法林岳之 レビュー 心地良く、楽しく、快適に
感動がつづくロングライフを可能にした
フラッグシップモデル
AQUOS PHONE SERIESHL23

毎日、必ず手に取り、インターネットやメール、コンテンツ、コミュニケーションなど、さまざまなシーンで活用するスマートフォン。ここ数年の着実な進化により、プラットフォームの完成度が高められる一方、モバイルネットワークも各社のLTEサービスが充実し、スマートフォンを快適に使うことができる「旬」の時期を迎えようとしている。しかし、そんな身近な存在であるスマートフォンだからこそ、ユーザーはもっと心地良く、もっと快適に、もっと楽しく、もっと長く使いたいと考えるものだ。そんなユーザーの期待に応えてくれるのがauから発売された「AQUOS PHONE SERIE SHL23」だ。この冬、数あるauのラインアップの中で、もっとも注目度の高い1台をひと足早く試すことができたので、その仕上がりをチェックしてみよう。

成熟期を迎えつつあるスマートフォン

AQUOS PHONE SERIE SHL23

今から約3年前を覚えているだろうか。国内ではいよいよ本格的にスマートフォン時代の幕が開けようとしていた時期だ。すでに、海外メーカーのスマートフォンが市場で販売されていたが、国内のユーザーはこれまで利用してきたケータイが十分に高機能なうえ、おサイフケータイをはじめとする『三種の神器』と呼ばれる機能が手放せないため、なかなかスマートフォンに移行できない状況が続いていた。そんな中に登場したのがauのシャープ製スマートフォン「IS03」であり、これが後の国内向けスマートフォンのスタンダード的な存在になっていく。

その後、各社から日本仕様をサポートしたスマートフォンが次々と登場し、海外メーカーからもワンセグなどを搭載したモデルが投入されたことで、国内のスマートフォンの市場はわずか3年ほどの間で、一気に拡大することになった。今年3月現在、国内のスマートフォンの契約は4000万を超えたと言われており、市場の主役は完全にスマートフォンに移行している。特に、昨年末あたりからはAndroidプラットフォームをはじめ、チップセットや搭載メモリなどの仕様も成熟の領域に入ったと言われ、サービス面においてもメールやコンテンツといった基本サービスだけでなく、スマートフォンの特長を活かしたサービスやインターネットで提供される最新サービスも次々と登場し、ケータイの時代からは考えられないほど、充実した利用環境になってきている。3年前には想像もできなかった、今や誰もがスマートフォンを手にしやすく、ケータイからもスムーズに移行でき、なおかつ十分に楽しめる環境が整いつつある。

これだけスマートフォンを楽しむ環境が充実してくると、当然のことながら、ユーザーからはもうひとつ上のレベルを求める声が上がってくる。単純に端末そのもののパフォーマンスを向上させるだけでなく、自分が使いたいサービスをすぐに使え、もっと心地良く操作できることを望んだり、オンラインで提供されるコンテンツなどをじっくりと楽しみたいと考えるわけだ。

今回、auから発売されたシャープ製スマートフォン「AQUOS PHONE SERIE SHL23」(以下、SHL23)は、スマートフォンがはじめてのユーザーはもちろん、スマートフォンを買い替えるユーザー、もっと快適に使いたいユーザー、もっとロングライフで使いたいユーザーなど、スマートフォンをフルタイムで活用したいユーザーの期待にしっかりと応えてくれるモデルだ。

これまでau向けのシャープ製スマートフォンは、IS03以来、常にユーザビリティとデザインにこだわりながら開発され、ユーザーからも高い評価を得てきた。なかでも今年の夏モデルとして発売されたAQUOS PHONE SERIE SHL22は、auスマートフォンのラインアップの中でもダントツのロングライフを実現し、安定した動作と快適な操作性により、ユーザーの満足度調査など、各方面でも高い評価を受けた。筆者自身も発売以来、数カ月間、愛用してきたが、これまでに利用してきたスマートフォンの中で、もっともストレスなく利用できたモデルだったという印象だ。

今回発売されたSHL23は、このAQUOS PHONE SERIE SHL22をさらに進化させた後継モデルであり、IGZO液晶ディスプレイのフルHD化をはじめ、F値1.9の明るいレンズに「NightCatch」と呼ばれる画像処理機能を組み合わせた約1630万画素カメラ、心地良い使いやすさを演出する「グリップマジック」をはじめとするユーザビリティなど、さらに魅力的なフラッグシップモデルとして、仕上げられている。スマートフォンとしての基本性能であるCPUも一段と強化され、au向けでは初となるフルセグ対応、触れずに操作できるエアオペレーションなど、数々の新機能も搭載されている。成熟期を迎えつつあるスマートフォンにおいて、最高のユーザー体験ができるフラッグシップモデルとして、仕上げられている。

フルHD対応約4.8インチIGZO液晶ディスプレイを採用

スマートフォンを快適に使うために、どんなことが必要だろうか。たとえば、CPUやメモリをはじめとする基本スペックも大切だし、Androidプラットフォームの安定性も気になるところだ。もちろん、さまざまなシチュエーションにおいて、快適に活用できるという意味においては、おサイフケータイやワンセグといった日本仕様の機能が欠かせないとするユーザーもいる。

しかし、スマートフォンの快適性を実現するものとして、もっとも重要なものと言えば、やはり、ディスプレイをおいて、他にない。メールやWebページ、コンテンツなどを表示するためのデバイスであると同時に、タッチパネルのレスポンスや追従性能はユーザビリティを大きく左右することになる。つまり、ディスプレイは対角サイズや解像度などによる視認性や画質だけでなく、操作のための快適性も大きく左右する要素でもあるわけだ。

4.8インチというほどよいサイズに加え、狭額縁で大きさを感じさせない
背面はなだらかなカーブで、グリップしやすい印象
手の中へのおさまりが良いサイズ

また、スマートフォンはタッチパネルを採用しているため、ディスプレイは本体前面の大部分の領域を占める。そのため、どれくらいの大きさのディスプレイを搭載するのかは、スマートフォン本体の大きさに関係し、ボディ幅は端末の持ちやすさにも直結する。ディスプレイサイズが大きく、視認性に優れているのはいいが、ボディ幅が大きすぎ、片手でも操作が難しかったり、手になじまず、落としてしまうといったことも起こり得る。

そして、各社の最新スマートフォンを比較する中で、もっともディスプレイが大きく影響を及ぼしているのは、バッテリーの持ち、つまり、実使用時間の長さだ。ディスプレイの方式によって、多少の差はあるが、一般的にディスプレイサイズが大きくなれば、その分、バックライトの光量は増やす必要があるため、消費電力も増える傾向にある。特に、今年に入り、各社が採用しはじめたフルHD対応のディスプレイは、従来のHD対応のディスプレイよりも高解像度であり、画素密度が一段と細かくなるため、これもバックライトの光量を増やさなければ、従来と同等の明るさを得ることができず、その分、消費電力は増える傾向にある。

こうした条件を踏まえ、今、スマートフォンのディスプレイとして、もっともアドバンテージを持っていると言われるのがシャープ製スマートフォンに採用されている「IGZO液晶ディスプレイ」だ。IGZOについては、これまでも何度も説明してきており、従来のAQUOS PHONE SERIE SHL22でも採用されているので、ご存知の読者も多いだろうが、シャープが世界ではじめて量産化に成功した酸化物半導体で、「インジウム(In)」「ガリウム(Ga)」「亜鉛(Zn)」「酸素(O)」によって構成されている。この酸化物半導体を液晶パネルのそれぞれのドットに付随する薄膜トランジスタに採用することで、従来のものよりも小型化できるため、バックライトを遮るものが少なくなり、省電力性能に優れるという特長を持つ。同時に、限られた対角サイズで高解像度(高精細化)を実現しやすいという特長を持つ。

トランジスタの小型化により、パネルの開口率が大幅に上がるIGZO液晶

これに加え、IGZO液晶ディスプレイには「液晶アイドリングストップ」と呼ばれるアドバンテージもある。一般的なアモルファスシリコンによる液晶は、毎秒60回の書き換えが発生するのに対し、IGZO液晶ディスプレイは静止画で毎秒1回、動画もコンテンツが30fpsのときは従来の半分に書き換えで済むため、全体的な消費電力を下げることが可能だ。

「アイドリングストップ」で静止画表示時に消費電力を節約。Webブラウジングなどにも効果を発揮

こうしたIGZO液晶ディスプレイの省電力性能に対するアドバンテージは、ディスプレイサイズが大きくなり、HDからフルHDへと高解像度になるにつれ、より大きくなる傾向にあり、利用環境によっては、実使用時間で1.5~2倍もの差がついてしまうこともある。

今回のSHL23には、フルHD対応約4.8インチのIGZO液晶ディスプレイが採用されている。IGZO液晶ディスプレイとしては、従来のAQUOS PHONE SERIE SHL22に続く採用だが、従来モデルの約4.9インチIGZO液晶ディスプレイは、1280×720ドットのHD表示に対応したものだったのに対し、今回のIGZO液晶ディスプレイは1920×1080ドットのフルHD表示に対応しており、約460ppiというトップクラスの高密度表示を実現している。一般的に、印刷物でもっとも美しいとされる写真集やグラビア印刷は、約300~400ppi程度と言われており、それを十分に超える美しい画面が体験できるわけだ。

もはや印刷物すら超えた解像度に到達

そして、スマートフォンのディスプレイで大切な環境性能については、周囲の明るさや照明の種類、時間帯などの生活環境に合わせ、インテリジェントに画質を自動調整する「ユースフィットモード」、色空間の国際標準規格「sRGB」に合わせることで、オンラインショッピングなどでも適切な色表示が再現できる「ナチュラル画質モード」、ディスプレイの色調整により、画面のちらつきを押え、眼の負担に配慮した「リラックス画質モード」などが用意されている。屋外のように明るい場所ではコントラストを自動的に調整し、Webページやメールなども見やすく表示できる「アウトドアビュー」、公共交通機関などで利用しているとき、周囲からののぞき見をブロックできる「ベールビュー(のぞき見ブロック)」にも対応しており、さまざまな環境で快適にスマートフォンを利用できるように作り込まれている。

人の生活環境にあわせて画質を自動で調節する「ユースフィットモード」

また、IGZO液晶ディスプレイと3000mAhという大容量バッテリーのパフォーマンスを最大限に活かすため、従来からシャープ製スマートフォンで採用されてきた「エコ技」機能も継承されている。今回のモデルからデザインが一新され、設定についてもワンタッチで「エコ技」機能を有効にしたり、ステータスパネルからの切り替え、バッテリー残量による自動切り替えなど、より簡単に省電力を設定できるようにしている。

「エコ技」機能もさらに使いやすくなった
ステータスパネルからのON/OFF切り替えに対応
タイマーでこまやかな省電力設定も
「エコ技」機能でON/OFFや設定が可能な項目
省エネ待受/省エネWi-Fi/画面の明るさ/画質モード/アニメーション/バックライト点灯/光点滅で通知/効果音/タッチ操作バイブ/自動同期/省エネ液晶ドライブ/カメラ高速起動/画面の縁の効果

IGZO液晶ディスプレイによるロングライフを実現したSHL23だが、スリムなボディはデザイン的にも非常に美しく仕上げられている。

本体前面のディスプレイの下部にはタッチセンサーによる音量キーが備えられているが、その下の部分はガラス表面に微細な粒子を吹き付けるブラスト処理を施すことで、AQUOS PHONEのロゴを美しく見せている。スマートフォンのボディデザインはいずれも似通ってしまう傾向にあるが、フロントフェイスにアクセントを付けることで、AQUOS PHONEならではの個性を演出している。

非常に目に付くデザインアクセントとなっているフロント下部

ボディ周囲や背面もすっきりと仕上げられているが、従来モデルと比較して、電源ボタンの位置が上部から右側面に移動したり、イヤホンマイク端子が上部中央にレイアウトされるなどの違いがある。

付属の卓上ホルダも縦方向に置くタイプから横向きにスタイルに変更されたが、これは新たに搭載されたフルセグチューナーでテレビを視聴することを考慮してのことだ。SHL23には従来のワンセグに加え、地上デジタル放送と同じ高画質の番組が楽しめるフルセグチューナーを搭載しており、約4.8インチの大画面で迫力ある映像を楽しむことができる。録画にも対応しており、帰宅時などに深夜や早朝の番組を録画しておき、通勤や通学途中に視聴するといったスタイルで利用可能だ。ちなみに、卓上ホルダはフロントダクトを採用しており、端末を卓上ホルダにセットした状態で、前面にしっかりと音が聞こえる仕様となっている。

また、フルセグはワンセグに比べ、高画質である半面、安定した視聴にはより強い放送波を受信できる環境が必要とされるが、別売のTVアンテナケーブルを接続することで、自宅などでも安定した視聴や録画が可能になる。移動中に視聴するときも、内蔵のアンテナを伸ばすことで受信感度を向上できる。ワンセグとフルセグは受信状態に合わせ、自動的に切り替わる仕様になっており、いずれかに固定して視聴することも可能だ。(※)※TVアンテナ入力用microUSB変換ケーブル(別売)が必要です。

また、音響面ではブルーレイディスクレコーダーなどにも採用されている「DTS Sound」に対応しており、DTS社のサラウンド技術を活かした高音質のサウンドを楽しむことができる。音楽再生についてもシャープ独自の技術により、効率良く楽曲データを展開し、電力消費を抑えながらの長時間再生を可能にしている。

テレビ機能はワンセグに加え、デジタル放送のフルセグに対応
サウンド関連機能も充実。ヘッドホンジャック位置も音楽プレイヤーっぽいたたずまいに

SHL23に新たに搭載された機能の中で、もうひとつ注目したいのがカメラだ。メインカメラは裏面照射型CMOSイメージセンサーによる約1630万画素カメラが搭載されており、これにF値1.9の明るいレンズと新開発の画像処理エンジン「NightCatch」が組み合わせられる。NightCatchは薄暗い場所でもノイズを押えた明るい写真を撮ることができるもので、リアルタイムに情報が処理されるため、写真を撮影するときのファインダーの画面で明るく表示され、被写体をきちんと確認しながら撮影することが可能だ。実際に、照明を消した部屋や夜間の屋外などで撮影をしてみたが、人間の眼で見たものよりも明るくファインダーに表示され、ほぼそのままの映像が写真として記録できる。暗いレンズの場合、暗いところでの撮影では本体のモバイルライトなどを点灯させて撮影するため、被写体に反射したり、光が十分に回らず、思うように撮れないことがあったが、SHL23のカメラはモバイルライトを点灯しなくても明るく撮影ができるため、光量の少ないところでもその光を活かした雰囲気のある写真を撮ることができる。

F値1.9の非常に明るいレンズを搭載
明るいレンズならではの「ぼけ」を活かした写真も撮れる
新開発の画像処理エンジンにより、暗所でのノイズをさらに低減。明るいレンズとの合わせ技で、暗い場所での写真も高画質に

撮影モードはカメラ任せに撮影できる「おまかせオート」をはじめ、「夜景+人物」「料理」「風景(自然)」などが用意されているが、ぜひ活用したいのが「多焦点撮影」だ。旅先などで、人物を含めたスナップ写真を撮るとき、自動的に複数枚を撮影して合成することにより、近景から遠景まで、しっかりとピントが合った写真を撮ることができる機能だ。特に、奥行があるような撮影シーンで、全体的にクッキリと写したいときに便利な機能だ。逆に、F値1.9の明るいレンズとの特長を活かし、花などの被写体にタッチしてピントを合わせ、背景をうまくぼかしたボケ味のある写真を撮ることも可能だ。離れた被写体を撮るとき、スマートフォンのズームはデジタルズームであるため、どうしても粗く写ってしまう傾向があるが、SHL23では超解像技術を活かすことにより、最大16倍までのズームを美しく撮影できる「美ズーム」も搭載される。オートフォーカスの速度も高速化され、ロック画面からもすばやくカメラを起動できるようにするなど、使い勝手の面も大きく進化を遂げている。

近景から遠景までを自動で数枚撮影し、合成することで画面のすみずみまでフォーカスが合った写真となる「多焦点撮影」
デジタルズームによる画像の粗さを超解像技術で補正する「美ズーム」

心地良く使えるユーザビリティ

省電力性能に優れたIGZO液晶ディスプレイやロングライフを実現する「エコ技」機能をはじめ、NightCatchやF値1.9の明るいレンズを組み合わせた約1630万画素カメラ、地上デジタル放送が視聴できるフルセグなど、現時点で考えられるスマートフォンの最高の機能を追求したSHL23だが、単にスペックやロングライフを追い求めるだけでなく、ユーザーが実際に利用するシーンに合わせたユーザビリティも非常によくできている。

読者のみなさんはスマートフォンの操作をはじめるとき、最初にどんな操作をするだろうか。ポケットに入っていたり、机の上に置いていたり、カバンから取り出したりしたとき、おそらくほとんどのユーザーは最初に電源ボタンやホームキーを押して、画面表示OFFの状態を解除しているはずだ。しかし、SHL23なら、そんな面倒な操作は必要なく、とにかく、本体を手にするだけで、ロック解除画面が表示され、すぐに操作をはじめることができる。

これはシャープが新たに開発した「グリップマジック」と呼ばれる機能によって実現されるもので、本体下部の左右側面に搭載されたタッチセンサーが手に持ったことを感知し、自動的に画面表示をONに切り替えるしくみとなっている。

「握り」の位置にタッチセンサーを内蔵。スマートフォンを「握る」動作に反応させて、画面ONなどが可能

つまり、端末を手に持てば、画面が表示され、画面ロックを解除する操作ができ、すぐにスマートフォンを使いはじめることができるわけだ。設定を変更すれば、時計画面を表示することもできるうえ、着信時やアラームの鳴動時は手に持つだけで、着信音やアラーム音を最小にしたり、バイブをONに切り替えることもできる。さらに、ベッドなどに横になって、電子書籍やWebページを閲覧しているとき、手に持って、タッチセンサーが手を感知していれば、画面の自動回転をOFFに切り替え、ムダな動作をさせないようにもできる。数日間ではあるものの、実際に操作した印象としては、とにかく手に持つだけで端末が操作できる状態になるため、あまりにもストレスがなく、使いはじめたときは逆に戸惑ってしまうくらいだった。しかし、すぐにグリップマジックの動作に慣れ、スムーズにSHL23の操作をはじめられるようになり、スマートフォンを手にする心地良さがクセになりそうだ。

また、画面のON/OFFについては、従来モデルに引き続き、指で画面をなぞって画面ONにできる「Sweep ON」、持っている間は画面が消えない「Bright Keep」が継承されているが、Bright Keepにはグリップマジックが利用され、Sweep ONについてもグリップマジックとの連動により、省エネで利用できるようにチューニングされている。さらに、設定を変更することにより、ブラウザーでWebページを表示中、大きく表示させたいところに指をかざすだけで画面の拡大ができる「エアオペレーション」にも対応する。

ホームアプリをはじめとしたユーザーインターフェイスについても従来モデルから改良され、視覚的にもわかりやすく、操作しやすくなっている。まず、ホームアプリについてはシャープ製スマートフォンでおなじみの「Feel UX(3ラインホーム)」のデザインが一新され、ロック画面の壁紙なども全画面で表示されるようになった。アプリケーションシートやショートカットシートの表示も標準の「3×4」表示に加え、初心者にもわかりやすい「Simple」、アイコンを少し小さくした「4×5」表示、高解像度を活かした「5×6」表示を選べるようにしている。画面最下段のナビバーについても好みに合わせて、2種類から選べるようにしている。

Android標準に近いホームアプリを使いたいユーザー向けには、「SHホーム」も用意されており、いつでも切り替えて使うことができる。[最近使ったアプリ一覧]キーで表示できるようになったクイックランチャーには、履歴やお気に入り、アプリなどのよく使う機能がまとめられ、ミニアプリもすぐに起動しやすくなっている。ちなみに、この[最近使ったアプリ一覧]キーは長押しをすることで、ステータスパネルを表示することができるため、画面最上段まで指を伸ばさなくても済む。手の大きくないユーザーにはうれしい配慮だろう。

さらに、初心者にとってうれしいのは、さまざまなシャープ製スマートフォンならではの機能を本体から動画で確認できるメニューが用意されていることだ。文字や図だけではなかなかわかりにくい機能も動画を見ることで、すぐに把握することができる。ユーザーが使いこなすことを考えた取り組みとして、評価できるものだ。

グリップセンサーなどの機能設定を開くと、機能紹介メニューがある
動画で使い方を確認できるのが便利だ

心地良い使いやすさがロングライフで楽しめるAQUOS PHONE SERIE SHL23は「買い!」

スマートフォンの本格的な普及がはじまって約3年。ハードウェアの基本仕様は完成の領域に達しつつあり、熟成が進んだプラットフォームは安定し、サービスやコンテンツもかなり充実してきた。LTEのネットワークも全国に拡大し、auは受信時最大150Mbpsのサービス提供もスタートさせている。ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ、ネットワークなど、スマートフォンを取り巻く環境は数年前とは比べものにならないほど、充実しており、「旬」の時期を迎えつつある。しかし、そんなタイミングだからこそ、もっとユーザーにとっては快適で、心地良く使えるスマートフォンが欲しいところだ。特に、これまでのスマートフォンで弱点とされてきたバッテリーライフについては、多くのユーザーが期待を寄せているはずだ。今回、auから発売されたSHL23は、まさにユーザーの大きな期待に応えてくれる最高峰のスマートフォンだ。IGZO液晶ディスプレイ&3000mAhバッテリーやエコ技によるロングライフをはじめ、撮ることが楽しくなるNightCatch搭載約1630万画素カメラ、手に取るだけですぐに操作をスタートできる「グリップマジック」など、ユーザーが本当に心地良く、楽しく、快適に使える環境を実現したスマートフォンだ。ぜひ、店頭で触ってみて、この冬イチオシの「買い!」と言えるユーザビリティを体験してみて欲しい。

カラバリは3色。左からブラック、ホワイト、ブルー
法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 8」をはじめ、「できるポケット docomo AQUOS PHONE ZETA SH-06E スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2013年5月24日発売)、「できるWindows 8 タッチPC&タブレット編」など、数多く執筆。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。ホームページはこちら。