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高精細で美しい高透過CGSilicon液晶だが、従来からAQUOS PHONEに搭載されてきた画質調整技術「SVエンジン」も進化を遂げており、最新の「SVエンジン3」が搭載されている。読者のみなさんはオンラインショップで買い物をしたとき、画面で見ていたモノと届いたモノで、カラーの印象が違ったという経験はないだろうか。一般的に、ディスプレイは製品ごとの特性の違いにより、少しずつ色彩に差があると言われているが、パソコンなどでは国際標準規格「sRGB」に対応することで、異なる環境でも基本的には同じカラーが再現できるようにしている。スマートフォンで閲覧しているWebページの多くは、パソコンでデザインされており、パソコンで利用される色空間、つまり、sRGB対応環境での再生を前提としている。そこで、今回のISW16SHに搭載されたSVエンジン3では、sRGB基準に合わせてチューニングされた「ナチュラルカラーモード」を用意することで、オンラインショッピングなどでもパソコンで見たときと変わらない色を再現できるようにしている。Webページで情報を見るだけであれば、それほど重要ではないが、スマートフォンでのオンラインショッピングが拡大しつつある状況を踏まえると、ユーザーとしてもうれしい配慮のひとつだろう。
美しさや省電力に対し、ディスプレイでもうひとつ気になるのがタッチパネルのレスポンスだ。画面に触れながら操作をするスマートフォンにとって、タッチパネルは操作感の生命線だが、国内外の市場に投入されたスマートフォンの中にはあまりタッチパネルのレスポンスが芳しくない製品が存在するのも事実だ。その点、シャープはケータイ時代はもちろん、ザウルスをはじめとするPDA時代からタッチパネルを扱ってきた実績があり、これまでの機種でもユーザーから高い評価を得てきた。今回のISW16SHでは、シャープ独自のタッチ操作チューニング技術「ダイレクトトラッキング技術」により、指先でタッチしたときのレスポンスとなめらかなスクロールを両立させ、指先に画面が吸い付くような動きを実現している。実際に操作した感覚も非常に良好で、ストレスなく、操作をすることができる。 |
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ワイヤレス出力対応機器にISW16SHの画面を映し出すことが可能。また、MHL対応により家庭用テレビにHDMIで映像を映し出すこともできる |
ハードウェアではカメラ機能も注目される。裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「ProPix」による1211万画素カメラを搭載しており、薄暗いところでも明るくノイズの少ない写真を撮影できるようにしている。特に、カメラは「ON速起動」と呼ばれる業界最速レベルの約0.4秒での起動が可能で、シャッターチャンスを逃さないように、瞬時に撮影することが可能だ。シーン別撮影などの撮影機能も充実しているが、新たに搭載された「HDR撮影」はこれからのシーズンに活用できそうだ。HDR撮影は露出の異なる複数の画像を自動的に撮影し、それぞれの良い部分を合成することで、明暗の差がハッキリした写真を撮影することができる。暗い部分に露出が合って、背景が白く飛んでしまったり、逆に明るい部分に露出が合って、人物や建物などの被写体の中心部が暗くなってしまうようなことがあるが、HDR撮影にすれば、それぞれの適正露出部分を合成することで美しい写真を撮ることができる。ぜひ、夜景などを撮ってみて、楽しいんで欲しい機能だ。撮影した画像は本体メモリー、もしくはメモリーカードに保存できるが、ISW16SHはmicroSDXCメモリーカードにも対応しており、最大64GBのメモリーカードに音楽や映像を保存しておくことができる。
さらに、ハードウェアでは世界初となるNFCとFeliCaの両対応も注目できるところだ。今のところ、実際の利用シーンではFeliCaによるおサイフケータイが圧倒的に多いが、海外でもNFC対応サービスが少しずつ登場し始めていることを考えると、両対応が望ましいことは言うまでもないだろう。

高透過CGSilicon液晶をはじめ、au向けシャープ製スマートフォン初の+WiMAX対応、1211万画素カメラなど、ハードウェアのスペックが充実しているISW16SHだが、ソフトウェアによる使いやすさも充実している。
まず、もっとも特徴的なのは、今夏のシャープ製スマートフォンに標準で搭載されているユーザーインターフェイス「Feel UX」だろう。これまで、AndroidスマートフォンではAndroid標準のもののほかに、各社が独自に改良を加えたホームアプリを搭載してきたが、AndroidプラットフォームのホームアプリはWindowsやMac OS Xのように、デスクトップがあり、そこにショートカットやウィジェットを貼り付けるというしくみを採用していた。しかし、画面構成によっては、アプリを起動するまでに何ステップも操作しなければならず、スマートフォンがはじめてのユーザーにはやや取っつきにくい印象があった。
そこで、シャープは新たに米frog designと共に、新しいユーザーインターフェイス「Feel UX」を開発し、今夏のモデルから搭載しているというわけだ。Feel UXの詳しい内容については、解説記事を参照していただきたいが、はじめてスマートフォンを使うユーザーにとっては非常にわかりやすく、すでにAndroidスマートフォンを利用してきたユーザーにとっては、今までにない新鮮なユーザーインターフェイスが体験できるので、ぜひ試して欲しいところだ。
また、多機能であるがゆえのバッテリー消費については、昨年末のモデルに引き続き、シャープ独自の「エコ技」機能が搭載されている。通常モード、技ありモード、お助けモードの3つが用意されており、普段は通常モードで利用しておき、バッテリー残量が一定以下になったとき、自動的に技ありモードに切り替え、本当に残り少なくなったときはお助けモードを利用するという使い方がおすすめだ。シャープによれば、カタログ値での連続待受時間が約360時間のところ、通常モードで約179時間になるのに対し、技ありモードに切り替えることで、約258時間までロングライフが実現できるという。まだ数日しか利用していないため、確定的なことは言えないが、実際に使った感覚としては、今まで利用してきた同クラスのAndroidスマートフォンに比べ、十分にロングライフが可能であり、安心して利用できるという印象だ。ちなみに、今回の「エコ技」機能では、ユーザーインターフェイスがわかりやすく変更されたほか、バックグラウンドでアプリの動作回数が多いとき、ステータスパネルの通知エリアで「技あり」の設定を促すようにしている。
日本語入力については、従来に引き続き、iWnn IME SH-Editionが採用されているが、新たに「文辞技(もじわざ)」と呼ばれる文字入力機能が追加されている。いくつかの機能から構成されているが、たとえば、文字パレットを12キー入力とQWERTYキーで切り替えるとき、通常であれば、設定メニューから操作するところを文字パレットを左右の端からスライドさせるだけで切り替えられるようにしている。同様に、上下にスライドさせれば、手書き入力や音声入力にも切り替えることができる。手書き入力も漢字やかなが混じったまま入力しても変換されるため、「会ぎ」と手書きで入力して、「会議」と変換させることもできる。この他にもいつでも辞書が呼び出せる「どこでも辞書」、メール作成時に最初から予測変換候補を表示する「いきなり予測変換」など、一歩踏み込んだ機能が搭載されている。
さらに、ブラウザでぜひ活用したいのが「クイックツールボックス」だ。Webページを閲覧中、ブックマークの表示や登録、再読込など、いくつかの操作をしたいことがあるが、これまではブラウザ画面の上段に表示されるアドレスバーなどを操作しなければならなかった。ISW16SHでは画面の端をスライドすることで、すぐにこれらの機能が割り当てられたクイックツールボックスを表示でき、簡単に操作することができる。Webページを頻繁に閲覧するユーザーなら、ぜひとも活用したい機能だ。
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「エコ技」機能はユーザーインターフェイスが変更され、バッテリー消費のグラフが表示されるようになった |
文字パレット上を上下左右にスライドすることで、12キーとQWERTYキー、手書き入力と音声入力を簡単に切り替えられるようになっている |
ブラウザ閲覧中に画面の端をスライドすることで現れる「クイックツールボックス」 |

国内にAndroidプラットフォームを採用したスマートフォンが登場して約2年。各社からさまざまなスマートフォンが登場し、市場をにぎわせてきたが、この2年間はケータイを利用してきたサービスや機能が引き継げること、インターネットが利用できること、ハードウェアとしての完成度を高めることなど、基本的なことに注力されてきた印象が強い。しかし、今年に入り、auのスマートパスやビデオパス、うたパス、LISMO unlimitedなど、定額制というキーワードを軸にしながら、スマートフォンをもっと活用するための時代に入ってきたという印象が強い。
ISW16SHはそういった新しい時代に向けたスマートフォンとして発売されたモデルだ。ワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信、防水・防じんといった日本仕様はもちろんのこと、約4.6インチの高透過CGSilicon液晶や1.5GHzデュアルコアプロセッサのMSM8660A、1211万画素裏面照射型CMOSカメラなど、auのスマートフォンのラインアップにおいて、フラッグシップに位置付けられるスペックを実現しているが、その一方で、Feel UXや「エコ技」機能、文辞技など、シャープならではのノウハウを活かした使いやすさも十分に考慮されている。はじめてスマートフォンを手にする人はもちろん、すでにAndroidスマートフォンを使ってきて、もっと快適に使えるモデルを望むユーザーのニーズにもしっかりと応えられるモデルとして仕上げられている。ハイスペックと使いやすさをバランスさせた最高峰モデル「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」は、幅広いユーザーにおすすめできる「買い!」のモデルと言えるだろう。

1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるWindows 7」をはじめ、「できるポケット docomo AQUOS PHONE SH-01D スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2012年1月19日発売)、「できるポケット au AQUOS PHONE IS13SH スマートに使いこなす基本&活用ワザ 150」(2011年12月9日発売)などのスマートフォン関連も数多く執筆。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。
■ AQUOS PHONE SERIE ISW16SH 製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/smartphone/isw16sh/
■ AQUOS PHONE SERIE ISW16SH 製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/isw16sh/
■ シャープ 携帯電話 auラインアップ
http://k-tai.sharp.co.jp/lineup/au/
■ WiMAX対応のシャープ製Android「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」
http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20120515_532710.html

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