60〜70歳の親から突然「SNSをやってみたい」と相談されたとき、あなたならどうする?
PCやスマートフォンを日常的に使っている人ならば、誰もが一度はSNSを使ったことがあるだろう。日記を書き、写真を投稿し、そしてともだちから寄せられたコメントに喜ぶ。ただ、そうした楽しさの一方で、トラブルの種が多いこともご存じのはず。人間関係のトラブルは言わずもがな、ちょっとした不注意での個人情報流出や意図しないサイトへの誘導など......。
ITに不慣れなシニアが果たしてSNSを使いこなせるのか? どうアドバイスすればいいのか? そんな不安に対して真摯に向き合う数少ないSNSが、富士通による無料SNS「らくらくコミュニティ」だ。具体的にどんな運営がなされているのか、詳しく見ていこう。
(※画面は2015年9月時点のものです)
らくらくスマートフォンを使っていなくても参加OK! 誰もが使える安心SNS
らくらくコミュニティは、2012年8月にらくらくスマートフォン向けのコミュニティサービスとして運営がスタートした。当初は掲示版機能が中心だったが、ユーザーからの声に応えるかたちで翌年8月に大幅リニューアルを実施、現在のSNS機能の多くが実装された。現在の累計利用者数は40万人に達し、国内最大規模のシニア向けSNSにまで成長している。
らくらくコミュニティは富士通製端末限定のサービスではなく、PCやAndroidスマートフォン、iPhoneなどから利用できる。費用ももちろん無料だ。
安心の理由は「24時間チェック体制」
らくらくコミュニティにおける"安心"の源泉はズバリ「専門スタッフによる24時間チェック」に尽きる。
その対応の最も顕著な例が、会員であれば誰もがオープンに見られる「みんなの掲示版」への書き込み。「はじめまして」「園芸・ガーデニング」などさまざまなテーマの掲示版から構成されるが、専用書き込みフォームから投稿しても、リアルタイムには掲出されない。必ず運営側でのチェックを経てから公開される。国内主要SNSとはまったく異なる考え方だ。
なぜそうした体制が敷かれているかといえば、不用意な投稿による個人情報の流出や意図しないサイトへの誘導などを未然に防ぐためだ。
投稿から公開までにかかる時間は、公式な説明によるとおおむね30分前後。曜日や時間帯によっても異なるだろうが、実際には数分〜10数分となることが多いようだ。
出会い目的の投稿やセールスにつながる他のサイトへの誘導(URLの記載)などについては非公開となる場合がある。徹底して安心な場を提供しようとするらくらくコミュニティ独自の対応と言っていいだろう。
また、個人情報の書き込みにも特段の配慮がなされている。名前はもちろん、メールアドレス、電話番号、住所などは一度書き込んでしまうと取り返しがつかない。SNSや掲示版に不慣れな人の場合、他人からの誘いに素直に応じて書き込んでしまうケースも多いとされ、なかなかに厄介な問題だが、らくらくコミュニティは前述の投稿−公開フローを経ており、仮に投稿フォームに入力してしまっても、運営側で書き込みを止めてくれる。シニアを見守る子世代から見て、これは実に心強い。
忘れていた「SNS体験の喜び」がここに
こういった安心感向上施策に裏打ちされればこそ、コミュニティへの参加意欲もまた高まるものだ。らくらくコミュニティで最も基本となるサービスは前述の「みんなの掲示版」だが、実にさまざまなユーザーが書き込みを楽しんでいる。掲示版のテーマにもよるが、写真を添付している方も非常に多い。
らくらくコミュニティはシニア主体のサービスとは言え、いわゆる"アラサー"や"アラフォー"の利用が禁止されている訳ではない。そこで筆者も掲示版に何度か書き込みを試してみた。
すると、程なくして「拍手!」が書き込みに付いた。Facebookにおける「いいね!」に相当する機能で、通りすがりの第三者でも気軽に付けられる。
そして今度はコメントが付いた。らくらくコミュニティでは、文字通りのテキスト形式コメントに加え、LINEのスタンプにほぼ相当する「イラスト」をコメント的に貼り付けることも可能になっている。
ここで思い出すのは2000年代中盤、まだSNSが勃興期であった頃の感覚だ。必死で書いた日記にともだちのコメントが付いた時の喜び! 好きなテレビ番組や映画について見ず知らずの人と意見交換する新鮮さ! まさしくあの時の原体験である。
これは何も若者だけが味わえる感覚ではない。SNSを使うという、ちょっとした意思さえあれば、世代を問わず誰もが体験できる。
らくらくコミュニティの場合、既存ユーザーが新規ユーザーをやさしくサポートしてくれる空気がすでにあるのがポイントだ。使い方やスマートフォンの操作等でわからないことがあるときは、掲示板で質問するとすぐに優しく返事が返ってくる。
もちろん、それでもまだSNSに対しておっかなびっくりという人もいるだろう。そんな時は、まずユーザー登録だけを行い、書き込みをせず、他人の記事・写真を閲覧だけするのがオススメだ。らくらくコミュニティには、いわゆる"足あと"機能がないので、コメントや拍手!を送らない限り、相手からは存在を感知されない。
掲示版も多数あるが、まずは自分の興味ある分野の掲示版を覗いてみるのが王道。例えば「感想・レポート」ではペット自慢の写真が多数あるので、犬猫好きな人ならばそれだけでも飽きない。実用的な話題としては「健康の悩み相談」「花の名前」などが役立ちそうだ。
運営側の主催によるイベントが多いのも、らくらくコミュニティの特徴だ。特に、フォトコンテストはほぼ毎月1回の恒例企画。プロの写真家による審査を経て、優秀作品の投稿者にはトロフィーが贈られる。
以上、らくらくコミュニティならでは特徴をご紹介した。SNSの基本要素を盛り込みつつ、安心の確立のためにしっかりと人員が割いている事がおわかりいただけたかと思う。
本稿では詳しく取り上げないが、コミュニティ内のともだちを登録したり、メンバー限定型のサークルを設置して内輪の話を行うこともできる。
また、利用者同士でスコアを競ったり対戦できる「ゲーム」コーナも活況だ。
そして親と子がコミュニティで繋がる場合は「ファミリーページ」の機能が役立つ。本来のともだち登録とはまた異なり、新着コメントや写真が投稿されたときには区別して表示される。加えて、「らくらくスマートフォン3」限定の機能となるが、送られてきた写真が自動で端末待受画面に表示される機能も備える。孫の写真を見るのがさらに簡単になるだろう。
シニアのチャレンジをサポート!
社会インフラや医療技術向上の甲斐もあり、近年シニア層がますます元気になっている。会社の定年を迎えても、孫が誕生しても、本人の生活はまだまだ続く。その過程で、趣味に拍車がかかったり、新しいことにチャレンジしたいという欲求も当然出てくるだろう。かつて「新人類」と呼ばれた世代ですら、もう50代後半〜60代前半にさしかかっているのだから。
子世代からすれば、確かにそれらを「危なっかしい」と感じるのも本音だろう。ただ、だからといって、それを制止するのも筋違いな話。幼子と同様、シニアもまた成長する......いや、成長したいからだ。「1%でも心配があったらやらせない」の理念が通用するはずもない。
これから初めてSNSにチャレンジしたいシニアにとって、らくらくコミュニティは間違いなく最有力候補になりうる。直接の親はもちろん、親戚、上司など目上の世代へ誘ってみてはいかが?