ニュース

経営層はオフィスに戻りたい、社員は戻りたくない。Slackが調査

Slackは5日、リモート環境における従業員体験についてのレポートを発表した。コロナ禍によるリモートワークからオフィス勤務に戻ることに対し、「経営層と一般従業員の意向の大きなズレがある」という。

レポートは、Slackらが主催するコンソーシアム「Future Forum」によるもので、四半期に一度「リモートでの従業員体験レポート」を作成している。アメリカ、日本、オーストラリア、フランス、ドイツ、イギリスなどのナレッジワーカー10,569名を対象とした調査で、今回が4回目。

コロナ禍によりリモートワークは一般的になったが、一部の企業ではオフィス再開の動きが増えている。ここで経営層と一般従業員の間で大きな”ズレ”があるという。

ズレを端的に表すと「経営層はオフィスに戻りたい。従業員はそうでもない」(Slack Japan 事業開発本部 ディレクター 水嶋ディノ氏)というもの。従業員は、新たな仕事を探す際に、働く場所と時間の柔軟性に高いプライオリティを置くなど、リモートワークに高いニーズがある。一方、経営者層では、フルタイムのオフィス勤務を望む人が従業員の3倍近くに達するという。

パンデミック後の労働市場では、人材の獲得と定着が大きな経営課題であり、そのためには従業員の意向を知る必要がある。リモートワークでは、「働く場所」と「働く時間」が変わることになるが、特に従業員の意見では「時間」の柔軟性のプライオリティが高いという。場所については回答者の76%が柔軟性がほしいと回答したが、時間については93%の人が柔軟性を求めている。

男女とも時間の柔軟性を求める傾向があるが、特に子育て中の女性においてその傾向が強く、リモートワークによる柔軟な働き方は、インクルージョンの促進にも役立つとする。

フルタイムでのオフィス勤務を求める人は各国20~30%程度。日本はやや高く、31%となっている。またリモートワークを求める従業員でも、毎日リモートを求める声はそれほど多くはなく、「週に3~4日オフィス」、「週1~2日オフィス」を希望する回答が多い。

従業員からはリモートを求める声が多いのに対し、経営層はオフィス復帰を望む声が多い。その一因として、経営層の仕事への満足度が従業員よりも高いという点を指摘する。また、従業員からは意思決定に含まれていない、あるいは意思決定が経営層のみで決定され、透明性に欠けると考えられているという。

一方、現在の人材競争においては、柔軟性、インクルージョン、透明性が重要な要素となっており、経営層と従業員の“ズレ”をなくしていくことは経営課題といえる。

場所・時間の柔軟性は、従業員が仕事に求める要素の2位(1位は報酬)で、特に最近プライオリティが上がっている。また、柔軟性による働きやすさにより、子育て・介護などに追われる人でも、能力を活用できインクルージョンの促進につながるという。

一方、場所・時間が柔軟になることで、それに即した労働環境の整備も必要となる。Slackでは、パートナーと同じSlack上でセキュアにやりとりできる「Slackコネクト」を強化しているほか、音声や動画、画面などを共有できる「クリップ」も提供。録画コンテンツを各自が使いやすいタイミングで視聴することで、チャットのコミュニケーション以外のコラボレーションのしやすさを高めている。

また、リモートで失われた廊下でのカジュアルな雑談などをSlack上で再現するために、Slack上で音声で会話できる「ハドルミーティング」を搭載。カジュアルな雑談やブレストを行ないやすくしている。