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カシオ×アシックス“走りを可視化”する新サービス。センサー+G-SHOCK

カシオとアシックスは、ランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrixを3月4日から開始する。専用のモーションセンサーとG-SHOCK、スマホアプリを連携し、走行時間や距離、軌跡などランニング計測・記録を管理。ランニングフォームの改善や健康管理に活用できる。

価格はモーションセンサー「CMT-S20R-AS」が14,080円、G-SHOCKとモーションセンサーのセット「GSR-H1000AS-SET」が57,200円。Runmetrix対応G-SHOCK「GSR-H1000AS」の単体販売は行なわない。アプリの「Runmetrix」は1月27日から先行してダウンロード開始し、単体のランニングアプリとしても利用できる。

カシオが持つウエアラブルデバイスの開発力やセンシング技術のノウハウと、アシックスのスポーツ工学の知見やデータを組み合わせ、スポーツ・健康市場において、パーソナライズされたユーザー体験の提供を目指す。

両社の協業の第1弾が、ランナー向けパーソナルコーチングサービス「Runmetrix(ランメトリックス)」。アプリ「Runmetrix」とモーションセンサー「CMT-S20-AS」、G-SHOCK「GSR-H1000AS」を組み合わせ、初心者から上級者まで、ランナーの目的やレベルに合わせたパーソナルコーチングを提供する。

モーションセンサー「CMT-S20-AS」
G-SHOCK「GSR-H1000AS」

モーションセンサーはランナーの“腰“に装着し、内蔵の9軸センサーやGPSによりランニングフォームを把握。フォームに関する20種類以上の指標を算出し、ランナーにとって分かりやすい項目に置き換え、走りの特徴を可視化。アプリ上で、改善点や練習プログラムなどを提示する。

腰にセンサーを装着する理由は、身体全体の動きを最小センサー数で検出でき、「身体重心」に近く、「骨盤の動き」により重視したため。腰に装着するだけで、体全体で高い精度のフォーム解析を行なえるようにした。センサーからフォームに関する指標を算出するため大学と協力し、独自のアルゴリズムを開発。さらに計測データを実際のフォーム改善へのアドバイスに役立てるためにアシックスに相談したところ、今回の協業に至ったという。

アシックスではモーションセンサーを使ってさまざまなランナーの動きを解析。2万km以上のデータをフォーム解析やコーチングに活かしていく。

腰に装着

既存のランナー向けサービスでは、距離、ペース、ピッチ、ストライドといった項目を測定して記録するが、Runmetrixでは、それらに加え、体幹の傾きや骨盤の回転、接地衝撃などフォームに関する指標を算出する。

アプリ上では、「安定性した姿勢」「負担の少ない設置」「骨盤を軸とした前進の運動」「左右対称性」「スムーズな重心移動」「動きの力強さ」の6つの項目でレーダーチャート化。自分の走りの「長所」「弱点」を可視化でき、最大100点でスコア化する。

加えて走行地点での走りの特徴もわかるため、例えば「上り坂では姿勢が崩れる」など、自分の走りの癖もわかるという。

フォームスコア
フォーム分析

なお、スコアの目安は「フルマラソンを走れるレベルで70ぐらい」とのこと。

ただし、アプリ利用時に、タイム重視やダイエットなど、自分の「走りのスタイル」の目的を決め、そのスタイルにあわせたスコアを算出するため、スコアと速度は連動しない。例えば1kmを7分程度かけてゆっくり走る場合でも、80点など高いスコアを出すことは可能だという。

取得したデータをもとに、Runmetrixアプリ上で、3Dフォーム分析や改善のためのアドバイスを掲示。フォーム分析では、プログラムにあった走行フォームを3Dデータで紹介。理想のフォームと、自分のフォームを照らし合わせてフォーム改善に役立てられる。

また、ランニングの目的に合わせた練習プランや、適したストレッチ、筋力トレーニングからなる「からだづくりプログラム」を作成。プログラムは一定期間で目標更新できるため、常に新たな目標に向かって走りを楽しめるなど、モチベーションの維持・向上もサポートする。

なお、RunmetrixとモーションセンサーはGPSを使うため、GPSが取れない室内では、詳細なデータ取得はできない。

ランニングプログラム
からだづくりプログラム

Runmetrixのサービスは、モーションセンサーだけで使えるが、専用G-SHOCK「GSR-H1000AS」を併用することで、ランニング中でもペースや距離、心拍などの情報を確認できるようになる。また、フォーム指標のリアルタイムでの確認や、フォームの乱れを検知して通知することも可能。

センサーとG-SHOCK間の通信はBluetooth(BLE)を活用。対応G-SHOCKは現時点では「GSR-H1000AS」のみだが、今後Runmetrixの普及拡大などにあわせて他のG-SHOCKでの対応も検討していく。なお、他社製品との連携については未定。

G-SHOCK「GSR-H1000AS

アプリ「Runmetrix」は、1月27日に先行してリリース(iOS/Android)。スマホのGPSを利用し、走行時間や距離、軌跡などランニング計測と記録の管理に対応するなど、一般的なランニングアプリとして無料で利用できる。

3月4日のモーションセンサーとG-SHOCK発売後は、それらと連携し、コーチングサービスなどが利用可能になる。

ルート表示
統計データ
SNS連携

Runmetrixの開始にあわせて、アシックスがG-SHOCKとコラボレーションしたランニングシューズ「NOVABLAST(ノヴァブラスト)」のスペシャルカラーモデルをオンラインストアと直営店で発売する。価格は17,000円(税別)。なお、Runmetrixとの機能面での連携は特にない。

NOVABLAST

スポーツ&ウェルネスでサービスでの収益化を目指す

カシオとアシックスは、今後ランニング以外の健康領域にも拡大する予定。第2弾はウォーキングの新サービス「Walkmetrix」で、10月からのスタートを目指す。なお、Walkmetrixで使うセンサーは、Runmetrix用の「CMT-S20R-AS」とは別のものになる予定で、アルゴリズムなどもウォーキング用に別途開発するという。

さらに、自治体の健康的な街づくりの取組みをサポートするなど、サービスの提供以外においても、「スポーツ&ウエルネススタイルソサエティー」実現を目指した事業を進めていく。

こうしたスポーツ&ウェルネス領域のサービス展開において、両社は合弁会社を設立予定。Runmetrixのサービス運営も新会社を軸に展開する計画。

Runmetrixは、デバイス購入者向けの無料のサービスだが、将来的には有料プランなどの展開も検討していく。Runmetrixを軸とし、カシオは時計や新たなデバイスなどを検討していくほか、アシックスは施設やサービスとの連携や、パーソナルデータを使ったシューズのレコメンデーション、オンラインコーチングなど、ユーザーとの“繋がり”を生かしたビジネス展開を目指していく。

目標は、コーチングの売上高で、5年目に売上規模100億円、RunmetrixとWalkmetrixで500万ユーザー。

アシックス廣田社長(左)とカシオ樫尾社長(右)