なだけ。お母さんがピリッと破って買い物に、もしくは子供にお遣いお願い)
  • 長いものを書く、まとめる(年表・家系図など)
  • アイデア出し(筆を止めない=思考を止めない)
  • あみだくじ、迷路を書くとか……

同社でも、「コレ!」という明確な用途を想定しているわけではないようだ。

編集部員やその友人のアイデアでは、「マインドマップに使える」、「柱に巻いてなにか書く」といったものや、「シューティングゲームの攻略が……」云々。ニッチな用途が多いような気がする。

何に使うかはわからないが楽しい

ペーパーラップノートに実用性があるのか? と問われると「その人次第」としか言えないし、「ノート」と考えると高価ではある。ただ、いろいろ考えるのは楽しいし、会社内でノートを開いて(引き出して? )いると、「なにそれ?」と声をかけられるなど、見た人がちょっと惹かれる製品であることは間違いない。落書きに使うには価格が厳しいが、ハマればいろいろと使いみちはありそうだ。

個人的にも、製品写真を見た瞬間「何に使うかわからないが、欲しい」と思ったし、使った後でも、何に使うかは相変わらずわからない。ただ、使って楽しく、使い手の想像力を刺激するような製品の登場は歓迎したい。

臼田勤哉