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キヤノン、“究極の引き算”をした新コンセプトカメラ「iNSPiC REC」

キヤノンマーケティングジャパンは、手のひらサイズで、ぶら下げて持ち歩ける新コンセプトカメラ「iNSPiC REC(インスピック レック)」を、12月下旬に発売する。価格はオープンで、キヤノンオンラインショップの販売価格は13,800円。

10月17日10時よりMakuakeにて先行販売を1,000台限定で実施したモデルで、Makuakeでは10月17日23時に完売した。

iNSPiC RECは、手のひらサイズの小型軽量とカラビナデザインで携帯性に優れた、気軽に持ち運んで撮影できるように企画された新コンセプトカメラ。防水性能や耐衝撃性能も備え、日常だけではなくアウトドアシーンの使用も可能としている。

iNSPiC REC

カラビナデザインは、服やバッグにぶら下げることを想定。すぐにカラビナを取り外して撮影でき、スマホをポケットから取り出してカメラを起動するという手間や時間のロスもなくなるとする。また、カラビナ部分をファインダー代わりに覗き込んで撮影することも可能。

サイズは約110.5×45.2×18.5mm(幅×高さ×奥行き)、重さは約90g。水深2m(30分)の防水性能、防塵性能(IP68等級)、2mの耐衝撃性能を備える。

発表会では水槽の水の中に入れた展示で防水性能をアピール

またカメラにはモニターを搭載しておらず、カメラだけではライブビューでの撮影や、撮ったその場で確認して撮り直すなどができない。

「撮ってすぐ見て撮りなおすというこだわりも大事だが、とりあえず撮っておいて思い出したときに見るくらいの、“撮った、それでよし”と考えられるカメラ」とし、「モニターで確認できることが当たり前になったからこそ新鮮」(キヤノンマーケティングジャパン コンスーマビジネスユニット コンスーマ商品企画本部 カメラ企画部 浅葉森氏)と説明した。

浅葉森氏

専用アプリ「Canon Mini Cam」を使用して、スマホでのライブビュー撮影や撮影画像の確認は可能。撮影データをスマホに保存することもできる。

アプリを使ったライブビュー撮影時画面

シャッターボタンとレンズとダイヤルのみという、シンプルなデザインと操作性も特徴の1つとしており、浅葉氏は「究極の引き算をしたカメラ」と述べた。

ダイヤルで選べるモードは、写真、ビデオ、マルチ、ワイヤレスの4つ。写真モードでは、シャッターボタンを押し続けることで連写(4コマ/秒)が可能。ビデオモードの1回の撮影時間の上限は10分間。マルチモードでは、シャッターボタンを一度押すと写真が撮れ、4秒以上押し続けて離すと動画の撮影が開始するので、モードを切り替えることなく写真と動画の両方を撮影できる。

本体背面
シャッターボタンは本体の右上部分

ワイヤレスモードでは、スマホと接続するモードで、ライブビュー画像を見ながらリモート操作や、撮影画像の確認、保存・編集に使用する。

カラーバリエーションはブルー、ピンク、グリーン、ダークグレーの4色。3種類の着せ替えジャケット「フルフェイスジャケット FP-301」が用意されており、フロント部分のルックスを変えられる。フルフェイスジャケットの価格は、3枚セットで1,980円。ジャケットのバリエーションは今後も追加を予定。

カラーバリエーション
フェイスジャケット

有効画素数は約1,300万画素。センサーサイズは1/3型 CMOSセンサー。焦点距離は25.4mm(35mm判換算)、ズーム固定、撮影可能距離は50cmから。ISO感度はオートで、ISO 100~3200。ホワイトバランス、露出はオート。手ブレ補正は電子式で動画時のみ有効。

静止画記録形式はJPEG、静止画撮影可能枚数は約1,000枚。動画記録形式はMP4、動画撮影可能時間は約60分(フルHD/60p撮影時)。充電時間は約180分。

インターフェースはBluetooth 4.2、Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n)、micro USB。記録媒体はmicroSDメモリーカード。

カメラ市場の若返りへ

発表会では、キヤノンマーケティングジャパン コンスーマビジネスユニット コンスーマ商品企画本部長 沢田泰一氏が、マーケティング戦略について説明。

カメラ市場で直面している課題として、カメラのメインユーザーは40代から60代が8割、男性が7割と、世代など偏りがあることを挙げた。

その課題解決に向けた取り組みとして、20代若手社員を中心としたプロジェクト「ichikara プロジェクト」を開始。2018年9月に「ミニフォトプリンター iNSPiC PV-123」を、2019年5月にミニフォトプリンターにカメラを搭載した「インスタントカメラプリンター iNSPiC ZV-123」、「iNSPiC CV-123」を発売した。

ZV-123(左下)とCV-123

ichikara プロジェクトの成果としては、iNSPiC専用アプリの月間アクティブUUの女性の割合が83%、10代から30代半ばの女性が51%を占める結果となったことを挙げ、狙い通り若年層や女性にリーチができていることを強調。

さらにiNSPiC RECのMakuake先行販売における完売という結果からも、若年層にリーチできる良い取り組みができたと話した。

iNSPiC RECでは、販売を推進するだけではなく、新しい写真の楽しみ方の提案を掲げ、新しいマーケティング手法を通して、新たな価値の創造を目指すとした。

沢田泰一氏