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ネット証券3社、米国株の最低取引手数料で値下げ競争。結果無料に

マネックス証券、楽天証券、SBI証券のネット証券3社で、米国株の最低取引手数料の値下げ競争が勃発した。結果的には、3社が横並びで米国株最低取引手数料無料とし、7月22日の現地約定分から引き下げられる。

従来ネット証券3社の米国株式の取引環境は、最低取引手数料が5ドル、取引手数料は「約定金額×0.45%」で横並びだった。約定金額を5万円(実際はドル建て)の取引の場合、0.45%では手数料は225円だが、最低取引手数料として500円が必要となる。このように、少額取引時の手数料負担が重くなるという課題があった。

先手を打ったのはマネックス証券。7月4日に米国株最低取引手数料を5ドルから0.1ドルに引き下げると発表。従来の1/50に引き下げ、「主要ネット証券で最安」をアピールした。また、米国株購入時に必要となる為替手数料(買付時)も、7月8日現地約定分から半年間無料とするなど、米国株取引を始めやすい環境をアピールした。

先陣を切ったマネックス(7月4日の発表資料から)

そこに続いたのが、楽天証券。翌5日には米国株式の最低取引手数料を「業界最低水準」の0.01ドルに引き下げた。この条件だと、約定代金が2.22ドル以下の取引にのみ、最低手数料0.01ドルが適用され、2.22ドルを超える取引の手数料は、約定金額×0.45%となる。実際には2.22ドル以下の取引はほとんど無いと思われるので、ほぼ最低手数料を意識せずににすむ水準といえる。

すると、週明けの8日にマネックス証券が対抗。0.01ドルへの引き下げを発表した。

楽天証券は0.01ドルで対抗(7月5日発表資料から)

ここまで静観していたSBI証券だが、9日に対抗策を発表。米国株式の最低取引手数料を「業界最低」の無料化(撤廃)とした。

SBI証券は無料化へ(7月9日発表資料から)

すると、翌10日午前に楽天証券が無料化を発表。さらに、午後にはマネックスも無料化の方針を明らかにし、結果的に、「米国株式の最低取引手数料は無料」で3社横並びとなった。

各社基本条件は横並びに

無料化されたのは「最低取引手数料」なので、取引手数料は従来と変わらず約定価格の0.45%が必要。しかし、米国株式への少額投資のハードルが下がることになる。消費者としては、こうした競争は歓迎すべききものだろう。


    【7月4日から10日までの3社の対応】
  • 7月4日:マネックスが米国株の最低取引手数料を5ドルから0.1ドルに引き下げ
  • 7月5日:楽天証券が最低取引手数料を0.01ドル(1セント)に引き下げ
  • 7月8日:マネックスが楽天に追従。米国株の最低取引手数料を0.01ドルに引き下げ
  • 7月9日:SBI証券が米国株の最低取引手数料の無料化(撤廃)を発表
  • 7月10日:楽天証券がSBIに追従。最低取引手数料の無料化(撤廃)
  • 7月10日:マネックスが追従。米国株の最低取引手数料を無料化(撤廃)

なお、マネックスでは、米国株式の銘柄数が3,417と国内ネット証券で最多であることや、スマホアプリ対応、注文種類の多さなどを訴求。また、半年間の「為替手数料無料」もアピールしている。

マネックスは銘柄数などをアピール

楽天証券は、米国株式取引の手数料の1%相当の「楽天スーパーポイント」をプレゼントするポイントプラグラムを、SBI証券は、米国貸株サービス「カストック」や最低一株から定期的な買い付けができる「米国株式・ETF定期買い付けサービス」などの特徴を訴求している。