最先端のテクノロジーに、使う楽しさや快適さを融合

4つの「R」で新世代へ進化を遂げた最高峰モデル「AQUOS R」

国内市場において、もっとも早くからスマートフォンを手がけ、さまざまな先進的な機能を搭載しながら、数多くの人気モデルを送り出してきたシャープのスマートフォンAQUOS。今年4月、「AQUOS R」という新しいブランドと共に、新世代のスマートフォンAQUOSが発表され、いよいよ7月からNTTドコモ、au、ソフトバンクの2017年夏モデルとして発売される。ひと足早く実機を試すことができたので、そのインプレッションをお送りしよう。

「R」に込められた4つの意味

国内外市場において、スマートフォンが注目されるようになってから、もうすぐ10年近くが経とうとしている。国内市場は海外と違い、ケータイの高機能化が独自に進んだこともあり、当初はなかなかスマートフォンが受け入れられなかった。代表的なものとしては、おサイフケータイやワンセグ、防水といった日本独自の機能などをサポートしてないことが挙げられるが、その他にも省電力性能、ディスプレイの大型化と高解像度化、文字入力システムの充実、国内の各携帯電話事業者やコンテンツプロバイダー、サービスプロバイダーが提供するサービスへの対応なども求められ、こうした多様なニーズに時間をかけて、着実に応えてきたことからこそ、国内市場でも半数を超えるところまで、スマートフォンは浸透してきた。

そんな国内のスマートフォン市場において、さまざまなユーザーのニーズに応える一方、いち早く先進的な機能を実現しつつ、使う人が楽しさや快適さを実感できるように作り込みながら進化を遂げてきたスマートフォンと言えば、やはり、シャープのスマートフォンAQUOSだろう。振り返ってみれば、ワンセグやおサイフケータイといった機能をはじめてAndroidプラットフォームに実装したのはシャープであり、内蔵バッテリーによる実使用時間の延長を実現するため、デバイスだけでなく、ソフトウェアにおいてもしっかりと省電力性能を追求してきたのもスマートフォンAQUOSだった。

そんなスマートフォンAQUOSがいよいよ今年、新しい世代となる「AQUOS R」に生まれ変わり、NTTドコモ、au、ソフトバンクの2017年夏モデルとして発売されることになった。

AQUOS R

これまでシャープは主要3社をはじめ、国内の各携帯電話事業者やMVNO各社に端末を供給してきたが、とりわけ主要3社向けにはそれぞれの事業者が求める仕様のモデルを開発し、フラッグシップについてはNTTドコモ向けの「AQUOS ZETA」、au向けの「AQUOS SERIE」、ソフトバンク向けの「AQUOS Xx」という個別のシリーズネームが与えられてきた。ボディについてもそれぞれに特徴的なデザインが採用されてきたが、昨年の夏モデルでは主要3社向けの基本デザインを統一し、仕様についても一部の例外を除き、基本的に同じものをベースに開発されていた。同じ「AQUOS」のブランドネームを冠しながら、販売する携帯電話事業者によって、内容が少しずつ異なり、統一感が薄いという指摘にも応えたものだった。

そして、今年の夏モデルとして、各社から発表された「AQUOS R」は、ボディのデザインやハードウェアの基本仕様を統一し、まさに名実共に、新世代のスマートフォンAQUOSとして開発されたモデルとなっている。今年4月にひと足早くブランドネームと基本デザインが公開され、5月に入り、NTTドコモ、au、ソフトバンクから発表され、いよいよ7月から販売が開始される。

ところで、この新しいブランドネームに冠された「R」とはどういう意味なのだろうか。実は、AQUOS Rの「R」には4つの意味が込められている。

まず、ひとつめの「R」は、液晶のシャープならではのこだわりである「Reality」を意味する。ご存知の通り、シャープは世界トップクラスの液晶パネルのメーカーであり、IGZOをはじめ、次々と開発された新しい技術を取り込み、美しい映像を楽しめるディスプレイを搭載し続けている。後述するが、今回のAQUOS Rも他製品にはない新しい映像美を追求し、実現している。

2つめの「R」は「Response」を表わす。どんなデバイスでもユーザーの意のままに動作するレスポンス(反応)が重要だが、スマートフォンの場合はハイパフォーマンスなチップセット(CPU)だけでなく、タッチパネルやAndroidプラットフォームそのもののレスポンスも快適性に大きく影響する。古くからタッチパネルを搭載したデバイスやタッチパネルを搭載した機器を手がけてきたシャープだからこそ、快適な操作環境を実現できるというわけだ。

3つめの「R」は「Robotics」を指す。これは言うまでもなく、近年、スマートフォンAQUOSが他製品に先駆けてきた人工知能「エモパー」をはじめ、エモパーとの密接な関わりを持ち、『親戚』とも言える「ロボホン」で培われたノウハウなど、人が快適にスマートフォンを使うために、AIがかしこくサポートする環境を提案している。

そして、最後の4つめの「R」は、「Reliability」、信頼性を表わしている。ここ数年、スマートフォンは完成度が高められたと言われているが、パソコンのプラットフォームなどを見てもわかるように、ユーザーが長く安心して利用し続けるには、やはり、セキュリティパッチなどを含めたソフトウェアサポートが重要になってくる。今回のAQUOS Rでは製品そのものの信頼性を向上させるだけでなく、発売から2年間、OSのバージョンアップに対応する方針を打ち出しており、ユーザーは安心して長く利用することが可能だ。

この4つの「R」の内容を見てもわかるように、AQUOS Rは最高峰のスペックを追求し、数多くの機能を搭載することはもちろん、今後、スマートフォンが進化を遂げていく中で、ユーザーが最新の機能を快適かつかしこく活用でき、なおかつ安心して、長く利用できる環境を整えているわけだ。

手にフィットし、持ちやすい形状

スマートフォンAQUOSはこれまで各携帯電話事業者向けのモデルで、さまざまな形状をデザインしてきた。そのいずれもがしっかりとした個性を持ち、美しいデザインで仕上げられていたが、今回はラウンドフォルムによって持ちやすさを考えた形状に仕上げられている。

「尖った」パーツがなく、手で持った時の感触が非常に優しいのが特長

まず、ボディは四つの角を丸め、背面から側面にかけても緩やかなカーブを描いたラウンドフォルムにより、手に持ったときにフィットする形状に仕上げられている。片手持ちをしたときの手にフィットする感覚も良く、手のひらに当たる部分も曲線で仕上げられているので、手当たりもやさしい。ボディ幅は約74mm、厚さは8.7mmとスリムに仕上げられ、非常に持ちやすいが、こうした薄い端末は机などに置いたとき、側面の指がかりが悪く、持ち上げにくいといったことが起きる。そこで、AQUOS Rでは鏡面仕上げのアルミフレームの左右側面部分に、わずかなエッジを付けることで、指がかりを良くし、手に取りやすくしている。シンプルな工夫のひとつだが、手に取りやすいということは、その分、手に取るときに落としてしまうリスクも軽減できるわけで、ユーザーの利用環境を考えたシャープらしい工夫のひとつと言えるだろう。

背面は光沢感のあるカラーで仕上げられており、前面のフレーム部分もボディカラーと同じカラーで統一されている。ボディカラーについてはマーキュリーブラックとジルコニアホワイトが3社共通のカラーとして採用され、この他にNTTドコモ向けの「AQUOS R SH-03J」はクリスタルラベンダー、au向けの「AQUOS R SHV39」はライトゴールド、ソフトバンク向けの「AQUOS R」はブレイズオレンジがそれぞれラインアップされる。au向けについてはauオンラインショップのみの取り扱いになるが、ジュエリーブランド「ete」とのコラボレーションモデル「AQUOS R×ete」が100台限定で販売される。

本体の右側面には電源キーと音量キー、左側面にはトレイ式のnanoSIMカードスロット、上面には3.5mmイヤホンマイク端子、下面にはUSB Type-C外部接続端子を備える。従来モデルでは側面に備えられていたタッチ式指紋認証センサーは、本体前面のディスプレイの下側に移動している。昨年までのスマートフォンAQUOSのフラッグシップモデルと比較すると、SIMカードスロットの形状がキャップ式からトレイ式に変更され、外部接続端子がmicroUSBからUSB Type-Cに変更、指紋認証センサーの位置が移動するなど、全面的にレイアウトが見直されている。

前面の指紋認証センサーはタッチするだけでロック解除が可能

端子はUSB Type-Cに

本体には3160mAhの大容量バッテリーが搭載されており、シャープ独自の省エネ技術により、バッテリーの長時間駆動を実現する。バッテリー残量が少ないときは長エネスイッチをオンに切り替えることで、動作や機能を一部制限することで、少しでもバッテリー残量を長持ちさせることも可能だ。

WQHD対応IGZO液晶ディスプレイ。120Hz駆動、HDR対応。
まさに世界最先端のディスプレイ

前述のように、シャープと言えば、液晶パネルで世界トップクラスのメーカーとして知られている。携帯電話向けにもいち早くカラー液晶、高解像度液晶を採用し、スマートフォンでも大型化や高解像度化を推し進め、最近ではIGZO液晶ディスプレイの高い省電力性能により、ユーザーがスマートフォンでもっとも気にするバッテリー駆動時間のロングライフ化を実現してきた。

しかし、解像度という点については、他のハイエンドモデルの一部がフルHD対応からWQHD対応へと進化を続ける中、スマートフォンAQUOSはフルHD対応に留めてきたが、今回のAQUOS Rではいよいよ2560×1440ドット表示が可能な5.3インチWQHD対応IGZO液晶ディスプレイを採用する。WQHD表示は1920×1080ドット表示のフルHDと比較して、約1.8倍の画素数によって表示されるため、写真や文字なども高精細で美しく表示することができる。ちなみに、AQUOS Rでは高解像度表示での視認性を考慮し、出版物などでもよく知られる「モリサワ新ゴ」フォントを搭載することで、小さな文字も読みやすくしている。

ただ、こうした高解像度のディスプレイパネルをスマートフォンに搭載する場合、一般的にいくつか制限やデメリットが顕在化するケースもあり得る。たとえば、液晶パネルは格子状に区切られた画素によって構成されているが、高解像度になると、画素を区切る格子がより細かくなるため、液晶パネルを駆動する消費電力が増えるうえ、十分な明るさで表示するにはバックライトも高輝度にしなければならず、さらに消費電力が増える傾向にある。ところが、AQUOS Rに搭載されているIGZO液晶ディスプレイは、IGZOの液晶パネルのひとつひとつの画素に付けられているトランジスタが小さく、バックライトを遮る部分が少ないうえ、酸化物半導体のIGZOの高い電子移動度のおかげで、液晶パネル全体の消費電力も低く抑えることができる。つまり、WQHD表示に対応しながら、IGZO液晶ディスプレイの高い省電力性能のおかげで、これまでと同じように、長時間の連続利用が可能になるわけだ。

一般的に液晶ディスプレイは画素密度が高くなるほどバックライトの透過率が低くなり、その分バックライト光量を上げるため消費電力が高くなっていく。IGZO液晶ディスプレイは透過率を高く維持できるため、バックライト光量を最小限に抑えることができ、消費電力も抑えられる

また、色再現範囲にも高い性能を発揮している。スマートフォンの用途はブラウザやメールなどのテキストやグラフィックを表示するだけでなく、現在はディスプレイの大型化により、映像コンテンツなどを視聴することも増えている。そこで、AQUOS Rではシャープの液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術を活かした「リッチカラーテクノロジーモバイル」を搭載し、デジタルシネマの標準規格として知られている「DCI」に対応した広色域表示を可能にしている。色域については昨年までの従来モデルと比較して、2割以上もアップしており、さまざまな映像コンテンツを美しく表示することができる。

リッチカラーテクノロジーモバイル

そして、映像コンテンツを楽しむうえで、もうひとつ見逃せないのが4K HDRコンテンツへの対応だ。現在、家庭用テレビでは明るいところから暗いところまで、広い範囲明度を忠実に再現できるHDR(High Dynamic Range)対応テレビが注目を集めているが、AQUOS Rではその標準規格である「HDR 10」に対応した4K HDRコンテンツを再生することができる。具体的には、Amazon プライム・ビデオやdTV(NTTドコモ)が4K HDRコンテンツの配信を開始しており、これらをAQUOS Rで楽しむことができるわけだ。4K HDRコンテンツは明暗差の激しいシーンなどでも白飛びや黒つぶれが少なく、ハッキリとした階調のある映像が再現できるため、映像コンテンツがより楽しくなる印象だ。

また、HDRに対応していない標準画質の動画コンテンツや自分で撮影した動画などについてもHDR対応コンテンツのように再生できる「バーチャルHDR」と呼ばれる機能も提供される。 設定画面で一度設定をONにしておけば、YouTubeなどのオンラインコンテンツを楽しむときにもHDRのような輝度感を体感できるのは大きなメリットと言えそうだ。

そして、今回のAQUOS Rに搭載されたWQHD対応ディスプレイで、もうひとつ注目すべきは、なめらかなスクロールと快適なタッチパネルのレスポンスだ。昨年のスマートフォンAQUOSでは家庭用テレビの倍速表示と同じように、液晶パネルの駆動を従来の60Hzから120Hzにすることで、なめらかな描画を実現し、ハイスピード録画で撮影した動画などもなめらかに表示することができた。今回のAQUOS Rももちろん、その120Hz表示を継承している

倍速120Hz駆動液晶

ただし、これはあくまでも表示のなめらかさであり、スマートフォンにはもうひとつ大切な要素が必要になってくる。そう、タッチ操作時の応答速度とタッチパネルのレスポンスだ。

スマートフォンは映像を表示するだけの家庭用テレビと違い、画面に触れながら、操作をすることになる。たとえ表示がなめらかでも液晶パネルやタッチ操作の応答が遅かったり、タッチパネルの追従性が劣っていれば、ユーザーは快適に操作することができない。そこで、AQUOS Rでは120Hzで駆動する液晶パネルの応答速度を独自の改良によって、従来機種の約1.5倍に高めることで、残像が少なく、見やすい表示を実現している。なかなか文章だけで表現することが難しいが、画面はまさに「ヌルヌル」となめらかにスクロールし、タッチでの操作のレスポンスも非常に軽快で、全体的な操作感はグッと向上した印象だ。たとえば、ホッケーゲームなどのように、タッチ操作と画面描画の両方に高速さが求められるようなものでは、従来機種や他機種との差は歴然としており、非常に快適に操作することができる。これは読者のみなさんもデモ機などで体験して欲しいレベルの仕上がりと言えるだろう。

こうした液晶パネルの高機能な駆動は、かえって消費電力が増えるのではないかという危惧を抱くかもしれないが、スマートフォンAQUOSを愛用してきたユーザーなら、ご存知の通り、IGZO液晶ディスプレイは自動車の低燃費技術「アイドリングストップ」と同じように、表示するコンテンツに応じて、1Hzから120Hzの範囲で表示を制御する「液晶アイドリングストップ」に対応している。つまり、必要なときは最大限になめらかに表示しながら、シーンによっては一瞬でも表示が停止しているときは1Hz駆動に抑えられるため、バッテリー残量を最大限に活かした利用が可能なわけだ。

液晶パネルの性能という点で、もうひとつチェックしておきたいのが防水性能だ。かつてケータイ時代から培われた技術を活かし、国内メーカー各社のお家芸とも言われた防水だが、現在はグローバル向けに端末を供給するメーカーも防水に対応しており、世界的なスマートフォンの標準機能になるのではないかとも言われている。今回のAQUOS RはIPX5/IPX8の防水、IP6Xの防じんに対応しているが、こうした規格上の防水に加え、お風呂でも利用できるように、画面が水に濡れた状態での操作性も確保している。

AQUOS Rに搭載されているIGZO液晶ディスプレイは、液晶からの電子ノイズが少ない駆動休止時間を利用することで、微細なタッチ信号を検出し、画面が濡れた状態でも操作できるようにしている。実際に、AQUOS Rと他の防水対応スマートフォンの画面を濡らし、ブラウザなどでスクロール操作をしてみたところ、他の防水対応スマートフォンは水滴が付いている限り、ほぼ操作ができないのに対し、AQUOS Rは水滴が残った状態でも操作ができ、快適に使うことができた。お風呂でスマートフォンを利用するケースだけでなく、キッチンなどの水を使う場所で濡れた手でスマートフォンの着信に応答したとき、他のスマートフォンではなかなか画面が操作できないが、AQUOS Rであれば、何の問題もなく操作ができるわけだ。

安定したハイパフォーマンスと将来への安心

今回のAQUOS Rはボディや液晶パネルだけでなく、スペック面でも今夏のトップクラスのものを搭載している。

まず、チップセットは最新の米クアルコム製Snapdragon 835(MSM8998)オクタコアを搭載しており、従来モデルに比べ、約20%のパフォーマンス向上を実現している。今回のSnapdragon 835は最先端の10nmプロセスルールで製造されたもので、高いパフォーマンスと低消費電力を両立させている。メモリーについても4GBのRAM、64GBのROMを搭載するが、ファイルシステムにUFS(Universal Flash Storage)を採用することにより、読み出し速度は従来の約3倍まで向上している。実際に利用してみると、アプリの起動や切り替えがキビキビとした印象だ。

こうした最先端のチップセットを採用することは、パフォーマンスの向上が見込める一方、実際にユーザーが利用するうえでは本体が熱くなってしまうなど、発熱が気になるところだ。確かに、数年前までの新機種ではパフォーマンス向上とボディの発熱がトレードオフになっていた印象もあり、本体内の熱の影響でカメラが利用できないといったトラブルを抱えるユーザーも何度か見かけたことがある。今回のAQUOS Rではこうしたスマートフォンの発熱対策を根本から見直し、ユーザーが実際にボディに触れたときに「熱い」と感じないように、設計されている。具体的には、端末温度を監視する温度センサーを適切な位置に配置することで熱源を細かく制御しながら、内部的にもアルミニウム合金を採用することで、効率良くすばやく発生した熱を逃がすようにしている。今回の試用でも動画再生などを試みたが、背面がほんのり暖かくなることはあったものの、直後にカメラを起動しても問題なく撮影ができ、非常に安定した動作で好感が持てた。

また、今回のAQUOS Rは各社向けともに、出荷時にAndroid 7.1が搭載されているが、前述のように、シャープでは発売から2年間、OSのバージョンアップに対応する方針を打ち出しており、セキュリティパッチについてもいち早く提供するとしている。これにより、ユーザーはAQUOS Rを長く利用できるだけでなく、セキュリティ面においても安心して利用できるようになるわけだ。

ハードウェアに関連するところでは、位置情報に利用する衛星の対応が変わっている。従来は米国のGPS、ロシアのGLONASSに対応していたが、今回のAQUOS Rでは新たに日本の準天頂衛星「みちびき」に対応しており、GPSやGLONASSと組み合わせることで、測位の速度を向上させ、測位時の誤差なども減らすことができるとしている。みちびきはすでに3機の衛星が打ち上げられており、2018年には4機体制で運用される予定となっており、こうしたしくみをいち早く利用できる環境が整っているわけだ。

さらに、これは各携帯電話事業者ごとに対応が異なるが、いずれも各社のLTEネットワークの最高スペックを満たす仕様で開発されており、NTTドコモは受信時最大788Mbps、auは受信時最大590Mbps、ソフトバンクは受信時最大612Mbpsという高速通信の利用が可能だ。Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/acに対応し、Bluetoothは5.0に対応する。

この他にもおサイフケータイやワンセグ/フルセグ(録画対応)、ハイレゾオーディオ対応など、ハードウェアの仕様は文句なしのトップクラスでまとめられている。

本体そのものの話題ではないが、AQUOS Rで発表以来、注目されているのが充電台「ロボクル」だ。USB Type-Cのコネクタを備えた充電台なのだが、AQUOS Rのエモパーと連携することにより、AQUOS Rを載せたロボクルがインカメラでユーザーを見つけ、適宜、ユーザーに対して、最新情報を読み上げて伝えてくれる。エモパーについてはユーザーの利用状況に合わせて、さまざまな気づきを与えてくれる人工知能だが、これまでは自宅の机の上など、フラットな場所に置いたときに話しかけてくるようになっていたが、ロボクルと組み合わせることで、よりキャラクターのような雰囲気が演出されるようになり、愛着が沸いてくるというわけだ。ちなみに、ロボクルはau向けの「AQUOS R SHV39」、ソフトバンク向けの「AQUOS R」に同梱されるが、NTTドコモ向けの「AQUOS R SH-03J」には同梱されないため、シャープは単品のロボクルの市販を検討中だ。

回転する充電台「ロボクル」は、エモパーと連携することにより、カメラでユーザーを探したり、ユーザーに対して呼びかけたりといったロボットのような動作を実現する

広角から接写まで、美しく毎日を切り取る高画質カメラ

美しい液晶ディスプレや高い省電力性能、使いやすいユーザーインターフェイスなど、さまざまな特長がユーザーに評価されてきたスマートフォンAQUOSだが、そんな数ある評価ポイントの内、筆者が個人的に従来から高く評価しているのがカメラだ。

定評のあるカメラはさらに進化

スマートフォンAQUOSのカメラと言えば、リコーのハイエンドデジタルカメラ「GR」シリーズの開発陣による画質認証プログラム「GR Certified」を取得するため、レンズの収差やゴースト、フレアなどの光学特性を追求し、画像の鮮鋭度やノイズ処理などの画質特性など、さまざまな項目の評価を受けてきた。元々、シャープ自身がケータイにはじめてカメラを搭載し、歴代モデルでカメラ機能を追及する一方、カメラモジュールの製造などを手がけてきたため、十分なノウハウと実績を持っていたが、ハイエンドデジタルカメラを製造するメーカーの力を得たことで、それ以前よりもグッと画質が向上したという印象を持っている。なかでも暗いところでの撮影については、国内で販売されているスマートフォンの中でもトップクラスのひとつと言えるほどの出来だと見ている。

今回のAQUOS Rでは 「GR Certified」の認証を受けていないものの、「GR Certified」で培われたノウハウをベースに、新たに開発した焦点距離22mm相当の広角レンズ、新しい画像処理エンジンを採用し、さまざまな利用シーンでいつでも手軽に美しい写真が撮影できるカメラに仕上げられている。

メインは超広角22mmでF1.9という明るいレンズに、2260万画素CMOSイメージセンサーを組み合わせている。超広角22mmというレンズはこれまでのスマートフォンの中でも少し珍しいアプローチと捉えられるかもしれないが、実は旅先などで見ていると、観光名所などをバックに人物を撮影するとき、なかなか全景を入れることができず、少しずつ下がり、構え直し、再び下がっていき、それでもなかなか撮れないといったシーンを見かけることがある。そこで、AQUOS Rでは風景の全体を入れながら、被写体の人物を撮影できるように、超広角22mmというレンズを採用しているわけだ。実際の作例などを見てもわかるが、背景に余裕があるため、ポートレートなどを撮影したときも非常に抜けのいい写真を撮ることが可能だ。

東京スカイツリーの展望デッキ(地上350メートル)から撮影。縦位置で撮るとスカイツリーの麓から地平線までがフレームに入るほどの広角

横位置で撮影すると、広角ならではの雄大な印象の写真が撮れる

超広角ということで、風景だけに強いのかというと、そうではなく、実は被写体にグッと寄ったマクロ撮影にも効果がある。たとえば、花などを撮影するとき、花びら全体を背景に、花心やそこに居る昆虫などをクローズアップして撮るなど、今までとちょっと違ったアプローチの撮影ができる。食事などもお皿全体ばかりを撮るのではなく、メインの食材にグッと寄った撮影で、食材の照りや料理の細かい細工なども含めた写真を撮ることができる。メインカメラは光学式手ブレ補正に対応しているため、被写体に寄ったマクロ撮影でも手ブレを抑えた撮影が可能だ。

被写体にグッと近づけるマクロ撮影

そして、メインカメラだけでなく、インカメラも充実している。インカメラも超広角23mm相当F2.0という明るいレンズに、1630万画素CMOSイメージセンサーを組み合わせている。1630万画素というセンサーの画素数はスマートフォンのインカメラとしてはトップクラスのものだが、利用シーンを考えると、超広角23mmというレンズはかなり魅力的だ。インカメラの用途と言えばセルフィー(自分撮り)だが、23mm相当という超広角レンズなら手をいっぱいに伸ばさなくても2人くらいのグループセルフィーを簡単に撮ることができ、手を伸ばせば、3~4人のグループセルフィーも十分に撮ることができる。また、今どきのセルフィーでは欠かすことができない補正についても「小顔補正」や「美肌調整」などが搭載されている。

撮影機能としては、新たに開発されたセンサー一体型オートフォーカスが有効だ。実際に、カメラを起動し、ファインダーの画面を見るとわかりやすいが、新たにマルチオートフォーカスに対応しており、撮影するときの構図に合わせて、的確なピント調整を可能にしている。カメラ起動とフォーカスも高速なため、撮りたいシーンに出会ったとき、すぐにカメラを起動し、きちんとピントの合った写真を撮ることができる。

高速で正確なピント合わせが可能な新オートフォーカス

また、ファインダー画面のデザインも変更されているが、意外に面白そうなのがフルマニュアルのカメラ機能だ。最近の多くのスマートフォンではカメラ機能にマニュアルモードを搭載し、露出やシャッタースピード、ホワイトバランス、ISO感度などを自由に変更できるようにしている。AQUOS Rも同様の機能が搭載されているが、「フルマニュアル」の他に「おすすめプラス」という項目が用意されており、画面上のアイコンをタップして、「くっきり」「ふんわり」「逆光でも」「残像を」「近付いて」という項目を選んで、撮影することができる。マニュアル撮影ではないが、あたかも一眼レフのマニュアル撮影で撮ったような雰囲気のある写真を撮影できるようにしているわけだ。

さらに、写真を撮影するうえで、構図が大切であることを考慮し、スマートフォンAQUOSではこれまでも「フレーミングアドバイザー」などの機能を搭載し、カメラに詳しくない人でも最適の構図で写真を撮影できるようにしていた。今回のAQUOS Rでは「インテリジェントフレーミング」という機能が搭載されており、しっかりと構図を決めずに撮影しても撮影後にオリジナルと補正した写真の2枚から好みの構図を選んで保存できるようにしている。

構図も「水平補正」や「日の丸」をはじめ、「シンメトリー構図」「三分割構図」「対角線構図」「三角構図」が用意されており、今までと少し違った撮影を楽しむことができる。構図が補正された写真を提示されていくことで、自分自身も少しずつ構図を考えて撮るようになりそうだ。

最先端のテクノロジーや機能を身近に、手軽に、楽しく活用できる新世代「AQUOS R」は買い!

かつて、ケータイ全盛だった時代、各社は次々と新しい機能を開発し、さまざまな先進的なモデルを各携帯電話事業者から世に送り出してきた。端末そのものの機能だけでなく、各携帯電話事業者が提供するサービスも含め、国内のケータイは世界に類を見ないほど、優れた進化を遂げた。しかし、時代はスマートフォンへと移行し、さまざまな機能がスマートフォンに移植され、徐々に完成度が高められてきたことで、「もう、そんなに進化はないのでは?」「みんな同じような感じだね」といった反応を耳にすることが増えてきた。しかし、スマートフォンに搭載される機能やスペックは、数値的なものが同じだったり、同様の機能が搭載されていれば、いずれも同じというわけではない。かつてのケータイがそうであったように、最先端のテクノロジーや機能が搭載されているからこそ、ユーザーがいかに簡単に使えるか、メリットを実感できるか、楽しく活用できるかが重要になってくる。

今回発売されるシャープのスマートフォン「AQUOS R」は、WQHD対応IGZO液晶ディスプレイや優れた省電力性能、超広角レンズ採用のカメラなど、数多くの最先端のテクノロジーや機能が搭載されているが、これまでのスマートフォンAQUOSやかつてのケータイで培われてきたノウハウが随所に活かされており、はじめてのユーザーから使い慣れたユーザーまで、幅広いユーザーが本当に「便利だ」「使いやすい」「スゴい」と実感できるモデルに仕上げられている。なかでもIGZO液晶ディスプレイの高い省電力性能、レスポンスの良さや追従性は、すべての利用シーンで効果が感じられるものであり、AQUOS Rを手にしたときから快適なユーザビリティを実感できるはずだ。新世代へと進化を遂げたNTTドコモの「AQUOS R SH-03J」、auの「AQUOS R SHV39」、ソフトバンクの「AQUOS R」の最先端のテクノロジーと使う楽しさをぜひ体験していただきたい。

執筆: 法林岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。主な著書は「できるゼロからはじめる Windows タブレット超入門 ウィンドウズ 10 対応」「できるゼロからはじめるパソコン超入門 ウィンドウズ 10 対応」「できるゼロからはじめるタブレット超入門 Android 4対応」「できる Windows 10」など、数多く執筆。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。ホームページはこちら