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ドコモ、世界初の「人間拡張」基盤。身体のユビキタス化

NTTドコモは、ネットワークで人間の感覚を拡張する「人間拡張」を実現する基盤を、H2L、FCNT、富士通の技術協力を得て開発した。人間拡張に関する基盤の開発は世界初。

6Gの特徴の一つである超低遅延化の実現により、6Gでは神経の反応速度をネットワークの通信速度が超えるため、脳や身体の情報をネットワークに接続することでネットワークで人間の感覚を拡張することが可能になると考えられている。

ドコモは今回、「人間拡張」としてめざしている「身体のユビキタス化」「スキルの共有」「感情の伝達」「五感の共有」「テレパシー・テレキネシス」のうち、「身体のユビキタス化」と「スキルの共有」の実現に向け、他者間の動作の共有を可能にする基盤を開発した。

骨格や身長が異なる人の動きでも、同じロボットを違和感無く動かすことができる基盤技術。動作を把握する機器(センシングデバイス)で取得した動作データを、動作を再現する駆動機器(アクチュエーションデバイス)を通して人やロボットにリアルタイムに伝える際、本基盤に接続する人やロボット同士の大きさや骨格などの身体データの差分を考慮して人やロボットを動かせる。再現する動作の大きさを拡大・縮小することも可能。

これにより、大きさや骨格の異なる人やロボット同士の無理のない自然な動作の共有、大きい動作をもとにきめ細やかな動作を再現することなどを実現する。デバイスはモバイルネットワーク経由で利用できるため、さまざまな場所で人間の身体を拡張させることが可能になる。

センシングデバイスで取得した動作データは本基盤上に蓄積できるため、蓄積データを使って、過去の人の動作を現在の人で再現することも可能。時間に縛られずに動きを再現できるため、本基盤は熟練した技術を必要とする分野での後継者不足や技術継承などの社会課題解決への貢献も期待できるという。

パートナー企業のデバイスの相互接続も可能。デバイス開発者向けに開発キット(SDK)を提供し、連携するセンサーやアクチュエーションに関する技術を持つパートナー企業を増やすことで付加価値向上と商用化に取り組んでいく。

今後は、感情の伝達や五感の共有にも拡張し、多様性の享受やハラスメントなどの社会的課題解決にも貢献していく。

本基盤は、17日からオンライン上で開催されている「docomo Open House’22」で展示される。