法林岳之レビュー

コンパクトなのに、目いっぱい楽しめる!
毎日がハッピーな自分サイズのスマートフォン

手に持ち、ポケットに入れ、カバンに収め、毎日、いつも自分の近くにあるスマートフォン。そんな日々の生活に欠かせないスマートフォンだからこそ、自分に合ったものを選びたい。auから2015年春モデルとして発売されるシャープ製スマートフォン「AQUOS SERIE mini SHV31」は、コンパクトで持ちやすいボディにめいっぱいの画面を搭載し、誰でも快適に使えるように仕上げられたモデルだ。ハードウェアなどのスペックだけでなく、シーンに応じて感情豊かに話しかけてくれるシャープ独自の「エモパー」により、アナタの毎日をハッピーに演出してくれる存在だ。ひと足早く実機を試すことができたので、その仕上がりをチェックしてみよう。

求められる自分サイズのスマートフォン

私たちは普段の生活において、いろいろなものを身に着けたり、使ったりするが、それらの多くには「サイズ」というものが存在する。シャツやパンツ、コート、靴、帽子などのファッションアイテムはもちろん、カバンや腕時計といった持ち物にもサイズがあり、ノートパソコンなどにもディスプレイサイズや使い方の違いによって、いくつかのサイズが異なるモデルがラインアップされている。

これに対し、スマートフォンにおいては、ここ数年の急速な進化とアップデートの影響もあり、どちらかと言えば、ハイスペックが追求され、ディスプレイの大画面化が進み、ボディサイズも大きくなる傾向が強かった。大画面ディスプレイは、視認性が優れているだけでなく、画面をタッチしながら操作するスマートフォンにおいては、本体の操作性も大きく左右するため、積極的に大画面化が推し進められてきた格好だ。

しかし、ファッションや持ち物がそうであるように、やはり、使う人に合ったサイズが選べる方が好ましいわけで、スマートフォンについても大画面のハイスペックモデルだけでなく、あまり手の大きくない人や扱いに慣れていない人にもストレスなく使えるサイズのモデルが求められる時期になりつつある。

そんなユーザーのニーズを踏まえて登場したのが、auのシャープ製スマートフォン「AQUOS SERIE mini SHV31」だ。シャープ製スマートフォンと言えば、auスマートフォンのラインアップの中でも高い省電力性能と安定した動作で、常に高い評価を得ているが、今回のモデルは2014夏モデルとして発売され、各方面で高い評価を得た「AQUOS SERIE SHL25」のスタイリッシュなデザインのテイストを受け継ぎながら進化させ、ひと回りコンパクトなボディにまとめることにより、幅広いユーザーが使いやすいサイズのスマートフォンに仕上げている。

AQUOS SERIE mini SHV31

また、コンパクトボディのモデルと言ってもエントリー向けにスペックや機能を抑えているわけではなく、フラッグシップモデルにひけを取らない快適な利用環境を整えている。たとえば、ネットワークの対応については、auが昨年夏から展開を開始している「キャリアアグリゲーション」と「WiMAX 2+」による高速通信に対応するほか、昨年12月からサービスを開始した「au VoLTE」にも対応しており、シンクコールや高音質通話、ボイスパーティなどの多彩なVoLTEサービスも利用できる。もちろん、日本仕様のおサイフケータイやワンセグ、赤外線通信も搭載し、防水にも対応するなど、申し分のない仕上がりとなっている。

カラーバリエーションは4色

コンパクトなのに、目いっぱい楽しめる

シャープ製端末はケータイの時代から自らが開発する液晶ディスプレイの強みを活かし、大画面化や高解像度化の流れをリードしてきた。スマートフォンの時代に入ってもその強みは受け継がれており、最近ではシャープ製スマートフォンの新しいデザインの顔として三辺狭額縁による「EDGEST」デザインが定着しつつある。液晶ディスプレイの上と左右のフレームを極限まで細くすることにより、めいっぱい画面の液晶ディスプレイを搭載しつつ持ちやすいボディ幅に抑え、かつてSF映画などで描かれてきた「ディスプレイのみを持ち歩くような携帯情報端末」の存在感を実現し、各方面で高い評価を得てきた。

今回のSHV31もEDGESTデザインを採用することにより、約4.5インチのフルHD対応IGZO液晶ディスプレイを搭載しながら、幅63mmという多くの人の手になじむ持ちやすいサイズ感を実現している。本体前面のうち、画面の占める割合は75%に達し、このクラスの画面占有率としてはトップクラスを実現する。程良いサイズ感のボディは女性や若年層など、あまり手の大きくない人でも扱いやすいボディに仕上げられている。

背面はなだらかにラウンドしており、手のひらにやさしくフィットする ダイヤカットされたアルミ製の電源キーや、イヤホンジャックが高級感を演出

国内では同程度のサイズのボディのスマートフォンがいくつか販売されているが、それらの多くは720×1280ドットのHD表示であるのに対し、SHV31は各社のフラッグシップモデルなどと同等の1080×1920ドットのフルHD表示に対応しているため、表示される文字や映像も美しく、地図などを見るときにも格段に見やすい。写真や映像などもバックライト「PureLED」により、自然な色合いで美しく表示することが可能だ。

フルHD IGZO液晶ディスプレイの高精細さとPureLEDの発色による美しい画面

また、本体側面にはグリップセンサーが内蔵されており、「グリップマジック」という機能が利用できる。たとえば、SHV31を使いはじめるとき、端末を手に取ると、画面がONになり、端末を机に置くと、自動的に画面がOFFにできたり、持ったときに時計やロック画面をすぐに表示することができる。画面の自動回転を有効に設定していても端末を持っているときは自動回転を抑止したり、急に電話がかかってきたときは端末を持つだけで着信音を抑えたり、端末を持つまで連絡先を画面上に表示せず、プライバシーを守るといった使い方もできる。端末がカバンやポケットに入っていて、不在着信や未読メールがあるときは、端末を握るだけで、振動で有無を伝えることもできる。すでに、AQUOS SERIE SH25などでも採用されてきた機能だが、使いはじめると、「グリップマジック」がないことが不自然に感じられてしまうくらい、便利でしっくり来る機能だ。

端末を握ったことを感知、画面ONをはじめ様々な機能を実現する「グリップマジック」を装備

ボディがコンパクトになると、本体のバッテリー容量が気になるところだが、SHV31には2120mAhのバッテリーが搭載される。5インチオーバーのディスプレイを搭載するモデルの3000mAh以上の大容量バッテリーに比べ、やや少なめになるが、SHV31のIGZO液晶ディスプレイは省電力性能が優れているうえ、シャープ製スマートフォンではおなじみの省電力機能「エコ技」との相乗効果もあり、連続通話時間で約1,040分(VoLTE)、連続待受時間で約540時間(4G LTE/WiMAX 2+)を可能にするなど、まったく遜色のないレベルに仕上げられている。ちなみに、充電は底面のmicroUSB接続端子を利用するが、キャップレス防水になっているため、キャップの開閉などは必要ない。

microUSB端子はキャップレスながら防水に対応

ホーム画面はシャープ製スマートフォンでおなじみの「Feel UXホーム」、auオリジナルのビギナー向け「auベーシックホーム」がプリセットされている。Feel UXホームはアプリシートとデスクトップシートの2枚のシートから構成されており、いずれも縦方向にスクロールし、それぞれのシートは左右にフリックして切り替える。画面下段にアプリのアイコンを固定表示する「ドック表示」も対応しているため、GmailやLINEといった頻繁に利用するアプリを登録しておくことができる。

ナビゲーションバーのアプリ使用履歴キーをタップすると、クイックランチャーが表示される。最近使ったアプリに切り替えられるだけでなく、お気に入りのアプリを登録しておいたり、ウィンドウ表示が可能なミニアプリを起動することもできる。クイックランチャーは下段に表示されるため、これも片手持ちで操作するときに便利だ。

様々な機能を呼び出せる「クイックランチャー」は画面下部に表示されるので、片手だけで楽々アクセス

この他にも片手操作をサポートする機能としては、画面下部を上方向になぞると出てくるアイコンで一時的に画面を縮小表示する「画面縮小モード」をはじめ、文字入力時の文字パレットやロック画面のロックNo.入力キーを左右に寄せて表示したり、画面下段のナビゲーションキーの間隔を狭くして、片手持ちのときに親指で反対側にも届きやすい設定にすることが可能だ。全体的に見て、コンパクトなボディを最大限に活かしたユーザビリティが実現されている印象だ。

画面全体を縮小して片手で操作しやすくする「画面縮小モード」

毎日がハッピーになるエモパー

いつも持ち歩き、常に自分のそばにあるスマートフォンだが、もし、スマートフォンが自分のパートナーのように語りかけてきたら?

そんなちょっとユニークな発想で作られたのがSHV31に搭載される「エモパー」だ。昨年秋から他事業者向けのシャープ製スマートフォンに搭載され、各方面で話題となっている機能だ。

「スマートフォンにしろ、ケータイにしろ、ただの機械、ただの道具でしょ」と考えているかもしれないが、どんな持ち物でも自分が気に入ったものは自ずと愛着がわいてくるものだ。エモパーはスマートフォンに対する愛着をちょっと後押しして、毎日をハッピーにしてくれる存在だ。

シャープは人工知能「ココロエンジン」を搭載した家電製品を開発、お掃除ロボット「COCOROBO(ココロボ)」などを発売して人気を集めているが、このココロエンジンのノウハウを活かし、スマートフォンがユーザーにタイミング良く話しかけてくるしくみを実現したのが「エモパー」だ。たとえば、朝起きたとき、「おはようございます」「今日の天気は晴れ、降水確率10%です」と教えてくれたり、自宅に帰ってきて、ACアダプタを接続すると、「お疲れさまでした」「充電開始。現在、○○%です」「この瞬間がたまりません」などと愛嬌をまじえながら、話しかけてくる。実際に使っていると、エモパーのひと言に思わず微笑んでしまうことも少なくなく、今まで以上に自分の使うスマートフォンに愛着がわいてくる印象だ。

自宅や職場などの情報については、AQUOS SERIE miniを購入し、エモパーの基本設定をして、使いはじめると、1週間程度で把握してくれる。自宅では音声で話しかけ、外出時はロック画面を通じて、文字で語りかけてくるが、マナーモード中でも声で話しかけるように設定したり、夜間の利用を考慮し、暗いところでは小声で話すといった設定も可能だ。

すでに、他事業者向けモデルに搭載されているエモパーには、出荷時に「えもこ」「さくお」「つぶた」という3種類のキャラクターが設定されているが、SHV31には新たに「おれんじん」というキャラクターが追加された。それぞれのキャラクターは話し方や話す内容、頻度、言葉づかいなども異なり、新キャラクターのおれんじんは、情熱的だけど、どこかオドオドした感じで話してくる憎めないキャラクターで、面白い。

妙にハイテンションな新エモパー「おれんじん」

エモパーが話しかけてくるのはユーザーが端末を机に置いたときなどで、非常にいいタイミングで話しかけてくる。これはSHV31に内蔵されているモーションセンサーやGPSなどを利用しているが、独自のセンサー制御ICを搭載することで、CPUに大きな負担をかけることなく、効率良く動作するように設計されている。元々、シャープ製スマートフォンは省電力性能に優れ、バッテリーの持ちがいいと言われていることも関係しているが、エモパーそのものは非常に『小食』で、少ない電力でユーザーの行動を理解することが可能だ。

写真がもっと楽しくなる高性能カメラ

スマートフォンは毎日持ち歩くが、その毎日の利用シーンで、もっとも利用頻度が高い機能のひとつがカメラだ。もちろん、ケータイ時代もカメラは頻繁に使ってきたはずだが、スマートフォンではFacebookやTwitterなど、SNSへ投稿するケースが増え、自分が撮った写真を他人に見てもらうことが増えている。たとえば、ランチやディナーに出かけたとき、料理の写真を撮ったり、お気に入りの服や靴などを見つけたときに試着した自分を撮ってみたり、久しぶりに会った友だちとグループショットを撮ってみたりと、さまざまなシーンでカメラを使うことになる。

SHV31にはメインに1310万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサー、サブに120万画素の同じく裏面照射型CMOSイメージセンサーによるカメラを搭載する。コンパクトボディながら、メインカメラは昨年夏に発売されたAQUOS SERIE SHL25と同等のスペックのものを搭載。それだけに留まらず、美しい写真を撮るためのさらなる進化が見られる。

暗い場所にも強い裏面照射型CMOSイメージセンサーを搭載したカメラ。LEDのフラッシュは輝度が高い上、自然な色調で撮影できる

カメラの機能としては、逆光でもきちんと撮れ、連写もできる「リアルタイムHDR(High Dynamic Range)」を搭載。SHV31では、ファインダーで効果を確認しながら撮影できるようになった。

「NightCatch II」は暗いシーンでの撮影に有効な機能で、人物はフラッシュを使って撮影し、背景は複数枚をフラッシュを使わずに撮影し、それぞれの写真を合成して人物も背景も明るく撮影することができる。ちなみに、フラッシュは大幅に輝度をアップさせたうえ、自然な色調で撮影できるLEDライトを採用する。

記念写真や旅先でのショットなど、失敗したくない写真を撮りたいときは、「HQ(高品位)モード」を設定することで、撮影時に複数枚を撮影し、ブレやノイズを抑えた写真を撮ることが可能だ。

少し変わったところでは、「背景ぼかしモード」で撮影すると、撮影後に背景をぼかし位置やぼけ具合を変更することが可能だ。被写体の特定の部分を強調したり、遠景までの全体をクリアに残すといった使い方ができる。

また、カメラ起動して構えたとき、写真の構図をガイドしてくれる「フレーミングアドバイザー」もおすすめの機能だ。すでに他事業者向けを含めたシャープ製スマートフォンに搭載されている機能だが、料理や人物、風景などを自動的に認識し、それぞれの撮影シーンに合わせた構図をファインダー上でガイドしてくれる。ユーザー自身が撮影シーンを選び、そのシーンに合ったフレーミングアドバイザーを表示することも可能。また、利用頻度の高い「料理」の写真は、さらに寄って美味しそうな写真を撮れるように改良されていて、今まで以上に「いいね」がもらえそうな写真を撮ることができる。

この他にもインカメラでグループショットなどのワイド撮影が可能になる「インカメラワイド撮影」、インカメラ撮影時に2秒後にセルフタイマーで撮影ができる「ワンタッチセルフタイマー」など、自分撮り系の撮影機能も充実している。AQUOS SERIE SHL25でも好評を得た「全天球撮影(Photo Sphere™)」や「多焦点撮影」なども継承されている。

雑誌などの文字をカメラにかざして、認識した文字で情報検索ができる「検索ファインダー」、英文にカメラをかざすと、リアルタイムで翻訳する「翻訳ファインダー」、フルHDを超える高解像度撮影が可能な「4K2K動画撮影」などの機能も搭載される。

最強のauネットワークを最大限に活かせる
AQUOS SERIE mini SHV31は「買い」!

スマートフォンの進化は目覚ましいものがあったが、最近は端末の完成度も高くなり、今まで以上に幅広いユーザーがスマートフォンを手にするようになってきた。しかし、ユーザー層が広くなれば、おのずとユーザーのニーズも多様になり、なかでもサイズ感に対するニーズは女性や若年層、あるいはスマートフォンの形状に慣れていないビギナー層を中心に、「もっと持ちやすく、扱いやすいモデルが欲しい」という声が聞こえるようになってきた。auから発売されるシャープ製スマートフォン「AQUOS SERIE mini SHV31」は、まさにそういった声に応えてくれるモデルだ。

また、auは国内でもっともLTEネットワークの充実に力を入れており、LTEネットワークの実人口カバー率は99%を超え、LTE接続維持率も99%超を達成している。今回のSHV31は「キャリアアグリゲーション」と「WiMAX 2+」の高速通信に加え、昨年12月からサービスが開始されているau VoLTEにも対応しており、高音質通話やシンクコールなど、au VoLTEならではの便利なサービスも利用できる。高音質通話はau VoLTE対応機種のみで有効になる機能だが、昨年発売された2機種に加え、1月19日にはSHV31を含む3機種が発表されており、今後の主力サービスになっていく見込みだ。この環境をいち早く利用できることもSHV31を選びたい理由のひとつと言えるだろう。最強のauネットワークも最大限に活かすことができるSHV31を使い、エモパーと共にハッピーな毎日を楽しみたい。

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執筆: 法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 8.1」をはじめ、「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-01F 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるゼロからはじめるタブレット超入門 Android 4対応」「できるポケット au Androidスマートフォン 基本&活用ワザ 完全ガイド」「できるWindowsタブレット Windows 8.1 Update対応」など、数多く執筆。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。ホームページはこちら