LINEが銀行業参入。みずほと提携し2020年に「LINE Bank」開業

LINEは、銀行業参入の準備を開始する。11月27日、みずほフィナンシャルグループとの提携を発表し、新銀行「LINE Bank」の設立を目指す。

LINE Financialとみずほ銀行を通じて、2019年春にみずほフィナンシャルグループと共同で運営会社の「LINE Bank」を設立。関係当局の許認可取得の後、2020年の銀行開業を見込む。

LINEのユーザーベースとユーザーインターフェイスの使いやすさを活かした、新たな「スマホ銀行」を目指す。みずほ側は、LINEが強みを持つ若い世代の取り込みを図るとともに、銀行業務や決済で発生する与信について、みずほ銀行とオリコで与信リスクの管理をサポートする。

共同出資会社の社名は、LINE Bank設立準備株式会社(予定)。資本金および資本準備金は20億円で、出資比率はLINE Financialが51%、みずほ銀行が49%。

LINEの出澤 剛社長は、「LINE Payに力を入れており、ユーザーも加盟店も増えている。投資はすでに展開しているが、さらに金融を強化するとなると、日常的に一番使うものは銀行」と語り、銀行業への参入を表明。

LINEならではの強みを7,800万人を超える「ユーザー接点」と、「ユーザー視点の開発力。UX/UIデザイン力」と語り、「規制やレギュレーションはあるが、それを言い訳にできていなかったことがあるのでは? 我々に改善できることがある」と言及し、「LINEらしい銀行サービス」を目指すとした。

みずほフィナンシャルグループ 執行役副社長 リテール・事業法人カンパニー長の岡部 俊胤氏は、LINE Bankの取り組みを「心待ちにしていた」と説明。

みずほフィナンシャルグループ 岡部 俊胤 執行役副社長

みずほ側のメリットとしては、「若い世代の顧客基盤、デジタルネイティブ世代の獲得」、「決済や決済に付随する与信に関するビジネス」、「LINEが有するビッグデータ」の3点を挙げる。

さらに、4つめの「我々に無いもの」として、LINEならではの「スピード、チャレンジ。そうした姿勢を我々のカルチャーに取り入れたい」と今回の提携の意義を説明した。

LINEスコアでユーザーをスコア化。個人向けローンも

また、信用スコア「LINEスコア」の展開開始や、個人向けのローンサービス「LINEポケットマネー」の展開も発表された。

LINEスコアやLINEポケットマネーを展開するLINE Creditの第3者割当増資も実施。LINE Financialとみずほ銀行、オリエントコーポレーション(オリコ)の3社を引受先とし、出資比率はLINE Financial 51%、みずほ銀行34%、オリコ15%。出資完了は2019年春を予定している。

LINEスコアは、7,800万人のLINEユーザーのユーザー属性だけでなく、LINE上における行動傾向データなどを用いた独自のスコアリングモデルにより審査/スコア化を行なうことで、ユーザー個人の信用評価の可視化やサービス提供時の最適な条件提示の実現などを目指す。

LINEの出澤社長は中国での事例として、同種の信用スコアが高い人には、低いローン金利での貸し出しが行なわれていることなどに言及。「日本で同じことができるかは、今後の検討次第」としながら、様々なLINEサービスでの信用スコア活用が見込まれるとした。なお、LINEスコアの算出は、ユーザーからの同意が必須。

現時点では、LINEサービス以外でのスコア利用は予定していないが、「連携は見据えていく」とした。

LINEスコアを使った第1弾サービスとして、「LINEポケットマネー」を予定。個人向けの無担保ローンサービスで、スコアモデルによって得たスコアに応じて、ユーザー一人一人に適した貸付利率(年率)で利用可能額を決定。急な飲み会などの交際費や出張費の建て替え、医療費などの突発的な資金需要への対応を想定し、アプリ上でワンストップで申し込みから返済まで行なえるサービスの実現を目指すとした。2019年のサービス開始を予定している。